2015年11月20日金曜日

日銀政策決定会合での賛成1対反対8:国債保有残高と2%物価目標達成時期に異論

日銀の金融政策決定会合後に発表される「当面の金融政策運営について」や金融政策決定会合議事要旨を見ると金融市場調整方針での国債保有残高と2%物価安定目標時期でいつも一人の委員が別の議案を提出しているが、常に賛成1vs反対8で否決されている。ここしばらくは日銀の金融政策運営も変わらず、日付を変えただけでコピーするのと同じだ。

議案の異なる点は2つあるようだ。

一つ目は、金融市場調整方針で日銀は「マネタリーベースが、年間約80兆円に相当するペースで増加するように調節する」というのに対して、一人の委員が「マネタリーベースが年間約45兆円に相当するペースで増加するよう調整する」と言う議案を提出したが否決された。

異次元の金融政策で既に市場には300兆円(?)のカネが流れているが当初予想の物価上昇にはほど遠く、脱デフレには至っていない。このまま買い入れを続けると財政ファイナンスとみられるし、国債の下落も考えられる。そうなると国債を多く抱える金融機関の経営に影響を与える。確か先日、黒田総裁は国債下落に対応するために金融機関に資本増強(?)を要請したという記事を目にしたことがある。

日銀の金融政策決定会合が近づくと景気低迷、物価上昇が鈍ければ市場は日銀に追加緩和を要求する。黒田総裁も「何かあれば躊躇なく対応する」と言うが日銀だって「今のままでは危ない」とみているのではないか。

何故、45兆円を提案するのか根拠は分からないが、赤字国債から考えているのか。この点もしっかり説明すべきではないのか。違った意見ほど大事なときはない。

2つ目は、「2%物価安定目標」の達成時期ではないかと思う。日銀は「2%の物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、「量的、質的金融緩和」を継続すると言うのに対して一人の委員の提案は「2%の物価安定目標の実現は中長期的に目指す」という至極もっともらしい目標だ。

日銀は、当初は2年以内と言い、「2年で出来なかったら責任を取る」と岩田副総裁は強気の発言をしていたが、15年度中から16年度前半になり更に16年度後半に先延ばしされている。それでも専門家の予測は無理という。

ここは大事な点なのだ。安倍政権とも歩調を合わせた目標であり、脱デフレを目指さなければならない大義がある。日銀が勝手に変更など出来ない。

もし中長期に変えるのであれば、アベノミクスが信頼を失い安倍政権がぶっ飛ぶことにもなりかねないのだ。

以前、安倍総理に民主党の前原さんが予算委員会で「何故、2%なのか」と質問したとき、安倍総理は「2,3,4%といろんな意見が出ているが一番達成可能な2%に決めた」と応えていたがそれでも今の状況では無理筋のようだ。

日銀は先行きの我が国の経済について、緩やかな回復を続けるとみているが、消費者物価の前年比は、エネルギー価格下落の影響から当面は0%程度で推移すると見ている。設備投資も減少しているが最高水準の企業収益から考えて設備投資は出てくると希望的観測を流している。

パットしない経済指標に欧州の金融市場がどう動くか。

又、FRBは12月に利上げをするのではないかとの観測が流れている。そうなると新興国からカネが戻り成長鈍化で日本経済も影響は大きい。良いネタは見つからないのだ。

 日銀は金融政策を通して国民の生活を安定させる義務がある。間違ったメセージ、根拠なく期待感を煽られても迷惑な話だ。



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