2011年5月16日月曜日

増税論議:菅総理では増税は出来ない



復興構想会議の中間的整理案が明らかになった。復興財源として増税を打ち出してきた。菅総理や財務省の描くストーリーに沿ったモノで、「財源なき復興案は絵に描いた餅」を避けた意気込みは分かるが、残念ながら菅総理で増税が出来るとは思えない。

菅総理の経済ブレーンと言われている内閣府経済社会総合研究所の小野所長は、読売新聞の論点で震災復興に時限増税を提案している。被災者が負担できないのであれば、非被災地から資金を集める増税が必要で、国債で賄えとか他の用途を削れという議論を批判する。国債でも後で増税が必要になるし、支出削減なら支出先に負担が来ると公務員給与引き下げを例に反論し、時限増税の制度化を主張する。世論調査でも6,7割の人が被災者支援増税に賛成しているのに何故増税が出来ないのか。その原因に選挙にあるという。他の候補が増税に反対する中で、自分だけ増税では闘えないと言うのだ。やるべきコトが何か分っているのに、遅々として進まないことが歯がゆいと言う(読売新聞2011.5.10)。

菅総理は社会保障と税の一体改革で増税を提案するときは、事前に国民の信を問うと言明した。6月末に報告書が出て、それを推進するとき、菅総理は増税をどう扱っていくのか。

何ヶ月或いは何年先になるのか選挙で国民に信を問う時、今の民主党菅政権では「NO」だろう。

では自民党政権になった時はどうか。自民党は、はっきりと増税を公約に載せている。しかし選挙ともなると腰が引けるのではないか。過去に橋本政権で失墜したことがあるが、民主党がダメなので「もしかして」と言うことになるかも知れない。

しかし、政権党が民主党だろうが、自民党だろうが本当にムダ、不必要な余剰金(埋蔵金)が、もうないかどうかだ。政府/財務省は「ない」と言うが、野党・与党内でも財源はあるという。政府は「逆立しても鼻血もでない」ところまで、良く検討したとは思えない。

今、国家公務員の給与を10%カットする交渉をやっているが、すんなりはいかないようだ。先の参議院選挙でも、公務員の給与は年に27兆円で、2割カットで年に5兆円は浮くと主張した政党があり私は支持したが落選した。

前述の小野さんは、公務員給与引き下げで被災地支援にがんばっている彼らが、どうして負担しなければならないのか。場当たりで手近なところから取ろうとしていると批判する。

しかし、コレはおかしい話だ。国家公務員は国民の税金から支出しているが、今、国の税収は落ち込み、赤字会計なのだ。税収が落ち込んでいるのだから、公務員の給与を下げることは当たり前の話だ。
被災地でがんばっている公務員には手当で償えばいいだけの話だ。

今国会は6月末で閉めるという。菅総理自身の政治資金規正法疑惑追求、不信任決議案などを回避するために、外交日程を理由に逃げているとしか思えない。

山積する政治課題の他に、国家財政の現状、増税の是非など国会でしっかり議論すべきだ。

支持率も低調、リーダーシップにも欠け、党内基盤も脆弱で、財務省に言い含まれたと揶揄される菅総理では増税は出来ない。もし、菅総理がスムーズな震災復旧・復興、財政再建の目処を立てたいのであれば、速やかに退陣し、総理の座を後任に託すべきだ。






写真:復興財源で増税を前面に出した構想会議の中間整理案を報じる朝日新聞 2011.5.15

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