政策もさることながら15もの政党が乱立する今回の衆議院選でポピュリズムを排して、風を掴むことが出来るか。選挙に突入するとなると当初の政策もトーンダウンし争点がぼやけてくるし、第三極構想を目指す維新の会、太陽の党は合流問題で政策が誤魔化されている感じだし、選挙制度改革は姿を変えようとしている。こんな状態で有権者は風を掴むことが出来るか。
民主党のTPPは、当初野田総理は「交渉参加」を主張していたが、「国益を確保しながらTPPを進める」と表現が変わり、これでは自民党の安倍総裁が言っていたことと変わらず、争点化が曖昧になってきた。
消費税増税だって、民主党の当初の政権公約には記されていなかったが、「すべてを社会保障にあて、低所得者対策を講じる」という。これでは公明党と違わない。
「1票の格差」問題での選挙制度改革も来年の通常国会まで持ち越したが、今の小選挙区比例代表並立制では「死票」も出るし、ポピュリズムの結果にもなると言うことで、中選挙区制への改革が検討されている。
脱原発は一番争点化されていると思っていたが、内容をよく見るとニュアンスが違ってきている。維新の会と太陽の党との合意文書を見ると、何故か脱原発への対応が消えた。
注目された日本維新の会と太陽の党などの第三極構想も二転三転のめまぐるしい紆余曲折の結果、合意に漕ぎ着けた。石原さんが代表で、橋下さんが代表代行で政党名は「日本維新の会」になるらしい。心配なのは石原さんの考えが消えて、橋下さんの政策に統一されたことだ。
「小異を捨て大同団結」と訴えていた石原さんが我慢したようだ。これでは他の党から「野合」と言われても仕方ない。石原さんのことだから国会議員になったら自説を主張し、日本維新の会の内部で混乱が起きるのではないか。
一方メデイアはポピュリズムを排しようとする論調が目立つ。
朝日新聞は「熱狂政治はいらない」で、シンプルな争点を政党が掲げ、多くの有権者の熱い期待を集める郵政選挙、政権選択選挙と異様な総選挙が続いたとし、未来に責任を持てるマニフェストを示すべきだという(朝日新聞2012.11.17)。読売新聞は「マニフェスト固執の過ち」で無責任なマニフェストが生まれた背景には、選挙戦術を優先させたポピュリズムがある。その反省がなければ同じ過ちが繰り返されると警告する(讀賣新聞2012.11.18)。
何を言っているのだ。メデイアこそ小泉さんの「郵政民営化是か非か」、民主党の「政権交代してみませんか」に踊らされてポピュリズムを煽ったのではないか。そのメデイアの責任をどう考えているのか。
ところで今回の選挙はどうなるか。
民主党・野田首相は、「2013年以降の日本の舵取りを、どの方向感で進めていくか。前へ進めるのか、政権交代の前に時計の針を戻して古い政治に戻るのか。前へ進むか後ろに戻るかが問われる選挙だという(讀賣新聞2012.11.17)。
自民党の安倍総裁は、間違った政治主導による混乱、停滞に終止符を打つために全力で戦い抜く。最大の争点は、どの政党が経済を立て直し、被災地の復興が出来るかだという(讀賣新聞2012.11.17)。
一方石原さんは、ふあっとした民意はたくさんあるが、一番確かな民意は「この国は危ない、何とかしてよ」だ。中央官僚の支配体制を変えないと駄目だといい、「原発は怖い」などいろいろな民意があるが、それにこびたらポピュリズムになると警告する(産経新聞 MSN 2012.11.17)。
2009年の政権選択選挙とは少し違った選挙だろう。野田総理は、民・自・公の連立を考えているのだろうが、安倍総裁は第1党か過半数確保の自民党政権だろう。石原さんは第
三極ではなく、第二極で政権に入り込むつもりらしい。
期待できるのはどの政党か。公約もさることながら、政党の考え方から風を掴まえなければならない。
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