2015年11月30日月曜日

自民党60周年に思う:民主党政権、自民党政権に見る多数議席確保は国民にとって良いのか

自民党60周年にあたり安倍総理は「責任ある行動をとる」信念が60年の歴史を築いたと言うが本当にそうか。政権交代出来る小選挙区比例代表並立制の欠点とは言え、獲得票数にかかわらず圧倒的多数の議席を与えることが国民にとって本当に良いことかどうか、民主党政権、自民党政権をみてバランスの取りにくい政権になっていることが分かる。特に民主党政権時の小沢一郎さん、今の安倍総理の存在は評価に大きく影響する。

20097月の衆院選で民主党は年金問題、政官癒着に飽き飽きした有権者に大風呂敷のマニフェストを広げ「政権交代しませんか」と問いかけ、308議席を獲得、戦後最多の議席、得票率とメデイアはかきたてた。

珍しく民主党本部前がメデイアの取材陣でにぎわった
野田総理と小沢さんの会談が実施された
2012.6.3
ところが打ち出した政策は財源が見当たらず、総理も保守の鳩山さん、市民運動家出身の菅さん、松下政経塾の野田さんと異色の総理だったが「政治とカネ」の問題が鳩山さん、小沢さんを揺さぶり、3.11東北地方太平洋沖地震と津波による福島第一原発事故対応で菅政権は弱体化、消費税増税と小沢グループの離党で野田政権は「いつ解散するのか」と野党から集中攻撃された。

民主党政権に不幸が重なったが一番の問題は小沢さんとの権力の二重構造だった。官低党高で政府の方針も党の幹事長の一存で変更される始末だ。自民党福田政権の時の党首討論で民主党代表の小沢さんに福田総理は「誰に話を通せば通じるのか。本当に困っているんです」と言ったことを思い出す。「壊し屋」と言われた小沢さんだが、細川政権時に小選挙区制等政治改革を主導した功績(?)はある。

でも、小沢さんがいなかったらもっと細川政権、民主党政権は続いたのではないかとも考えられるが、小沢さんがいなかったら細川政権も民主党政権も出来なかったともいわれている。

今、野党再編が叫ばれている政界でなかなかまとまらないのはまとめ役がいないことだ。それだけの政治家がいないということだ。

一方、自民党は33カ月野党を経験した。その時機関紙をもらいに(購入した)自民党本部に行ったが、ガランとして行き交う人も少ない。売店の男性に「自民党はどうですか」と聞くと「見ての通りです」という。「陳情などで人が行き交うあのころが懐かしい」とまで言う。
自民党を離れる議員も出てくるし、当時の谷垣総裁の苦労は並大抵ではなかっただろう。おまけに幹事長が石原さんでは自民党をまとめる人間がいない。自民党総裁選で谷垣さんも立候補しようとしたが石原さんが引かず諦めることになったが、石原さんは総裁候補者選びで「平成の明智光秀」とまで言われ落選する羽目になった。

経済再生を掲げて衆院選の応援をする安倍総裁
2012.12.15 秋葉原での自民党候補応援にて
ところが201212月の衆院選ではリフレ派経済学を採用、「日本経済の再生」を謳い円高、株安から円安、株高に転換し始めたことから選挙戦は自民党優勢で結果は118議席から294議席へと多数を確保し政権に返り咲いた。

ところが何を思ったのか一強多弱の政界にあっては野党のことを気にすることはない。反対意見を言う人間は遠ざけたり、干上げたり、NO2になりそうな人間は閣内に閉じこめ強権政治を始めた。

政策は、官高党低だから政府の政策に自民党が振り回される始末で、リベラル派(?)の谷垣幹事長も保守色を強め存在感があやふやになってきた。安倍総理には「池田元総理の低姿勢も見習ってほしい」というのが精いっぱいの抵抗なのだ。

安保関連法に見る反立憲、自民党の党是の憲法改正とタカ派色を強め、アベノミクスの成果がおぼつかなければ新3本の矢を放つが、GDP600兆円など空虚感を感じる言葉だけの政策と見破られている。

一体、今後3年間をどういうかじ取りをしようとしているのか。アベノミクスの当初の目標である2%成長率、2%物価安定目標達成も思わしくない。

日銀は「緩やかな景気回復」基調と言い、先延ばししている2%物価目標も16年度後半には達成可能と言う。でも日銀政策決定会合内でも異論が出ている。日銀黒田総裁が「達成は可能」と言い続けるのは「不可能」と言った瞬間に安倍政権はぶっ飛ぶ運命にあるからだろう。

野党から要求されている臨時国会開催も拒否し、外交に精を出している。国会で政策の議論がなされないまま予算編成作業が続き財政健全化も考慮し96兆円ほどに抑えるらしいが国民にしっかり説明する責任があるのではないか。

いずれにせよ、圧倒的多数の議席を与えてしまった国民は今、戸惑っているのではないか。
体調不良で第一次政権を放り出した安倍総理に、ここまで頑張ってくれるとは思っていなかった。
バランスを欠いた政権に民主政治など期待できない。1億総活躍社会の構築を目指すと言うが、安倍さんとそれを取り巻く連中だけにはこれ以上がんばってほしくない。

自民党にNO2がいるのか。新聞では岸田さん、野田さん、谷垣さん、石破さんの順が出ていた。岸田さんはリベラル系と言われていたが今は保守右派の安倍さんに牛耳られている。ポスト安倍で総理になった時にどういう動きができるのか。野田さんは南シナ海問題で失言している。立候補に必要な20人を確保できなかったというが安倍総理サイドの邪魔が入ったためだろう。谷垣さんは安倍さんに太刀打ちできないでは力不足ではないか。石破さんに至ってはチャンスを逃した。先の総裁選では立候補すべきだったと思う。

安倍さんの強権政治で安倍後の政権は混とんとするだろう。

一方の民主党はどうか。前原さん、細野さんは解党論をぶったが、その後の動きがない。「言うだけ番長」の異名があるが期待できるのか。岡田さんは民主党中心の野党再編を狙い、まず維新の党と合流を考えているようだがうまくいくか。何と言っても民主党では労組系議員のダンマリが気になる。

連合の前会長の古賀さんも辞任間際に解党論をぶったが、ハードルは高いことを言い忘れなかった。労組に頼っている以上は公務員改革などできないという橋下さんの意見もまっとうだ。

多数の議席を与えた政権の期待外れの無様な結果に対し、次の選挙では大きな修正をかけていかなければならない。


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