2011年1月25日火曜日

菅首相施政方針演説:今まで出来なかったことが、本当に出来るのか




177回通常国会での首相の施政方針を聞こうとチャンネルを合わせた。「元気な日本復活を目指し、どんな国を作るのか、どうあるべきか」を申し上げると言い3つの国づくり理念を述べた。「平成の開国」、「最小不幸社会の実現」、「不条理を糾す政治」だ。

「平成の開国」は、APEC開催にあたり唐突な感のあるTPPへの参加で出てきた。農林漁業に大きな影響が出ることから、与野党問わず族議員(?)の猛反発が出ている。選挙を控えればダンマリを決め込むしかない。

若者の農業離れが進む中、若い人が参加できる豊かな農村生活が可能なように農業者戸別所得保障制度を導入したと言うが,実際に農業従事者に聞くと、その分農産物の出荷分から差し引きを強要され、何のメリットもないらしい。

雇用も成長戦略に結びつけようと法人税の5%下げ、中小法人の軽減税率も3%引き下げたという。しかし、企業が新しい成長分野への進出、雇用の創出に答えるかというと確信はない。逆に地球温暖化、再生エネルギー買い取り制度導入で企業、家計へ負担が強要される。

最小不幸社会実現に向けても雇用は重要課題である。成長が期待される医療、介護、子育てや環境の分野での雇用の創出が念頭に置かれている。しかし、この医療、介護、子育て分野は税金による補助金頼みの分野である。事業拡大、職員の待遇改善では当然に国の政策、財源が影響する。

今までだって何時のそのことが指摘されるが、良い方向に進んだとは聞かない。

国の安定財源の確保が先決だ。社会保障と税の共通番号制度を創設すると、税の取りこぼしなくなるという。国民背番号化が話題になったとき猛反対されたことがあるが、納税義務をすり抜けるなんて許されない。

「社会的孤立」問題は高齢化社会に向かって避けて通れない。身よりのない人が孤独死する事件も見受けられる。巨大な団地、地域社会で一人暮らし高齢者宅への訪問活動を進めている組織もあるが、NPO法人として認めて資金援助していく方法もあるのではないか。

不条理をただす政治では、社会問題に対して政治がどう関わるかが述べられている。

政治家の不透明な政治資金の問題も国民が求める「政治改革」としてあげられている。政治資金の一層の透明化、企業・団体献金の禁止、などいつも上げられる項目であるが、今までどうだったのか。「政治とカネ」の問題での小沢さんの政治資金疑惑は、国会での説明責任も果たせず、おまけに民主党内には小沢さんを擁護するうごきがあり、党内抗争の様相を呈している。国民としては迷惑な話だ。

国会議員には、まだやってもらわなければならないコトがある。行政のムダの徹底排除、自らの問題としての議員定数削減、公務員制度改革、国家公務員人件費の2割削減、天下り改革などである。

菅総理は国民の皆さんと一緒に考えていきたいと言う。しかし、ムダの排除、議員数削減、公務員制度改革、天下り廃止など国民の誰一人として満足はしていない結果だ。難しい問題は「先送り」がうまかった菅さんはこれからどう進めようとしているのか。国家公務員制度改革など支持母体に官公労を抱える民主党では、できっこないと言うのが定説ではないか。

国民と一緒に考えようと言うのであれば、解散・総選挙で国民の信を問うべきだ。
写真左:国会で施政方針を説明する菅総理 2011.1.24NHK国会中継
写真右:菅首相施政方針演説全文 2011.1.25読売新聞

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