日銀は2%物価目標の達成も出来ないのに、何故「出口戦略」の議論を避けてきたのか。10日に開かれた衆院財務金融委員会の様子を11日の新聞記事で読むとそんな気がする。今はやりの安倍総理を忖度してのことなのか
それでも黒田総裁は「内部では検討している」と白状するが、安倍総理が出席していない委員会なので安倍総理の顔色をみて発言する必要もなかったためか、FRBが段階的利上げで金融政策の正常化を目指している今、出口戦略の必要性は当然と思ってのことか。
委員会での前原委員の「出口戦略のシミュレーションを出せ」との質問に黒田総裁は「金融政策の運営の考え方から今後検討する」と発言したそうだが、別の議員の質問に「内部では検討している」とも発言したようだ。
いつかの予算委員会で民進党の議員が安倍総理に「出口戦略」を問いただしたとき、安倍総理は「未だ2%物価目標を達成していない。時期尚早」と答えたことがある。安倍総理はまず2%を達成してからの話だと言いたかったようだ。
だから安倍総理が出席している委員会では出口戦略を口に出すことは黒田総裁にとっては厳禁だったが、安倍総理が居ない場所では言及することが出来たのだ。
ところが、新聞報道によると日銀の国債買い入れスピードは80兆円から60兆円に落ちているようだ。黒田総裁は「80兆円は目途」で変動すると抗弁しているが60兆円である事を認めたが出口戦略ではないという。
今、日銀の金融政策は量的から金利に移った。金利ゼロを軸足にしているが、80兆円の買い入れを進めると国債がマイナス金利になるらしい。
そうすると保有額424兆円、40%の国債を持っている日銀は出口戦略で財務が悪化するという。2年ほど前の経済財政諮問会議の議事録で諮問会議でも日銀の金融政策が話題になり、日銀の財務状況も注視する必要があると民間議員が言っていたことを思い出す。
日銀の財務悪化は円の信用にも関わる重大事態だ。債務超過への検討が急がれている。
ところが、80兆円の買い入れを60兆円ぐらいに主張する議案は日銀の決定会合で木内委員(今は任期切れで辞任)が主張し、いつも反対多数で否決されていたのだ。
木内委員などの辞任により政府は三菱銀行系のリフレ派の2委員を正式に任命した。これで更に量的緩和が進むのかと心配していたが金融界の現状は日銀に厳しい。
「2%の物価目標」は、既に頓挫している。安倍総理以外アベノミクスを言う人はいなくなった。日銀は思い切って「出口戦略」を議論した方がいい。黒田総裁の任期はもうすぐ、岩田副総裁も公約違反で退くべきだ。
日銀らしさを表せ。
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