2018年5月20日日曜日

憲法改正で思うこと:自衛隊明記と国民投票法での判定方法


憲法改正というと何時も思うことがある。安倍総理の言う自衛隊の明記と未だ議論されていないが国民投票での判定方法だ。大学時代のクラブ活動がOB・OG会として今も続いているが、昨年に続き「憲法を考える会」をやるので来ないかとのメールを受けた。憲法学者の講義を受けた後、デイスカッションが出来る。

今国会では国民投票法改正案で投票法の改正、憲法審査会では自由討議の場で自衛隊明記など4項目の条項案が検討されていて与野党の攻防が続いている。
自民党憲法草案がたたき台になると言うが難しいところは考え方が並記されている。

ポイントになる点は憲法9条改正で自衛隊を明記することだろう。

安倍総理は海外でのPKO活動、国内では災害対策などに体を張って活躍している自衛隊に応えるためにも自衛隊が合憲か違憲かの議論を解消するためにも9条1,2項を残し自衛隊を明記するという。

でもこれで自衛隊が合憲か違憲かの議論は終結しない。寧ろ激しくなるのではないか。「自衛隊が合憲か違憲か」の意識があるうちは平和憲法が維持できているのだ。

これに対して石破さんらは「国防軍」の設置の提案している。自衛隊は誰が見ても十分な軍事力を持っている軍隊で、解釈上もごまかしのきかない案でスッキリするが周辺国では先の大戦を考えて警戒するだろう。

どうだろう9条改正ではなく、9条-2として、「世界平和、安全を確保維持するためのPKO活動及び国内災害時の救援活動のため自衛隊を設置する」という内容にしたらどうか。

これなら憲法前文の精神も活かせるのではないか。

そして、国民投票のあり方だ。今までの国政選挙での投票率55%、その多数決でYES/NOを判断するとすれば30%弱で決めることになる。憲法改正という大事な事を3人に1人の賛成、反対で決めるのは心細い。
国民の理解を深め、改正の機運を高めて行くためにも投票率も75%以上にすべきで、未満の場合は開票しないことにしたらどうか。過去にどこかの自治体で市民に直接賛否を問うたとき確か投票率に拘った事例がある。

このときは目標の投票率に未達だったために開票されなかった。勿論物議を醸したが低い投票率で重大な事項を決めることには問題がある。

更には多数決でYES/ NOを決めるにも問題がある。多数決とは50%だが、専門家に言わせると65%ではじめて合否を決めることになるらしい。

だから憲法改正の国民投票の合否は投票率75%、多数決でなく65%の賛否で決めるべきではないか。これでやっと30%から45%位になるのだ。

更に、4項目の条項案に対してどういうやり方で賛否を問うのか。

自民党が良くやる手は全部ひっくるめて一括で賛否を問うやり方と最高裁判所の裁判官の信任投票のように条項毎を個別に賛否を問うやり方だ。9条に自衛隊明記するやり方には賛否が拮抗するだろう。他の条項と一括して賛否を問うことに無理があるのではないか。

2020年までの憲法改正に安倍総理はご注進だが国民の間に気運は高まっていない。世論調査でも優先度は最下位である。安倍総理は自分が最初に憲法改正に手を付けたと言うだけの実績だけが欲しいのではないか。

改正草案となりそうな自民党改正草案を読んでみたが、国家権力から国民の権利を守るのではなく、国家権力がいざというときにやりたい放題のことが出来るシステムを構築しようとしているように思われる。

「新しい希望のある日本」を作ると言うが「これからの世界の中での日本の立ち位置」どう考えているのか。

戦争放棄をマッカーサーに直談判した当時の幣原首相は終戦直後での「世界の中での日本の立ち位置は戦争放棄しかない」と判断した。

安倍総理は「明るい日本の未来がある」と言うが、国会前集会では「戦争反対」「子どもを戦場には送るな」のプラカードが目立つ。安倍さんに特有の反応なのか、石破さんの国防軍だとどう反応するのか。

これから政府は湯水のごとく広報費を使って憲法改正を訴えるだろうが騙されてはいけない。


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