2011年3月20日日曜日

平成23年東北地方太平洋沖地震(5):「防災計画は、まったく役に立たなかった」







南三陸町長の「防災計画は全く役に立たなかった」という発言は、今回の大災害で最も印象に残ったコメントだった。行政の長としての発言だからその重みは違う。想像を超える大津波とその被害の大きさに、このコメントが出たのだろう。

一方で、釜石市の防災教育に協力した群馬大の片山さんが、現地調査をしている姿をテレビで見た。街は消滅する程の被害であったが、中学生が小学生を引率して避難所から避難所へ移動する光景を写した写真が紹介された。片山さんの防災教育を忠実に守っている姿に写真を見た私も感動した。

大震災を報道するテレビにコメンテーターとして防災コンサルタントのような肩書きを持った人が発言、指摘している。この人達も自治体の防災計画づくりに参加していると思うのだが、一向に反省のようなコメントがない。

恐らく反省するとなると、「予想を遙に超える規模の大津波に、やる術がなかった」と言うことだろうか。「地震発生と同時に高台へ逃げる」コトが鉄則だったろうが、現実問題となるといろんな思惑があるのだろう。

確かに、津波高を大きく予想すると「そんなことは非現実的だ」と反論されるだろうし、逆に小さく予測すると今まで防潮堤を越えたことはないのだからと油断の要因になる。世界に誇る程の防潮堤が一瞬のうちに破壊した事実は、予想以上の破壊力を持つ津波だったのだ。

南三陸町のHPで防災計画を見た。

宮城県沖地震の被害想定が載っている。想定地震としては単独M7.6,連動M8.0が想定され、想定被害結果も記され、人的被害として死者は南三陸町では0人だ。震度は6弱、津波予測では連動型で最高水位約7m、到達時間は25分、最高水位には35分で達すると予想されている。

街では、水陸門の改修、水門の遠隔操作システムの導入、避難誘導表示板などの設置など津波防災対策を実施しているという。

町民の皆さんも過去の教訓「地震があったら津波の用心」「異常な引き潮津波の用心」から「自分の身は自分で守る」ことを前提に、日頃からの防災対策、防災意識の向上に努めてくださいと言う。

予想より遙に大きい地震規模、宮城県沿岸では高さ7mの堤防が広範囲に渡って消失しているという(読売新聞2011.3.20)。

ハード、ソフト両面で見直しが必要なことを教えてくれた東北地方太平洋沖地震だった。
写真上段左:釜石市で 中学生が小学生を引率して避難所から避難所に移る 民放テレビより
写真上段右:南三陸町での救援活動 民放テレビより
写真下段:宮城県沖地震を想定した津波予測結果 南三陸町HPより

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