朝日新聞2017.4.26 経済気象台 |
朝日新聞4月26日の経済気象台「理論の政治的利用を止めよ」には同感だ。日本は他の先進国に較べ財政状況は1番悪い。国、地方の借金は1050兆円、対GDP比200%を超える。これに更に財政出動すれば赤字は増すばかりで2020年のPB黒字化も覚束ない(勿論このままでも改善はしないが)。
今は、赤字でも財政出動で景気は上向き、好循環の経済が軌道に乗れば税収増、家計への再分配で消費も伸び赤字も縮小するかも知れないが、そんな調子には行かない。
長い間、日本経済は円高に悩まされたが、自民党が政権に復帰した時、安倍総理は浜田先生などが導くリフレ派経済学に傾斜し異次元の量的緩和で市場にジャブジャブカネを流せば必然的に円は安くなり円高を脱却出来ると説いた。
あの時の総選挙では自民党の新人候補までが、量的緩和を訴えたのだ。
しかし、安倍総理は経済政策のアベノミクスの第一の矢に異次元の金融緩和を訴え、一時成果を表し安倍総理の経済政策を不動のものにしたかに見えたが正統派経済学者が言うように「低金利下での金融政策は効果が薄い」ことを証明した感じだ。
「成果が検証されていない経済政策は邪道だ」という経済学者もいる。
そして今、シムズ教授は「消費税増税などは凍結し財政出動すべきだ」とアドバイスしシムズ理論が蔓延っている。あの浜田先生も今のアベノミクスを見直すとまで言わしめた理論(?)だ。
安倍総理には打って付けの理論になる。
昨年のG7伊勢志摩サミットでは、「世界経済に何を訴えたら良いのか」とノーベル経済学賞受賞の経済学者を海外から招聘しヒヤリングを行った。
ステイグリッツ教授やクルーグマン教授も招かれた。安倍総理は議長国として何かお墨付きの政策が欲しかったのだろう。サミットでは世界経済は危機に直面していると言うような提案をしたが、他の首脳とは温度差がありすぎた。
クルーグマン教授も帰国後の記者会見で安倍総理は大したことを聞いてこなかったと批判的な発言をしていたニュースを覚えている。
その経済気象台曰く「一国の経済運営はその国の制度に立脚し過去の経験を生かし自国の責任において進めるべきで、外国からの直輸入の理論の安易な政治的利用は断固止めるべきだ」という。拍手だ。
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2017.3.14掲載
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