2018年5月24日木曜日

トップの認識の甘さ:「モリカケ」問題の安倍総理、日大アメフトの内田監督


トップの認識の甘さが物事を混乱させている。国会で問題の「モリカケ」問題での安倍総理、日大アメフト部の危険タックル問題での内田前監督の初動ミスに共通点があるように見える。

日大危険タックルで矢面に立った宮川さんの謝罪会見、この件で逃げ回る日大と夜の緊急の記者会見、愛媛県の加計学園新獣医学部に関する新文書提出、財務省の森友学園に関する交渉記録の提出と2223日にかけて局面が大きく変わった。

テレビの情報番組は時間経過とともに詳細に報じ、コメンテーターは一様に権力側の対応に疑問を呈する。安倍総理及び官邸、日大のトップへだ。

2つの事件の構図が似ている。

日大アメフト部の危険タックル問題は、監督の指示はコーチを通じて選手に伝達される。一方安倍総理は自ら口は出さないが側近が忖度し官僚連中も忖度しあう構図だ。

だから安倍総理も内田前監督も責任回避できることが初動ミスを招いているのではないか。

日大アメフト部では優秀な選手である宮川さんがアメフトをやめるという。おそらく日本のアメフト界の損失だろうが宮川さんという若者の希望を打ち砕いた。大学という教育機関が学生一人を守ることができなかった。

「モリカケ」問題でも安倍総理と加計理事長の利権に絡む行為で優秀な官僚を排除する結果になったし、財務省の権威は失墜した。安倍総理の進める規制改革特区、国家戦略特区構想も「この程度」なのだ。

2つの事件で共通する点は、安倍総理の国会答弁、日大の記者会見のたびに疑惑が広まることだ。

安倍総理は国会での答弁を官僚が作成したペーパーの棒読み、愛媛県の新文書、財務省の公開した資料から「関与が明確」でありながら「わたしが関与したというなら証拠を示せ」と豪語する。日大は報道が流すビデオで見る限り内田、井上両氏の会見は疑問だらけだ。

「言ってはいない」(安倍関連)、「言ったが選手との理解に乖離があった」(日大)。食い違う主張は誰が本当のことを言っているかだ。本当のことを言っているのは愛媛県の職員、日大では宮川さんだろう。

「記憶がない」「記録がない」も両者に言えるだろう。内田さんは「試合中に危険タックルしたシーンは見ていない」という。

また、組織のトップに立つ人間は役職に累々としがちだ。

安倍総理は憲政史上まれなる疑獄事件を起こしながら責任回避で3選を目指すという。恥さらしのトップだ。一方の内田さんは「監督を辞めるが大学の常務理事は辞めない」と言っていたが第三者委員会に調査を託したのでその間は常務理事の役職を一時停止すると言い、日大病院に逃げ込んだ。

いつも不祥事が生じると弁護士を加えた第三者委員会が出てくるが、これにまどわされてはいけない。弁護士が含まれるから公正にやられるだろうと思うがそうではないのだ。体制側からの委託であれば往々にして依頼者側に沿うようになる。コンプライアンスに加えて危機管理が問題だろう。大学だから学生に危機管理を教える講座があると思うが自分の組織ができていないとはお笑いだ。大学にあって絶対権力者が産まれていることはまずい。

今回の場合もまず調査が必要だろうが、学長または副学長が出てきて記者会見し謝罪し、関係者の処分、「更なる調査に少し時間を欲しい」といえばこれほど信用を落とすことはなかったろう。

組織のトップに立つものは「潔い良い決断」が要求される。 


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