2012年11月15日木曜日

野田政治:苦悩しながらも、したたかさを見せた1年だったか


苦悩しながらも、したたかな野田政治の1年だったのか。マニフェスト違反では謝罪し続け、政策への反対者は切って捨て、野党とも協調し、「近いうち解散」では嘘つき呼ばわりされ馬鹿正直(?)な野田総理には耐えがたい屈辱と苦悩を経験しながらも、したたかさを見せつけた1年だった(まだ野田政権が終わったわけではないが)。
                            
14日の党首討論で初っぱな自民党・安倍総裁が「お疲れ様です」と笑顔で労いの言葉をかけたが、野田総理は緊張した顔で笑顔は返さなかった。民主党代表選で再選されても「私には笑顔はない」と言ったほど苦悩との戦いだったのだ。

党首討論で、「もう混乱に終止符を打ち、新しい政権で内政、外交をやったらどうか」との安倍総裁の主張に、野田総理は「みなさん(自民党)が作った負の遺産を解決するために任期一杯総理としての仕事をやろう」と考えていたと応酬した。

これが野田総理の本音なのだ。領土問題、原発、エネルギー政策、債務問題、財政再建と自民党政権時代に先送りされた懸案事項を必死にこなしているのだ。その気持ちはよく分かる。

民主党政権は未曾有の課題にも直面した。東日本大震災、福島第一原発事故、竹島、尖閣の領土問題、円高など経済問題への対応では野党から批判される一方だが、民主党政権以外であったらうまくいったかというと決してそうは言えない。

政治生命をかけた消費税増税では、マニフェスト違反と追及されるたびに謝罪するが野党は解散して国民に信を問えと許さない。

民主党内では埒があかないと見ると増税反対派を犠牲にしてでも野党と協調路線に進むしたたかさも見せつけた。小沢グループ離党に見るように、反対者にも一見、丁寧な対応を見せるが意に沿わないと判断すると身内でも切ってすてる冷淡さも持っていた。

そして社会保障と税の一体改革、消費税増税では、進まない政治に業を煮やし民・自・公の3党協議に持ち込み成案の道筋をつけた。大政党がよって決めた政策を中小・政党に押しつける政治手法に小沢代表は党首討論で不丁寧なやり方と批判した。

閣僚人事でも苦労した。繰り出す議員に資質不足、不適任が見られ、その都度任命責任を問われた。野田総理は「任命責任はある」と言明するが、自ら責任を取って辞任するのではなく、「後任者で職責を全うしたい」と責任逃れの姿勢も見せた。党内に人材不足をさらけ出した一面もあった。政権政党としての力不足だ。

うそつき呼ばわりされた「近いうち解散」では、野田総理の思い通りにはいかないと思っていたが、野田総理は密かにタイミングをはかっていたのだ。年内解散の可能性を指摘する政治評論家、ジャーナリストも多かったと思うが、党首討論での解散時期表明は、サプライズであり想像できなかった。

民主党の総意は「年内解散反対」、解散強行なら「野田降ろし」のニュースがメデイアを駆け巡ったが、反対すれば何とかなるだろうという以前の「小沢頼み」の悪い民主党の体質が出ていたのではないか。そういう甘い体質に楔を打ち込むにはいい効果だった。

一方、安倍総裁との党首討論の最後に「覚悟のない自民党には政権を戻さない」と声高に訴えた姿は、総選挙での闘志を見せつけた。

これで少しは野田総理の評価も上がったのではないか。

選挙での一方的な民主党敗北だけは避けたいものである。

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