2021年1月23日土曜日

東京オリンピック中止論の是非(1):「新型コロナに勝った証」か、「国民の健康第一」か

 

後、半年後というのにまた東京オリンピック開催の是非論が沸いてきた。英・タイムズが連立与党幹部の話として日本政府が非公式に「中止論」にいたっているという報道がされ、当然に政府関係者は否定した。 

菅総理は「新型コロナに打ち勝った証」として東京オリンピックを必ずやり遂げると事あるごとに発言している。どういう条件であれば「新型コロナに打ち勝った」と言るのか。西村担当相が言う東京で新感染者数が500人以下、あるいはステージ3なのか。 

新型コロナウィルスの感染者の増加が止まらない。緊急事態宣言発出から2週間、「1ヵ月で成果を出す」と菅総理は言うが、「人出は減らず」、マンネリ、気の緩み、変異株も見つかり市中感染の危険もありコントロールの難しさが目立ってきた。誘致運動の時、安倍さんが福島第一原発事故に「アンダーコントロール」と発言したが、 又「アンダーコントロール」とボラを吹くのか。

今、政治の喫緊の課題は「国民の健康を守る」ことではないのか。ワクチンの接種が始まればオリンピック開催には有利になることは分かるが、ワクチン接種計画にも政府内で齟齬があるという。河野担当相が内閣官房副長官の「6月までに接種対象・・・」発言に修正を要求したという。 

ワクチン接種では安全性の確保など専門家の間でも異論が出ている。 

実際に何時までに誰が開催の是非を決めるのか。IOCに決定権があるというが、日本では誰が言い出すのか。組織委員会、政府関係者、JOC関係者の誰も中止論を言い出すのはいやだろう。 

誰かが最初に言い出し、その方向で世論が進み「中止」あるいは「延期」になることを期待しているのではないか。 

しかし、現状は開催を前提に開会形式が議論されている。観客の規模について「上限なし」「50%」無観客」の3案があるという。期間中の海外からの観光客、選手団および関係者をどう受け入れるのか。 

日本は水際対策が下手だ。変異株がもぐりこむ危険は非常に大きい。選手村と競技場を往復するだけで観光は禁止なんてことが出来るのか。黙って夜の繁華街に遊ばれたらどうするのか。 

海外からの選手団の航空機の中で陽性者が見つかった場合、2週間の隔離をどうするのか。今、オーストラリアで予定されている競技で実際に陽性者が見つかり選手団は隔離されているというが、選手は不満タラタラらしい。 

東京は今でも医療機関、療養待機場所がパンク状態なのにどうするのか。「国民、都民」を犠牲にするのか。 

7月の東京オリンピックの開催が無理な予測がすでに出ている。京大・西浦教授のシミュレーションだ。 

民放情報番組より

西浦先生は、今回の緊急事態宣言の内容と、前回の緊急事態宣言の内容の違い、実効再生産者数を1.1で予測した場合に今回の緊急事態の内容だと感染者数は減らず2回のピークが出るという。一方、前回の内容だと感染者数は減るが7月に再びピークが来るというのだ。 

どちらの予測も7月に感染者数のピークが来るのだ。東京オリンピック直前に今のような状況が出るのだ。 

その時、世界の感染者数の発生状況はどうなっているか。世界最大の感染者を出しているアメリカは、ワクチン接種を進めれば沈静化するのか。沈静化しなかったり、日本が感染者のピークを迎える状況ではアメリカは選手団派遣にどう対応するか。

入場者数を制限すれば減収になる。3月には聖火リレーがはじまる。組織委員会への出向者、ボランテイアの確保、今回の緊急事態宣言の効果が無く延長されるのか。我々東京都民の負担はどうなるのか。専門家によると中止の場合の経済損失は5兆円とも言われている。 

しかし、問題は無理やり東京オリンピックを開催し、海外から選手団、関係者が入国し大会は終わったが、後に新型コロナウィルスを撒き散らされる結果に終わらないか。 

「国民の健康」を第一に考えると東京オリンピックは「中止」だ。政治家は自分のプライドばかり気にしているから判断を誤る。国民の8割は「中止」なのだ。

「どうしたら開催できるか」の問題ではない。「どうしたら止めることができるか」だ。

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