2017年4月14日金曜日

熊本地震、東日本大震災復興に見る:ある程度の危険を覚悟した復興が必要か

熊本地震での被害が大きかった益城町の被災地の
地盤調査 深さ10mまでは軟らかい粘土質という
NHKおはよう日本 2017.4.13
震災復興はある程度の危険を覚悟しての再開発でないと予算と時間の無駄遣いにならないか。熊本地震から1年、東日本大震災復興予算のメデイアの報道を見るとそう感じざるを得ない。

首都直下地震、南海トラフ巨大地震、富士山などの噴火などが危険視されているが震災復興は被災者のそれぞれの生活条件、地域再開発、被災地産業、インフラ整備などいろんな要素があり困難を極めている。

私の住んでいる東京都大田区は、2013年12月の内閣府の有識者会議でM7級以上の直下型地震21タイプを発表したが、東京で被害が1番大きいと判断された「都心南部直下地震」は断層が大田区から品川区に走っているところで地震対策、震災対応は他人事ではないと感じている。

朝日新聞(2017.4.13)「復興予算9兆円が未使用」を見ると政府はドンドン予算化し震災地復興に力を注いでいるように見せるが、現場は人手不足、用地不足、宅地開発などで混乱、復興総予算総額33兆円のうち執行されたのは24兆円余り、9兆円が未使用となっていると会計検査院が報告したという。

政府は更に20年度までに6兆円を追加するらしい。安倍総理や閣僚が被災地訪問する度に新たな約束をする。

集団移転した場所の映像も流れるが、空きもあるし、まずは賑わいが戻る気配がないという。被災者にも復興が長引けば事情も変わってくる。折角の計画がうまく行かない

宅地整備の促進のために交付された復興交付金は2429億円だが未だ具体的な事業が未定なのが1099億円もあると言う。

確か、予算消化で被災地とは関係ない項目に使ったり現場の要求とずれている事業もあったことは以前のメデイアが伝えていた。普段やりたくてもやれかった事業に官僚が予算の流用したのだ。

東日本大震災は広域で海岸に近い狭い平坦地は津波被害で全滅したことが熊本地震と違うところか。

その熊本地震から1年、朝日新聞「熊本の強み 揺るがない」では企業が戻り生産が再開されているという。

本震、余震で震度7を記録した熊本地震だが被害は断層帯に沿って大きく断層から少し離れると被害も軽減した。企業誘致で力のある企業が進出していたのだ。それでも耐震から免震に変更することにより建設費は増加したが、工場立地はかかせない。

熊本県は「地震は少ない」事を謳っていたという。「熊本地域では過去120年余りM7以上の地震の発生はなし」と。

でも讀賣新聞(2017.4.11)によると、熊本地震を起こした日奈久断層帯は約3000年に1度の割合で繰り返し地震を起こしたと言う調査を産業技術総合研究所がまとめた。

長い地震発生間隔だ。一度起きたら次は相当先と言う事で、被災地での復興も出来るのではないかと思うが、そこは「ある程度の危険」を覚悟しなければならない。

NHK(2017.4.13)「おはよう日本」では、「けさクロ」「復興を拒む地盤リスク」で被災地の地盤を調査した結果、「深さ10mくらいまではかなり軟らかい粘土だ」といい、比較的固い地盤より揺れ幅が大きい。

被災者が自宅跡地に深い溝が出来ているのを見て「ここでの再起は無理」と話していた。

「自分だったらどうするか」、固い岩盤まで杭打ちをし空間は埋め戻す事も考えられるが、やっぱり放棄だろう。自分だけやっても意味がない。

折も折、今村復興相が記者会見で震災避難は「自己責任」と主張し顰蹙を買っていた。謝罪はしたが取り消しはしなかった。本音だと思う。

震災復興が話題になる度に寺田寅彦博士の随筆を思い出す。

甚大な被害を受けたときは、皆安全な高台での復興を目指すが仕事場は海岸など平坦なところだ。不便の余り時が経つと被害など忘れて被災した場所に帰っていく。役所も当初は規制していたが、住民の要望に負けて規制を緩める。賑わいも戻り被災前の生活を取り戻すが、数百年後は文化も向上し生活基盤も複雑になる

そんな時、再び巨大地震、巨大津波の来襲に合い昔よりも酷い被害を被ることになる。「天才は忘れた頃やってくる」とは寺田寅彦博士の言葉ではないがよくいいあてている。

日本はそういう歴史を繰り返した街作りをやっているのだ。でも昔と違って今はいろんな知見が出て来ている。ある程度の危険は予測できるのだ。


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