第2波、再感染拡大時期が迫っているのに、肝心の新型コロナウィルスの「感染状況」の評価が専門家会議と政府では違っているようだ。専門家会議は専門的知識で評価、助言しているのだろが政府は総合的判断を下す。そこにギャップがみられる。
組織の法的根拠がない専門家会議を廃止して、法に基づいた感染症対策分科会を設置し、「会議メンバーの専門的知見を政府の対応に生かす体制」ができたというが、では逆に考えて今までの組織はそうでなかったのかと問いたい。
6日の会合では「感染症対策と社会経済活動」を検討したという。その後、加藤厚労相、尾身会長、西村担当相が記者会見した。
テレビのニュースでは尾身会長が強く主張したのは、今までも専門家会議で提案されていた「保健所機能の改善」「データのリアルタイム化」が一向に改善されていないと言い政府に強く改善を要請するというものだった。
6日のテーマは、「東京首都圏の感染状況分析」、「イベントの入場制限緩和を段階的に引き上げる」、「PCR検査の戦略的拡大」、「クラスターの発見につながるデータの把握と分析」だったという。
イベントについては50%、5000人が了承された。クラスター発見につながるデータ把握と分析のため「症状あり」「無症状でもリスク高」「無症状でもリスク低い」の3分類し、検査体制を整備するというのだ。感染経路不明者、若者に無症状感染者」が多いことを考えると当然だが、今頃そんな検討をしているのかと驚く。
イベントの規制が緩和された。海外の事例を見てもこれが再感染の引き金になっている。少なくとも東京首都圏では疑問が残る。
そしてもう一つ「評価の仕方が専門家と政府で違う」ということだ。
感染症の感染状況の3要素とは、「感染者数」「流行の勢い」「対策の難しさ」と言われている。
ところが政府の基準の目安は、「累計新規感染者数」「感染者が2倍になる倍加時間」「感染経路不明者のわりあい」だ。ところが、感染症学では「倍加時間」は基本的指標ではなく、専門家は実効再生者数を使う予定だったというが政府は採用しなかったという。これは対策や人との行動変数により変わり計算も複雑なうえに、診断され結果が報告されるまでに2週間かかる欠点がある。
新聞では5月1日の東京の倍加時間は3.8日で4月1日に比べれば緩いが、まだ勢いのある数字だったが、実効再生産者数は0.3で宣言の解除へ向かったが、実効再生委者数は2週間前の数字だったのだ。
神戸大の先生は「専門家会議は全く意味のないデータで見解を出していたことになる」と批判する。
その時の数値は累計新感染者数は10万人当たり5人、倍加時間は2.1日、感染経路不明者の割合は39%だったという。解除する時期ではなかったのだ。
北海道大の教授でクラスター対策班で「8割削減」を提唱した西浦先生も実効再生産者数がなぜ、倍加時間に変わったのは不思議だったと新聞ではコメントしていた。
要は経済再開を急ぐあまり政府は専門家会議の助言を無視し、都合のいい指標で政策を決定していたことになる。
今までの新型コロナウィルス対策の是非を超スーパーコンピューターで分析し検証する会議を設けたという。京大のiPS細胞研究所の山中先生も加わっているのは会議に重みをもたせる目論みか。
分科会の専門家も思い通りにはいかないだろうが、メンバーがメデイアで情報を発信することで本当の感染状況を国民に情報公開することが重要だ。政治は兎に角メンツを重んじる。都合のいい情報を取り上げ、都合の悪い情報を隠蔽するのだ。
各分野の学識者が専門にこだわらず情報を発信し政治を正しい方向に導くことも大事だ。
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