憲法改正は新しい日本の未来像を描かなければならない。敗戦直後の幣原総理は内外から憲法の改変を要求され、終戦後の日本の世界での立ち位置は「戦争放棄」しかないとマッカーサーに軍隊を持たないことを提言した。一方、70年後の今、安倍総理は自主憲法制定で日本の立場を世界に訴えようとし「自衛隊」の存在を9条で明記することを訴えた。
当時の幣原総理は世界で日本の信頼を取り戻すには「戦争放棄」しかかないと直接マッカーサーを訪ね提言したようだ。マッカーサーも軍人だったがこの幣原総理の提言に驚いたと何かの本で後日談を読んだことがある。
更に讀賣新聞(2017.5.4)の「憲法9条の経緯」で古関名誉教授が制定過程を講演で詳しく説明していた。それによると、9条で戦争放棄の前に「平和を愛好する」という文言を入れたのは国会審議で議員が提案したのだという。その結果憲法9条1項が出来上がったのだ。
平和主義、戦争放棄は日本人自ら提案し9条1項が制定されたのだ。憲法を読む時、胸を張っても良いことだ。
この憲法は、戦争を経験した多くの国民に歓迎された。経済団体の代表幹事を長くやっておられた方(お名前を忘れてしまった)が、引き揚げ船の中で新憲法を見せられたとき、これで日本は平和になれると涙が止まらなかったという。
一方、今はどうか。戦争を知らない安倍総理を始め議員連中は何を考えているのか。
自民党は「押しつけられた憲法」ではなく、自主憲法制定で本当の独立を目指そうと自民党は憲法改正を党是としている。
しかし、総選挙ともなると有権者の不平を被りたくないため選挙公約で堂々と掲げて戦ったことがない。何時も「公約隠し」で野党の肩すかしを狙っている。それでも議席数が増えると憲法改正を大上段に掲げ「公約違反」ではないと強弁する。
安倍総理の心情は「戦力保持」「交戦権」復活を念願にしているのだが、今回は何時もの姑息な手段で憲法9条1項、2項はそのままで「自衛隊の存在」を明記するという。
合憲、違憲と国論を二分する自衛隊の存在を憲法で明記できれば後は集団的自衛権を閣議決定しているし、北朝鮮対策でカールビンソンの打撃群が日本周辺に展開することを機会に新安保法制下で空海自衛隊による米艦防護は実施され、前例作りに余念がない。
北朝鮮、中国により繰り返される不法行為は安倍総理にとっては自衛隊業務拡大の絶好のチャンスなのだ。
昭和20年頃、「戦争放棄」「平和」を世界に向け訴え行動した国会議員と、今、安倍総理の「自衛隊の存在」と言う強い意向を忖度し行動する国会議員に大きな差を感じないか。
安倍政権に憲法改正を任せてはいけない。憲法改正は総理が方針を示すのではなく、国会の憲法審議会で与野党が議論すべきでこれが立憲主義だ。安倍総理は間違っている。
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