2021年1月31日日曜日

今日の新聞を読んで(432):トランプが崩した同盟国の絆、容易でない修復

 

トランプ大統領の「アメリカ第一」は国内的には今まで政治の恩恵を受けにくかった国民に寄り添う内政になったが、外交面では長い間築いてきた同盟国の絆を崩し、その結果、バイデン新大統領はその修復に努めるが容易ではなさそうだ。 

一番の課題は、4年間で拡大した中国の覇権主義で対中政策に間違いないが、バイデン大統領は南、東シナ海での対応はトランプ政策を継続するようだ。南シナ海での自由航行権維持のために空母を覇権、イギリス、ドイツ、オーストラリアも協調、日本に対しては「尖閣諸島も日米安保適用」の確認を菅総理が電話会談でした。 

一方、北問題はどうか。北は夜間に大規模軍事パレードをしてミサイル開発の進展を世界に誇示、バイデン大統領をけん制した。トランプ大統領のように個人的友好関係の下での核ミサイル開発放棄は無理だったこともあって、バイデン大統領は多国間交渉、特に6者会談になるのか。 

新聞報道ではバイデン大統領は欧州との同盟国関係の修復を急いでいるようだが、対中政策で各国との思惑のずれが大きいようだ。バイデン大統領は強硬策らしいが対コロナで国内経済困窮に中国の経済支援を期待する国が出ているのだ。 

G7メンバーのイタリアが中国寄りに変わったことで警戒感が強まっている。 

バイデン大統領はイギリス・ジョンソン首相、フランス・マクロン大統領、ドイツ・メルケル首相そしてNATOとも電話会談で対中、対ロ、イラン問題で協力を要請したというし、ブリンケン国務長官はフランス、ドイツ、イギリス、イタリア、EUと外相電話会談を実施した。 

欧州の同盟国との絆の崩れに付け込んで中国、ロシアは欧州、大西洋全域で軍事力を拡大している。集団的安全保障でNATOは重要な同盟であるがトランプ前大統領はNATOからの米軍の軍事費問題で撤退、縮小などを提案、「だったら独自の軍備を」とマクロン大統領が発言すると猛烈に批判した経緯がある。

「アメリカはすでに世界の警察官ではない」と誰か(オバマ元大統領?)言ったが、紛争国に米軍を派遣し、若い兵士が犠牲になるのが我慢できなかったのだろうが、世界のリーダーとしての立場は維持したいのだ。 

台湾、香港の民主化に対する習主席の暴力的弾圧を批判すると、「共産主義政府に対する内政干渉」と反論する。自由主義、民主主義の政府があって共産主義の政府があってもいいのではないかというのだ。 

それはそれで良いかもしれないが、中国、ロシアの人権侵害行為は目に余るものがある。国連も何ら役に立たない。当然だろう、中国、ロシアは常任理事国だ。何か言われると拒否権発動で国連の行動は制限される。 

日本は、国連改革で主導権を発揮しようと国連で勢力を広げつつあるアジア、アフリカ諸国を取り込もうと安倍前総理はアフリカ外交に努めたが、カネだけばら撒く結果に終わったか。 

その国連、国連機関での中国の勢力拡大でアメリカの思うように行かなかったためにトランプ前大統領は改革を要求、離脱まで匂わせた。WHOに対しても新型コロナウィルスでの初期のバンデミック対応をテドロス氏と習主席が拒否したためこんな感染拡大の事態になったと批判、資金の拠出を拒否した。 

中国は、米国の拠出金相当額を補填する力はないという。カネは出さぬが権力は握るという発想か。 

トランプ前大統領の主張する「新型コロナウィルス発生源は中国武漢」「チャイニーズコロナ」は今も生きている。WHO の調査団が武漢に入ったというが、それまでに足止めされていた。恐らくその間で捏造、取り繕いが終わったためにOKが出たのだろう。武官の研究所から漏れたという説にも信憑性がありそうだ。

当初アメリカも関与し、フランスの技術で研究所を建設したが、後にフランスは運営から外されたという。 

欧州先進国の対米はバイデン大統領で変わるのか。 

アメリカはバイデン大統領はトランプ前大統領の政策を覆す書類にサインすればいいだけでも、受ける先進同盟国にも都合がある。4年間の政策を簡単に変更することなど出来ないのだ。 

4年間に築いた混乱は改善にそれ以上の時間がかかるのではないか。とりあえずはイギリスでのG7だ。 

ジョンソン首相のリーダーシップにもよるが、今まで存在感のあったメルケル首相はもう直ぐ引退、菅総理は世界では「短命政権、」と見られている。まともに相手にされるのか。

 

2021年1月30日土曜日

3月は明るい普通に生活?:新型コロナ対策で緊急事態宣言を継続し、もう一か月我慢すれば・・

 緊急事態宣言の解除判断まで後1週間、29日の新感染者数は全国で3535人、死者96人、神奈川県、千葉県では過去最多、東京は868人で1000人を下回るが英国型の変異株も見つかり市中感染の様相を呈してきたか

沖縄県宮古市では感染拡大でロックダウン状況だ。新聞報道によると、宮古市長選が感染拡大にかかわっているというが、テレビ報道で市長選を見ると「なんだこれは」と疑う。マスクもせず、大勢が集まってどんちゃん騒ぎだ。それも現職市長派だからどうしようもない。おまけに自衛隊に支援要請するというのだ。

此れじゃ、東京都議選、衆院選が思いやられる。その前に東京オリンピックだ。

菅総理はダボス関連会合で「世界の団結の象徴として世界に希望と勇気をお届けする大会を実現すると強い決意を表明したらしい。希望と、勇気を世界に届ける前に国内に届けと言いたい。菅総理やIOCは「国民に寄り添う意識」がないのか。

その成功するかどうかの「勝負の1週間」になるという統計数理学の土谷教授のシミュレーションが29日のテレビ朝日 羽島モーニングショーで紹介された。

大方は京大の西浦教授が発表しているシミュレーションと同じだ。

1月29日 テレビ朝日羽島モーニングショーより


土谷教授は予想外に緊急事態宣言の効果が出ているのではないかと言おう。その理由に7日の2447人の感染者数を上げる。これがインパクトになり国民の行動や予防意識が高くなったというのだ。緊張感をもって緩まずに現在のペースを保てば2月7日は154人、解除後は横ばいから徐々に上昇するとみる。

政府は宣言解除条件を東京では500人とみている。焦れば判断を間違える結果になる。

1月29日 テレビ朝日 羽島モーニングショーより


緊急事態宣言を延長すると、2月14日は東京で50人、2月末には数人だという。本当かと思うが、今の緊急事態宣言の内容でもいいのか。

1月29日 テレビ朝日羽島モーニングショーより


一方で、緊張感も緩み500人で宣言を解除すると2月7日は509人、3月末には1500人、現状と同じ状況が続くのだ。最悪の時は三度の緊急事態宣言になるかもしれない(この部分は私見)。

1月15日テレビ朝日羽島モーニングショーより


京大の西浦先生も1月15日にモーニングショーで今の緊急事態の内容だと7月までに2回のピークが出、オリンピックのころ2回目のピークと言う。一方前回の緊急事態宣言の内容だと緩やかに減少後、上昇し7月にピークが来ると予想している。

西浦教授は新型コロナウィルス感染拡大に原因にGOTOトラベルがあるとは言えないまでもきっかけにはなっていると海外の専門誌に論文を掲載した。

菅政権にとっては耳の痛い論文だ。野党が西浦教授を国会へ参考人として予防としたが自民党が拒否した。

テレビ朝日の羽島モーニングショーは他の情報番組に比し、見る価値がある内容だ。新型コロナウィルス対策も今後のシミュレーションも実効再生産者数をもとに推計、予測している。程度の差はあれ、結果には同感だ。

特に政府は経済を考えすぎて判断を誤っている傾向にあるが、短期の厳しい規制は逆に経済停滞を短期に終わらせることもできるのだ。二と追うものは一兎も得ずと言うではないか。

ここ一か月不自由さも我慢すれば、3月は明るい普通の生活が出来るとは簡単に思えないが、我慢にしどころだ。

2021年1月29日金曜日

新型コロナ対策で懲役刑:そこまでして「やる気」を見せる必要があった菅総理か

 菅総理の思いが国民に伝わらない。外出自粛、時短要請、緊急事態宣言発出が感染者数の減少になるかと思っていたが、過去最多の高止まり、医療機関ひっ迫、崩壊の危機と医師会は警告する。世論調査では政府の対策を「後手」「もっと早く」と政府の対応の遅さの批判に集中している。

そんな中で通常国会、菅総理の施政方針演説、代表質問、予算委員会とイベントが続いた。終わってみれば、野党は政府を批判、政府は従来の政策を正当化する答弁を繰り出し、民意に沿ったと思われる野党の折角の提案にも肘鉄だ。

長引くコロナ禍で非正規労働者、失業者の生活は困窮、参考人の「再度の給付金支給」提案にも菅総理は「生活保護で」と自助を促す。SNSでは菅総理に非難殺到だ。

菅総理の答弁もペーパーの棒読み、内容も簡素化、ついに野党議員から「ペーパーの棒読みはやめろ」と忠告されると、菅総理は「答弁の正確性いじのため」と強弁する。国民は皆、ペーパー以外に自分の考えは言えないとわかっているのだ。

予算委員会でも菅総理に答弁をさせないように担当大臣が手を挙げて答弁席に向かう。質問者は「総理、総理」と叫ぶシーンは過去にも見たことがある。

難しい判断を迫られる必ずと「専門家の意見を聞いて」と責任転嫁するが、自分たちに都合の悪い専門家には目をくれようともしない。

京大の西浦教授が海外の専門誌に「GOTOトラベルが要因とまでは言えないが、感染拡大のきっかけにはなっている」という論文を発表、野党は国会予算委員会に招致を要求したが自民党が拒否したらしい。

そんな時に共産党の小池議員の質問に注目した。

新型コロナの特措法、感染症法改正で強制力を付けるために私権を制限する罰則刑が付けられた改正案が提出されたが、厚労省のHPで科学審議会の感染症部会で審議した経過が公開された。

小池議員はその議事録では18人中、3人が賛成で、ほとんどの委員が慎重論だったという。審議部会で「概ね慎重論」だったのがどうして「概ね賛成」で法案提出になったのかと菅総理を追及した。

政府はPCR検査で陽性になった感染者が保健所の入院措置を無視して街中を動けば感染が拡大するのでそれを阻止するために罰則を設けて強制力を付けようとしたのだ。そうすることにより「後手」と批判されていたことに「やる気」を見せたのか。

田村厚労相は物理的にも時間がなく、予算員会ではなく本会議などで議論すればいいと考えていたようだ。

でも、小池議員は何故、部会では「概ね慎重論」だったことを今まで言っていなかったのかと責任追及だ。

厚労省が部会の議事録を公開したタイミングの悪さに何か背景があったのではないかと疑う。

罰則刑を適用するとなると誰が判断するのか。保健所の担当者か。保健所の仕事はそうでなくても多くパンク状態だし、逮捕する警察も防御服など対応ができるのか。罰則刑と言うことになると履歴書にも記さなければならない。それほど重大な事件かと言うことにもなる。

さらにタイミングの悪いことに、自公の議員が銀座をはしご酒したが、陳情を受けていたと豪語する事態が明るみになった。「外出自粛」「時短」を要請している時期の国会議員の身勝手な行動が国民の批判にさらされた。

菅総理が予算委員会で謝罪し、麻生さんが自派の総会で謝罪(?)、公明党の山口代表が国民に謝罪した。

そういうこともあってか、自民党は法案成立を優先し、罰則の大幅な譲歩で野党と譲歩する羽目になった。

今回の事件で政府の法案検討過程と提出の裏側がわかった。逆に、そこまで政府は追い詰められていたのだ。今後の政局を考えれば譲歩するしかなかったのだろう。それだけ菅政権は弱体化しているのだ。


2021年1月28日木曜日

菅総理の思いが伝わらない:熱量が足らないとはどういうことか

 緊急事態宣言しても人出は減らない、若者層に「気に緩み」が出ているのか感染者数が減らず高止まりの傾向も出ている。総理の思いが国民に伝わっていないではないかとメデイアは報じる。国会予算委員会でも菅総理にその点が追及されている。

菅総理もわかっているのだろう、ネットに詳しい議員を読んでアドバイスを受けたというが、要因は「熱量が足らない」と言うことらしい。情報発信に勢いがないということか。

だとすると、菅総理自身、官邸内のエネルギーが不足していることだ。

菅さんが総理になってから「極端に情報が入りにくくなった」と言ったことがある。今まで官房長官として豊富な情報の下に権力をほしいままにしてきたが、総理になっては様子が違うのだ。「何をされるかわからない」という官僚の危惧がある。仕方なく古参の補佐官などを重用するから日本学術会議の任命などで齟齬が出てくる。

民間の意見を取り入れようとホテルでの朝食会を持っていたが、批判も高まりやめたか。

だとすると、官邸のスタッフの総入れ替えでエネルギーを爆発させる手を考えるべきではないか。そうすると「やる気が出た」かと見直されるかもしれない。


国会参院予算委員会を見て:「大変申し訳ない」では許されない菅総理か

 菅総理も官房長官時代の自信に満ちた光景は見えず、参院予算委員会のNHK中継を見ても野党の質問に「大変申し訳ない」との謝罪一方だったが、そんなことで許される菅総理ではない。国民にとっては不満が高じていることは内閣支持率の33%で分かる。だから何とかしようと考えているのだがどうすればいいのかわからないのだ。

菅総理が言っていた。「極端に情報が入ってこなくなった」と。そりゃそうだろう、官房長官時代に権力を振りかざしてやりたい放題だったから、総理にでもなれば何をやられるかわからないという危惧が官僚などにはあるのだろう。

新型コロナウィルスで緊急事態宣言で失業者は増え、陽性者でも入院治療できず自宅療養で死亡する例が増えてきた。

東京の感染者数に注目が集まるが25日は618人、驚く一方で何があったのかと、本当かと疑いが出る。新聞によると原因は検査数らしい。3日前の検査件数は7000件程度で陽性率8~9%と見ると、当然なのだ。

感染経路調査を主とする積極的疫学調査も保健所に仕事増で実施できず取りやめた自治体も出てきた。

もっと検査件数を増やし積極的な対策を取らないと収束など覚束ないと専門家が指摘するが何故だか動きが鈍い。医療機関の対応を考えると無理なのだろうか。

政府や自治体の対策は「お願い」が多い。「外出自粛」「時短要請」それに法改正で罰則、罰金刑を盛り込もうとするが国会でもめている。

残念なことに、国会議員自ら銀座でのはしご酒、多人数による会食が週刊誌などでスクープされ、「国会議員自ら姿勢を正せ」とSNSで批判を受ける。

肝心の政治家がこんなことでは国民の信用を失っているのだ。自分たちは上級国民だから感染したとしても優遇されると油断しているのか。石原さんの例で「スムーズにいった」例もあるが立憲民主の羽田さんのように失敗する例もある。

こんなことが重なって参院予算委員会では菅総理がつるし上げになった。自宅療養や宿泊療養中に死亡することに関して立憲民主の連舫議員が「どれだけ無念か、重みがわかるか」と追及したのに対して菅総理は「大変申し訳ない」と謝罪した。

ところが新聞報道では「国民に伝わらない。言葉で伝えようという思いはあるのか」と畳みかけたところ、菅総理は「失礼じゃないか。・・いろんな批判もあるが魔用に迷って判断してきた。・・私に要因があるかもしれないが精一杯やってきた」と反論したのだ。

「言葉が通じる、通じない」については菅さん自身に原因があることは認めた。

だから新聞報道によると専門家の議員を読んで話を聞き、「熱量が足りない」と言うことだったらしい。

熱量が足らないということは、菅総理自身の体内、官邸内のエネルギーが不足していることだ。若手の議員、閣僚を呼び込んで組織の作り直しが必要ではないか。


総理だから責任上はいろんなことを考えて判断しなければならない。菅さんには派閥がないのでアドバイスしてくれる仲間もなく、官僚も敬遠していないか。だから民間人とホテルで朝食を取り情報交換していたが、最近はどうか。

国民に行動変容を起こさせるインパクトが必要と言う。「お願いばかりではダメなのだ」。これは難しい。安倍総理の頃の緊急事態宣言は相当のインパクトがあった。だから効果もあったのだろうが今回はそれがない。若い層が反応しない。

テレビや新聞を読まない連中だとスマホ、SNSなどで情報を流す方法もあるだろうが・・。

素早く決めることも必要だ。決断力だ。今までは小池都知事の後塵を拝している。小池さんは自分では決めずに官邸を訪問し政府の尻を叩くしかしていない。「やってる姿」を見せつけるだけで「コロナの女帝」だ。小池さんの先を行くことだ。

世論を反映させることだ。例え失敗しても国民の意に沿って実施したと言えばいい。

そして、総理として国会議員全員に[姿勢を正し、国民の信を得よう」と宣言すべきだ。自民党にお願いではなく自民党総裁としての立場があるだろう。

菅さんも運のあるい総理だ。こんな時期に総理になったのだ。何をやっても国民の評価は得にくい面もあるが、自分の信念に基づき一気に進めたらどうか。

まず国家観を示すことか。



2021年1月27日水曜日

東京オリンピック中止論の是非(2):IOCは国民に寄り添う気持ちは無いのか

 

IOC会長、森組織委員会会長などオリンピック関係者は日本国民に寄り添う気持ちはないのか。IOCバッハ会長は開催に向け強引な発言をしているが、オリンピック招致運動のときのことを忘れたのか。 

東京候補地は日本国民の盛り上がりに欠けると難色が示された。これではダメだと政府はじめ、盛り上げに成功し、招致を勝ち取り東京オリンピック開催にこぎつけたが新型コロナウィルス感染で延期、今回再延期か中止かの瀬戸際だ。 

そして今、日本では80%の国民が世論調査で「中止」か「再延期」を希望している。盛り上がりに欠けるのだ。 

IOC関係者は感染拡大防止に当たり、開催方式で観客の「上限なし」「50%」「無観客」の3方式を検討しているという。おまけにアスリートなど大会参加者にワクチンを優先接種する案まで出てきたがWHOはダメ押しした。

万一、誰かが感染しクラスターが発生したとき、医療施設はどうなるのか。期間中もさることながら大会が終了しアスリート、大会関係者、観光客などが去った後に日本中に感染拡大の恐れが無いのか。しかも世界各国から変異株が入ってきたのだ。 

「平和の祭典」など言っていられない。オリンピックを開催する意義などないのだ。 

国際体操競技大会では、著名なアスリートが「開催中止よりどうすれば開催できるかを考えてほしい」とアスリートの気持ちを代弁した挨拶をしたが、本当は言わされていたのか。 

早い時期の「延期すべきだ」と言ったJOC理事の山口さんも国民の大半が五輪の中止、再延期を要望している。感染拡大に伴う緊急事態発出や変異型への懸念から「残念だけど難しい」というのが冷静で現実的な考えではないかと主張している(朝日新聞2021.1.26)。 

IOCなどが国民を置いてきぼりにした前のめりの姿勢にはスポーツ本来の価値実現より別な理由があるのだろうと見られているとも言う(同上)。

同感だ。 

そのIOC の古参委員のデイック・パウンドさんはもう延期はない。今年開催するか中止かの二者択一だという。日本では開催を疑問視する声が上がっているが、アスリートのことも考えてほしいというのだ(朝日新聞2021.1.27)。 

委員は、日本はコロナや自然災害を経験しているが、多くの人が日本に集い競い合う姿は多くの人に訴えるものがきっとあると総理がいう「コロナに打ち勝った証として」の発想と同じだ(同上)。 

IOCの幹部連中は弁護士の資格を持っている。自分から中止を言い出してIOC事業に損害を掛ける発言だけはしたくないのだろう。アスリートのためというが自分の立場が第一なのだ。 

誰が最初に言い出すか、そのきっかけを誰が作るか。アスリートの前に一国民であることを忘れてはいけない。国民の協賛がなくして何がスポーツなのか。

関連記事

2021.1.23掲載

東京オリンピック中止論の是非(1):「新型コロナウィルスに勝った証」か、「国民の健康第一」か

yamotojapan.blogspot.com/2021/01/blog-post_23.html

ワクチン接種での数量確保は「見通し」か「見込み」か

 

坂井官房副長官が「6月までに接種対象となるすべての国民に必要な数量の確保を「見込んでいる」と発言したことに対して河野担当相がクレームをつけ訂正を要求したが、坂井さんは撤回を拒否する事態が発生した。 

21日、菅総理も国会質疑で3億1000万人分を確保の「見込み」と言ったように官邸サイトは「見込み」と言っていたが、河野さんが「見通し」と言い出したことでどちらだと問題になった記憶がある。  

今までワクチン接種作業は官邸、厚労省、自治体がすでに検討に入っていたところに、急遽菅総理は河野行革担当相をワクチンの担当相に指名した。そこに齟齬が発生し一方が発信したことを片方が取り消す事態が噴出したのだ。 

「見込み」か「見通し」か、そんなに重要なことなのか。 

新型コロナウィルス対策も「不要不急の外出自粛」「時短」などを要請しても人出の状況は変わらず、感染者数は増加または高止まりの傾向だ。そこで唯一の感染防止対策としてワクチン接種が主要テーマになってきた。海外ではすでに接種しているテレビ映像が流れている。日本は取り組みが遅いのだ。 

簡単にワクチン接種というが安全性で国の承認が必要だし、なにぶんにもファイザー社の生産が接種スケジュールに大きく影響するのだ。 

そのスケジュールの「見通し」あるいは「見込み」が付きにくいのだろう。国語辞典を引くと「見通し」とは「先のほうまで見渡す」とか「物事の成り行きを見渡す」という意味がある、一方「見込む」とは「予想する」「有望と想う」「取り付く」という意味があるらしい。だとすると「見通す」の方が適しているのか。 

菅総理は26日の衆院予算委員会で「感染対策の決め手はワクチン。円滑に接種を進めていける「見通し」を一日も早く示す」と答弁した。今まで使っていた「見込み」を「見通し」に統一したのだ。 

このワクチン接種スケジュールはGOTOキャンペーン、東京オリンピック開催にも大きく影響する政策だが、現状ではなかなかうまく運んでいないと想われる。縦割りを止めて各省横断的に実施する必要性を認識し菅総理が河野さんを指名したのではないかと見られている。河野さんは「潰し屋」と見られており成功すればポスト菅の候補になるが失敗すれば政権にとって致命傷になる。 

菅総理も覇気がない。官房長官時代の自信に満ちた姿が予算委員会では見られないのだ。官房長官時代は直接国民から批判を受ける機会は無かったが、総理ともなると集中砲火を浴びるのだ。 

今後も節目節目で重要は判断をしなければならない。官邸、政権内でゴタゴタがあってはならないのだ。

2021年1月26日火曜日

国会予算委員会を見て:防戦、従来の政策の正当化、体調不良の菅総理か

 25日の衆院予算委員会を久しぶりにNHK中継で見た。野党の質問は国民の民意にもそう当然の質問内容だったが、菅総理をはじめ政府関係者の答弁は従来の政策を正当化する内容が目立ち、PDCAのC(検証、見直し)→A(実施)の品質管理のサイクルに欠けている。これでは目指す目標の遂行はできない。

GOTOトラベルの事業に1兆円の事業費が計上されていることに、今のご時世で「不謹慎」ではないかと言う野党の質問に、菅総理は緊急事態宣言解除後の事業再開のために計上したという。

そんなことなら予備費があるではないか。10兆円の予備費はどうなったのか。

噂通りペーパーの棒読みだ。菅さんは資料を見るのは間違いのないように内容を確認しながら発言していると言うのだ。確かにそうかもしれない。ペーパーなしの答弁ではバイデン大統領のことを「首相が変わっても・・」と間違っていた。自分の立場で質問のあった「日米外交」について答弁したのだろう。委員会室が騒がしくなった。

閣僚連中は答弁に不安感がある菅総理の答弁を回避しようとするシーンもあった。

新型コロナで自宅待機の患者が増え、当然に待機中あるいは急変で搬送中に死亡する事案が増えていることに関し、長妻さんが「実態を把握しているか」と総理を指名して質問したが、田村厚労相が勝手に手を挙げて答弁席に近づくのを制して「総理」「総理」と叫んだ。結果は田村厚労相が答えて、そのあと菅総理が「そういう事実があることは知っている」と答えたが、検証はしていないようだ。

過去にも「総理」「総理」と質問席で叫び有名になった女性議員がいた。

従来の政策を正当化する答弁が多いらしい。緊急事態宣言が遅れたことに対しては「素直に受け止める」と低姿勢だ。防戦一方だろう。下手なことを言うと政権の命取りになる。

江田さんが「党首討論」を提案すると「やってもいい」とは言ったが、菅総理にしてみれば一番嫌なイベントだ。やる気があるのであれば4か月の間にやっているはずだ。恰好悪いが逃げているのだ。ペーパーがないのだから不安がいっぱいなのだろう。

どうも体調が悪いらしい。のどの痛みと声が出ないという。一瞬新型コロナ感染を疑った。普通の風邪だとすぐ市販薬を飲めば改善するはずだ。官邸の医務官が治療しているというが本当のところはどうか。PCR検査を受けているかどうかも濁している。

国会議員も感染例が出てきたが、立憲民主の羽田さんは病院に行く途中で死亡する痛ましい事例があったばかりだが、一方で自民党の石原さんはすぐに入院となったようだ。国会議員でも差があるのか。上級国民は優遇されるのではなかったのか。そういうこともあってか菅さんは施政方針演説でワクチン接種に触れた時優先順位を言い、自分は72歳、高齢者と付け加えた。国会議員ではなく高齢者としての順番で摂取するというのだろう。

ところで予算委員会室の様子を見ると、発言者の前には大きなアクリール板が設置され対策はされているようだが、大臣席、委員会席は従来と変わらず蜜だ。室内の空気は入れ替わっているのか。巷ではCO2濃度の測定が推奨されているがどうなのか。

予算委員会での菅政権の発言は国民の民意をはかけ離れた傾向が見ある。今後の政局に耐えることができるのか。

海外では「菅政権は短命政権」と見られている。このままでは外交も無理ではないか。

関連記事

2021.1.23掲載

菅総理は度も暗い持つか:大丈夫か質疑応答、政局を乗り切れるか yamotojapan.blogspot.com/2021/01/blog-post_52.html






2021年1月25日月曜日

バイデン新大統領の同盟強化で日本はどういう位置づけか

 

バイデン大統領の外交が始まったという。22日にはカナダ・トルドー首相とメキシコ アンドレス・ロペスオ・ブラール大統領と電話会談し、まず隣国との関係改善に着手した。カナダとは米加関係で戦略的重要性があり、新型コロナ対策、温暖化で協議、1ヵ月後に再会談を約束した。

メキシコとは移民問題、国境に壁建設とトランプ政権は厳しい対応をとった。メキシコ国境に移民が集まるテレビ映像には相当の事情があることがうかがえた。 

サギ・大統領報道官によると、北の核ミサイル開発は日本、韓国など同盟国と協議するつもりらしい。トランプ政権ではトランプー金委員長の友好関係で会談を持っていたが、成果は上がらず金委員長は寧辺の各施設を放棄することしか考えていなかったのでハノイ会談もトランプ氏が途中で席を立ち、会談は失敗に終わった。バイデン大統領は多国間協議を進めるつもりか。 

菅総理も早い時期からバイデン大統領との会談を希望しているが、新聞報道ではうまく行っていないようだ。スケジュールが合わないのか。 

それとも海外では「菅政権は短命政権」と見られているので日本での菅政権の今後の様子見をしているのか。会談しても直ぐ辞任では話にならない。 

しかし、自民党の総理にしてみればまず第一に米国大統領と会談し日米安全保障を維持し、「尖閣は日米安保の適用」の言質を取ることが必要なのだ。

過去に麻生さんが総理のときにアメリカ訪問を計画したがスケジュールがあわずそれでも麻生さんはアメリカに日帰り出張したのだ。国務大臣(?)と会談中に近くを大統領が通り、顔を合わせた演出になったと記憶している。 

「尖閣は日米安保適用」は岸防衛相とオーステイン国防大臣との24日の電話会談で確認されたという。

日米首脳会談は何時になるのか。イギリスのG7の席になるのか。 

ドイツ・メルケル首相、フランス・マクロン大統領も同盟国でありながら米軍NATO駐留ではギクシャクしていた。軍事費増額や縮小が新聞で話題になっていた。同盟国の絆を強固にするためには難しい交渉が待っている。

 

 

尖閣諸島めぐる問題:中国・海警法で武器使用容認vs日本・日米安保の適用範囲

 尖閣諸島をめぐる問題で新しい動きか。中国は海警法で武器使用を容認する法案が成立した、一方日本は岸防衛相とオーステイン国防長官との電話会談で「日米安保の適用」を確認したという。中国の報道官は中国固有の領土で国際法に従った対応と強弁する。

中国のごり押しは海洋進出で太平洋への道を確保する対アメリカ対策ではないか。南シナ海では島を軍港化し海洋交通の主導権を握ろうと企て、アメリカは航行の自由を求め艦船を派遣している。同盟国のドイツ、イギリス、オーストラリアも同調する。

尖閣諸島は沖縄が日本に返還された50年ほど前に日本の領土となったが地下資源開発とも絡んで中国が領土を主張しだした。ゴタゴタしているのを見て当時の石原東京都知事が所有者から買い取り交渉したが、民主党野田政権が東京都ではなく国が買い取ったほうが中国とのトラブルは少ないだろうと判断し国有にした。

2022年に50年になるが、その間国土であること主張しなければ日本のものになってしまうので中国が既成事実として領海侵犯を取り締まり中国が国土を守っている姿勢をアピールしているのだろう。

でも実際に武器を使用することがあるのか。日本漁船には脅しとして使用することもあるだろうが、巡視船など公船に対してはどうだろうか。初めに発砲した方が国際批判を浴びることはわかっている。

政治的に不安定な日中関係に経済では何故、関係が良好なのか。それも今後のアメリカの対中政策で変わる可能性もあるのか。



菅内閣支持率33%は何を意味するのか

 

菅政権が当然のことだろうが支持率が30%台になり危険水域に落ちてきた。朝日新聞世論調査(2021.1.25)は「支持する33%」、「支持しない45%」と朝日新聞は何時も厳しい結果だが、今回は違う。読売新聞も「支持する39%」、「支持しない49%」と比較的甘い読売新聞でも厳しい結果が出ているのだ。 

何を意味するのか、発足当初は65%という支持率が4ヶ月ほどで急落しているのだ。評価が高かった大手メデイアや評論家は赤っ恥をかいているのではないか。 

石破さんや岸田さんに比べて安倍長期政権下で官房長官としての実績が評価され、「無派閥たたき上げ」「非世襲」のプロフィールの好感がもたれたのか。 

確か実務者タイプと評価されていた。安倍政権が新型ウィルス対策で右往左往し、政権放り出しで混乱しているのを修復するには実務者が要求されるのだ。

そしてこれと言った新しい政策がない自民党にとっては「安倍政権の継承」が楽で、それには官房長官として支えた菅さんが適任で二階さんから「菅さんしかいない」と説得されたらしい。 

でも分かりにくいのは「安倍政権の何を継承するのか」だ。 

安倍政権には負のレガシーが付きまとう。モリトモ事件での公文書偽造、隠蔽は民主政治の根幹を揺るがし、「桜を見る会」「夕食会」の政治資金規正法違反、公選法違反事件が公設第一秘書が略式起訴、安倍さん本人は「関与していなかった」として不起訴処分になったが、東京検察審査会が黙っていないだろう。強制起訴の可能性もあるのだ。 

「政治とかね」の問題で、吉川元農水相の収賄事件、広島選挙区での河井議員の買収事件が目立つがそれには二階さんや菅さんが関与しているのだ。 

一切口をつぐみ、説明責任を果たさない。「くさい物にはふた」の政治手法を受け継いだのか。 

恐らく安倍外交の継承もあるだろう。「開かれたインド太平洋」構想、自衛隊の海外派遣、集団的自衛権行使、対北での核ミサイル問題などがあるが、トランプ氏が大統領選に破れ、弾劾裁判の可能性まで出てきた。安倍さんの築いた友好関係も反故になった今、バイデン新大統領と新たな関係を築く必要が出てきた。 

安倍氏が辞任のきっかけになった新型コロナウィルスでの対策の右往左往は継承しているが、これが支持率下落の最大の要因になっている。 

GOTOトラベル、飲食業をどう守るか、観光地の支援など経済再生に重点を置く菅政権にしてみれば緊急事態宣言は避けて通るべきだったのだろうが現下の感染者数の爆発で「後手の発出」になり「宣言が遅すぎた80%」「評価しない63%」「指導力が発揮されていない73%」の結果になった。 

そしてこれも喫緊の課題である東京オリンピックの開催の是非だ。88%が「中止」または「再延期」だ。それにもかかわらず「新型コロナウィルスに勝った証」として「必ずやり遂げる」とコメントしている。 

関係する自治体やアスリートは早く方針を出してほしいという。 

誰が言い出すのか。菅総理、小池知事が自ら中止を発言することはないだろう。余りにも危険な判断なのだが、森さんあたりがポロリと漏らすか。IOC会長だって判断をギリギリまで延ばしたいだろう。 

困るのは、東京都、関連自治体、アスリートだろう。アスリートや競技団体が「国民に寄り添う」と発言すればいいのだ。新型コロナが入り込み、国中に変異株が蔓延する危険を誰が止めるのか。 

「国民の健康、安全な生活環境」を守るのは菅総理の仕事ではないのか。判断を誤れば一気に20%台だろう。 

そして今後はどうなるか。「ポスト菅」?

「次は誰」と裁定を下す人材がいるかというと二階さんだろうが、菅総理の失敗は二階さんにも責任がある。各種業界と利権関係にあるが政治判断を狂わす原因にもなり不適だ。

宏池会復興で前回第2位だった岸田さんも可能性はあるが麻生さんがどう動くか。安倍さんも終盤支持の意向だったが今は自らのことで求心力を失っている。最大派閥の細田派には候補者はいるが人気、実力では未知数か。 

急遽ワクチン担当になった河野さんを後継者(?)にしようと菅さんが目論んでいるようだが、「潰し屋」としての評価は分かるが、構築し進めていく才能はどうか。 

前回第3位と潰された石破さんも地方も含め全員投票では出馬するのではないか。しかしなにぶんにも正論を吐くことで犠牲になる仲間もいることを忘れるなと竹下さんに忠告されたという。

そのためか、菅政権の支持率低下でも「気にするな」と政権に発破を掛けている。出馬の意向があるのか。 

野党も政権交代のチャンスだが政党支持率6%では覚束ないが、細かいことは言わず大同団結で野党を支持することは出来ないか。採取から政策の一致を見ていると団結など出来ない。原発、エネルギー問題、憲法改正など直ぐに解決できる問題ではないだろう。

 

2021年1月24日日曜日

今日の新聞を読んで(431):やっぱり悪いニュースほど早く世界を回るのか

 

米大統領選でトランプ氏が指摘した「不正選挙」に関する情報がツイッターで世界を駆け巡っている。ツイッターを見ない私は大手メデイアのニュースでしか目にしないが、怪情報の伝達速さは根拠のある情報より6倍も早いというのだ。 

以前、悪い情報の方が良い情報より早く世界を駆け巡るという記事を見たことがある。だから世界中は悪いニュースに満ちている。新型コロナウィルスでもそうだ。ワクチン接種が良いニュースになるが安全性、供給では問題が残る。 

寺田寅彦博士が「毎日の新聞のせいで生活上の不安が多い。新聞が無かったらどんなに安心な生活が出来るか」と、新聞を日刊ではなく、週刊、旬刊にしたらどうだろうとその随筆で提案したことがある(随筆 「一つの思考実験」大正11年)。

読売新聞(2021.1.24)「怪情報 即座に「輸入」に米大統領選に関する大量の怪情報が日本にも浸透したことをマサチューセッツ工科大の研究チームがツイッターの英文情報を調査したという。 

怪情報と事実に基づいた情報が1500人に届く時間を比較した結果、怪情報が6倍早く伝わったという。 

怪情報の発信源は身元不明のアカウントで輸入され、日本語で発信されていたという。身元が分からないから誤った情報を流すことが出来るのか。皆が言っているから正しいと想っていたのか。 

菅総理のことでは海外から「短命政権」というニュース、東京五輪中止論が連立与党の幹部が発言したというニュースが流れ、政府は躍起になって打ち消し、犯人探しをしているらしい。 

これらは決っして怪情報ではないが、海外のメデイアから発せられたということは日本のメデイアはどうしてニュースが取れないのか。菅政権に対するメデイアの弱さが影響しているのか。 

それこそ問題なのだ。

今日の新聞を読んで(430):支持率、求心力が総理の条件か

 

内閣支持率が下がると「メデイアの世論調査での支持率に一喜一憂せず、政治を前に進めよ」と自民党の誰かが言ったと記憶しているが、国民に都合のいいことがあれば支持率は上がるが、国民にとって厳しい政策でも遂行しなければならないのが総理であり、政権だ。 

新型コロナ対策で支持率を30%台に落とす菅総理にとって緊急事態宣言の期限である後2週間に東京の感染者数が500人以下になることを一番願っているはずだが、期待するワクチン接種も菅総理の「6月まで・・・」という発言をよそに河野担当相、官房副長官、厚生労働相で情報の不統一が目立つ。 

更には東京オリンピック開催の是非が海外から入ってくるし、朝日新聞のアンケート記事でアスリートにも複雑な思いがあるようだ。女子長距離ランナーの新谷選手がテレビで「アスリートとしては開催を希望するが、国民としては中止したほうが言い」と複雑な心境を吐露したが正論だろう。 

菅総理は「コロナに勝った証」としてやるしかないと思っているようだが、国民の8割は「中止」だ。判断を誤り、混乱を増せば支持率は下がる。 

支持率が下がれば自民党内での求心力も低下、総選挙に向け「選挙の顔」ではないと「菅降ろし」が始まるだろう。そうなるとポスト菅がいるのか。菅内閣支持の理由に「他の人よりマシ」と消去法での支持が高い。 

朝日新聞(2021.1.24)「日曜に想う 「求心力 回復のパターンはあるか」が目に留まった。

 

朝日新聞 2021.1.24

自民党のリーダーの生まれ方を4つの類型にまとめ、「無投票型」2人、「野党総裁型」2人、「派閥優先型」8人、「挑戦型」2人にまとめている。 

今の菅総理は「派閥優先型」に属している。二階さん主導で「安倍政権の継承」をうたい文句に「菅さんしかいない」とすでに名乗りを上げていた石破さん、岸田さんに挑戦した。全党員投票だと地方で人気のある石破さんに勝てないと見たのか二階さんは国会議員による投票にごり押しした。結果、石破さんは3位、岸田さんが2位になり石破さんの芽を摘んだ。 

自民党政権のリーダーは「派閥優先型」が多く、14回のリーダー選びで8回だ。安倍さん、菅さんを除いては皆派閥の長だが、町村派で町村さんが出馬したので安倍さんに「降りろ」という声が上がったが安倍さんは断り、安倍さんが勝ったのが9年前の総裁選だった。政権を放り出した安倍さんは再び政権の座に着いたのには驚いた。 

「無投票型」では宇野さん、森さんがいる。 

宇野さんはリクルート事件で辞任した竹下さんが指名したが、「妾」問題が出てきて短期で辞任した。総選挙にも街頭に立てない状況だった。森さんは「神の国」発言などで顰蹙をかいこれも短期政権だったが、当時の総理の小渕さんが病に倒れて後継をどうするかになったが、自民党の重鎮が集まり密室で「次は森さん」と決めた。表向きは小渕さんの意向となっているが、小渕さんはそんなことが言える状況ではなかったのだ。 

無投票というと椎名裁定でクリーンな三木さんが総裁、総理になったことを想い出す。金権政治で「政治とかね」が問題になって田中内閣の後、「クリーンさ」を強調するために椎名さんが三木さんを指名したのだ。 

その三木さんも党内のゴタゴタで「三木おろし」になり短命に終わった。国民の支持は得たが、党内での反発が高まったのだ。三木派も自民党内では弱小派閥だった。 

総理になれなかった「野党総裁型」に河野さん、谷垣さんがいる。河野さんは当時「総裁になれなかった唯一の総裁」といわれたが、今谷垣さんが加わった。谷垣さんは自民党が下野しゴタゴタしていたときに自民党をまとめた。政権奪取前の総裁選で谷垣さんが本命であったが、当時の幹事長だった石原さんの出馬意向が強かったために出馬を断念した。自民党が不利な立場に立ったとき何時も「谷垣頼み」が出てくるが、今は引退した。 

今、谷垣さんが引退していなければ自民党の「救世主」として総裁、総理の芽が出ていたのではないか。惜しい人材だった。 

そして何と言ってもポピュリズムの台頭になった「挑戦型」の小泉、2期目の安倍さんだろう。小泉さんはすでに数回総裁選に出馬し、名前も知れ渡っていたが、泡沫候補から立ち上がった。「反対するものは抵抗勢力」と自民党重鎮を黙らし、郵政民営化、高齢議員の辞任など改革に力を入れた。年金制度が社会問題化する前に国会を閉じ、早々と議員辞職し総理としての汚点を残さずにすんだ。「後任は」と聞かれ「安倍で良いだろう」と後継者を指名した。 

就任時は期待感もあって支持率は高いが、次第に能力がばれて下落、特に国民生活の大きな影響がある政策、たとえば民主党菅政権時の福島第一原発事故対応、そして今の新型コロナウィルス対応での国民の不満は手厳しい。どの政権でもこの種の対応は苦手なようだ。

求心力は党内問題だ。大臣待望組のどう答えるか、派閥の長の支持、選挙に強いかなどが左右する。安倍政権が長期政権だったのは、「恐がられた」ことと選挙に強かったことではないか。 

自民党政権は政権を維持するために不祥事には説明責任を果たさず、つぶしにかかり、内閣人事制度を悪用し忖度政治、公文書偽造、隠蔽など民主政治の根幹を揺るがす事態になり、改善の気配すら感じられない。 

野党は政権交代できる状況にはない。ここは自民党内での政権交代に掛けるしかない。

 

2021年1月23日土曜日

菅総理はどのくらい持つか:大丈夫か質疑応答能力、政局を乗り切れるか

 

菅総理に期待していたわけではないが、ペーパーの棒読みは本当に菅総理の能力を反映しているのか。菅内閣支持率低下は政局の主導権に欠けているためか。官房長官として安倍政権下での難局切り抜け、総裁選では石破、岸田派を除く派閥が総じて菅支持で期待感は高まったが、実態は残念としか言いようがないか。 

特に記者会見でのペーパーの棒読みは一国のリーダーとしてはみっともない。 

ペーパーの棒読みは衆参の規則で禁止されていると法律書で読んだことがある。棒読みが目立ちだしたのは、民主党政権時、小沢さんが委員会などで野党の質問に大臣が知っていることを答え、従来細かい、技術的問題は出席している官僚に答えさせていたが、これを止めて大臣がすべてを答えることに改めたことだ。 

大臣でも所管の政策ですべてを把握しているはずはない。当然に官僚が翌日の質問者を回って質問事項を集め、担当の官僚が答弁書を作成、翌朝大臣はレクチャーを受けて委員会に出席することが常態化した。 

そんなにしんどい仕事でも国会議員は大臣になりたがる。当選回数で大臣になれる順番が決まるようだが、何らかの理由でなれない議員も出てくる。だから力のある二階派に鞍替えし大臣になれたH議員もいれば、すでに資格はあるがなりたがらない岡山選挙区のA議員もいる。大臣に付いたらあらぬことが表ざたになることを嫌っているのだが、そういう問題がありながら大臣になって恥を晒す議員もいる。 

著名な議員だったが、族議員ではない防衛相になったのは良いが、答弁が覚束ない。委員会では一番後ろの大臣席に座りその後ろを官僚が取り囲み耳打ちしたり、ペーパーの答弁箇所を示していた。 

本人は恥を国民や選挙民に晒したと思っていないのか。 

ところで、菅総理はどうなんだ。 

ペーパーの棒読み、読み間違い、それにも気づかず訂正もしない。答弁が短く時間が余ると野党からクレームがつくこともあるらしい。野党の質問、新たな提案にも従来の政策を正当化する発言しかしない。だから立憲の枝野さんから「正常化バイアス」と揶揄される始末だ。自分の政策が一番正しいと思っている。

安倍政策を継続しているというが、説明責任を果たさないのも受け継いでいる。さすがにまずいと気が付いたのか施政方針で演説で謝罪した。日本学術会議の新メンバーのうち6人を承認しなかった理由を頑なに拒み支持率低下の要因にもなっている。 

メデイアの報道によると官僚の間では「国家観が無くキャパが小さい」といわれている。施政方針では日本をどうしようとしているのか分からないという批判もあった。 

野党が提案している政策の見直しにも応じない。キャパが小さいのだろうが、菅総理は自ら政策を主導しているので、途中からの変更などプライドが許さないのだろう。 

政策運営に今こそPDCAのサイクルが必要になるが分かっていないのだ。 

ところで内閣支持率が下がる状況下で菅さんはどう振舞えるのか。 

東京オリンピックの是非は小池知事や森組織委員長、IOCに振り回されるだろう。海外からの観光客を受け入れたい菅総理は「新型コロナに勝った証」として「必ずやり遂げる」とビル・ゲイツさんにまで約束した。「国民の健康第一」ではないのか。 

緊急事態宣言の解除あるいは延長の判断を誰がするのか。宣言は総理の責任だが、対策は自治体の首長だ。また小池知事の官邸訪問が始まるのか。このシーンだけは避けた方が言い。「後手」と見られる。 

都議選は小池知事と二階幹事長に振り回されるか。都民ファーストの会と自民党都連の関係はどうか。また小池さんの二階詣でが始まるのか。 

衆院選で菅さんは「選挙の顔」になれるか。二階vs他派閥抗争が起きないか。二階さんでは公認争いが始まる。最終決定は菅総裁というが、菅さんは二階さんに担がれた総裁だ。主導権は得られないだろう。 

こんな見方をするとポスト菅」ということになる。海外では短命内閣とレッテルを貼られたらしい。こうなるとG7での存在感も? 

まずペーパーの棒読みをやめ、野党、専門家の話を良く聞くことだ。記者会見でも記者の質問に丁寧に答える姿がほしい。国民に要請する前に政治家から実践し国民の信頼を取り戻すことだ。「強面顔」はどうしようもない。

東京オリンピック中止論の是非(1):「新型コロナに勝った証」か、「国民の健康第一」か

 

後、半年後というのにまた東京オリンピック開催の是非論が沸いてきた。英・タイムズが連立与党幹部の話として日本政府が非公式に「中止論」にいたっているという報道がされ、当然に政府関係者は否定した。 

菅総理は「新型コロナに打ち勝った証」として東京オリンピックを必ずやり遂げると事あるごとに発言している。どういう条件であれば「新型コロナに打ち勝った」と言るのか。西村担当相が言う東京で新感染者数が500人以下、あるいはステージ3なのか。 

新型コロナウィルスの感染者の増加が止まらない。緊急事態宣言発出から2週間、「1ヵ月で成果を出す」と菅総理は言うが、「人出は減らず」、マンネリ、気の緩み、変異株も見つかり市中感染の危険もありコントロールの難しさが目立ってきた。誘致運動の時、安倍さんが福島第一原発事故に「アンダーコントロール」と発言したが、 又「アンダーコントロール」とボラを吹くのか。

今、政治の喫緊の課題は「国民の健康を守る」ことではないのか。ワクチンの接種が始まればオリンピック開催には有利になることは分かるが、ワクチン接種計画にも政府内で齟齬があるという。河野担当相が内閣官房副長官の「6月までに接種対象・・・」発言に修正を要求したという。 

ワクチン接種では安全性の確保など専門家の間でも異論が出ている。 

実際に何時までに誰が開催の是非を決めるのか。IOCに決定権があるというが、日本では誰が言い出すのか。組織委員会、政府関係者、JOC関係者の誰も中止論を言い出すのはいやだろう。 

誰かが最初に言い出し、その方向で世論が進み「中止」あるいは「延期」になることを期待しているのではないか。 

しかし、現状は開催を前提に開会形式が議論されている。観客の規模について「上限なし」「50%」無観客」の3案があるという。期間中の海外からの観光客、選手団および関係者をどう受け入れるのか。 

日本は水際対策が下手だ。変異株がもぐりこむ危険は非常に大きい。選手村と競技場を往復するだけで観光は禁止なんてことが出来るのか。黙って夜の繁華街に遊ばれたらどうするのか。 

海外からの選手団の航空機の中で陽性者が見つかった場合、2週間の隔離をどうするのか。今、オーストラリアで予定されている競技で実際に陽性者が見つかり選手団は隔離されているというが、選手は不満タラタラらしい。 

東京は今でも医療機関、療養待機場所がパンク状態なのにどうするのか。「国民、都民」を犠牲にするのか。 

7月の東京オリンピックの開催が無理な予測がすでに出ている。京大・西浦教授のシミュレーションだ。 

民放情報番組より

西浦先生は、今回の緊急事態宣言の内容と、前回の緊急事態宣言の内容の違い、実効再生産者数を1.1で予測した場合に今回の緊急事態の内容だと感染者数は減らず2回のピークが出るという。一方、前回の内容だと感染者数は減るが7月に再びピークが来るというのだ。 

どちらの予測も7月に感染者数のピークが来るのだ。東京オリンピック直前に今のような状況が出るのだ。 

その時、世界の感染者数の発生状況はどうなっているか。世界最大の感染者を出しているアメリカは、ワクチン接種を進めれば沈静化するのか。沈静化しなかったり、日本が感染者のピークを迎える状況ではアメリカは選手団派遣にどう対応するか。

入場者数を制限すれば減収になる。3月には聖火リレーがはじまる。組織委員会への出向者、ボランテイアの確保、今回の緊急事態宣言の効果が無く延長されるのか。我々東京都民の負担はどうなるのか。専門家によると中止の場合の経済損失は5兆円とも言われている。 

しかし、問題は無理やり東京オリンピックを開催し、海外から選手団、関係者が入国し大会は終わったが、後に新型コロナウィルスを撒き散らされる結果に終わらないか。 

「国民の健康」を第一に考えると東京オリンピックは「中止」だ。政治家は自分のプライドばかり気にしているから判断を誤る。国民の8割は「中止」なのだ。

「どうしたら開催できるか」の問題ではない。「どうしたら止めることができるか」だ。

2021年1月22日金曜日

今日の新聞を読んで(429):バイデン政権で日米はどう変わるか

 

読売新聞 2021.1.22

20日の新大統領就任式がどうなるか注目していたが、厳重な警戒下、一部のトランプ支持者も落ち着いたのか、トランプ氏の退任式の方に参加したのか無事に終わった。バイデン氏は国内では「分断から団結」、外交では同盟の修復、国際関係の改善を同盟国は期待している。 

民主党政権であるが、上院、下院での議席数はかろうじて民主党優位であるが、共和党内にも隠れトランプ勢力は残り、民主党内でもサンダース氏引きいる左派も勢力を維持している。 

おまけにバイデン氏自身が「2021年世界10大リスク」のトップに掲げられている。4年間、何かが起こりそうな気配もする。 

トランプ氏は「また戻ってくる」と言い残しワシントンを去ったというが2024年に再出馬でも考えているのか。その時、バイデン政権に付け入る隙があるのか。それは今まで4年間のレガシーの問題だ。 

「アメリカ第一」「保護主義」はアメリカの国益を守っていたのか、ビジネス、私権が疑われるシーンが多かった。北の金委員長とは個人的友好関係を維持していただけだ。 

2人は就任式で顔を合わせなかったそうだが新聞報道によるとトランプ氏は手紙を書き残していたというが、バイデン氏は内容は今は言えないという。4年間の実績を書き残しけん制したのか。 

菅総理はバイデン氏就任に当たり訪米しての会談を急いでいるようだ、自民党政権は日米安保に基盤を持っている。新型コロナの問題がある。とりあえずは祝意を伝えたらしい。 

ところがあれほど友好関係を築いた安倍氏はどうしたのか。最近のトランプ氏の言動、トランプ支持者の国会議事堂乱入事件、更には自らの立場を考えてコメントを発しなかったのか。菅総理に対する配慮もあったのか。 

バイデン氏の外交が本格化するのはイギリスでのG7か。同盟国は混乱の時代は終わった、関係修復に期待する。「パリ協定」復帰の当たってはマクロン氏が「お帰りなさい」と祝意を発したほどだ。 

一方中国も外務省報道官が「約束を守ろう」とバイデン政権をけん制すれば、バイデン政権の報道官は「真実と透明性」を主張する。ツイッターでのフェイクニュース、唐突な政策に振り回された反省からか。 

バイデン政権で一体日本はどうなるか。トランプ氏は米国の巨額な兵器を何かにつけて買わそうとした。安倍氏も頼みごとにつけ土産を持参した。北朝鮮への拉致問題では日本に好意的だった。 

○一帯一路vs開かれたインド太平洋構想は中国の覇権主義をけん制する政策だが、安倍総理の「開かれたインド太平洋」構想がトランプ政権に採用された。バイデン政権になってその調整官が任命され、日本の「開かれたインド太平洋」構想も日の目を見ることになった。

○対中国での尖閣諸島領海侵犯問題では「日米安保の適用範囲」の言質をとることが重要なのだ。菅総理が急いでバイデン氏と会談し中国をけん制する目的があるのだ。 

○これと関係し、南シナ海。東シナ海での自由航行権の維持が必要だ。アメリカにドイツ、イギリス、オーストラリアが同調し軍艦を派遣している。日本はどう対応するか。 

日本近海での地下資源開発にも中国は興味を持っている。太平洋への出口ルートの確保もあるのだろう。 

○対北朝鮮での核、ミサイル開発問題、北は寧辺の核施設を放棄すれば米国は合意するだろうと思っていたふしがあるが、トランプ氏は拒否した。ハノイ会談を最後に一切進展していないのだ。ミサイル開発は日本上空をアメリカまで到達する能力もあるらしい。 

ミサイル攻撃を防御するためにイージスアジョア計画があったが技術的に難点があり河野氏が計画を中止した。変わりに海上のイージスアジョア計画が進んでいるようだ。日本の防衛費も5兆円を超えようとしている。 

○駐留米軍費の増額要求が同盟国に伝えられた。ドイツが渋ると撤退、縮小を言い出した。韓国は合意したらしいが日本は現在の2000億円から8000億円を超えるらしい。日本は狭い国土でありながら米軍に基地を提供している。トランプ氏は「日本を守るため」というが、アメリカの国際戦略構想のための海兵隊組織の維持は、沖縄駐留が一番経費的に安いのだ。 

○イエーレンさんが財務長官に就任するらしい。FRBの議長だった。金融緩和策の継続だ。ECBも日銀も同調だ。日銀の新しい政策委員にも量的緩和派が就任するという。 

物価上昇も2%だ。安定的に2%を目指すというので一時的に2%を超えるのは容認するという。しかし可能性があるのか。 

バイデン政権は「ドル安」を目論んではいないようだ。「ドル高」で強いドルを目指しているのか。 

○国際関係の修復は、WHOへの復帰、「パリ協定」への復帰、イラン核合意、国連問題、イスラエル、トルコなどアメリカの権益を守る目論みがあるのだ。 

日本のメデイアはアメリカの情報を詳しく伝えてくれる。しばらくは注目だ。