2011年5月14日土曜日

電気料金:発電コストと料金単価の根拠を示せ













「事故が起きるまでは安全」と揶揄されていた原発災害は、身近な問題として周辺住民に多大な被害を強いることになった。原発政策を推進してきた国の責任もある。東電のみでは賠償額支払いに耐えられず、「異常に巨大な天災地変」を理由に免責の主張もあるが、政府は否定した。

賠償金捻出のために東電は、資産の売却、リストラで対応しているがリストラ策は甘く、海江田経済産業相は更なるリストラの必要性を訴えた。菅総理は「東電の支援ではない」という税金を投入しての支援あるいは電気料金値上げも政策課題に上ってきているが、東電の対応を経営面からもしっかりチェックすべきだ。

リストラしたとしても、まだまだかなり優遇された状況にある。厳しい生活から東電を支援する国民のコトを考えると、海江田さんにはがんばってもらわなければならない。

電気事業は地域独占で、今まで甘い汁を吸い続けてきた。「儲け分をはき出せ」という識者もいるが、もっと電気料金に私達は注目しなければならない。

東電が福島第一、第二原発を停止し火力発電に頼った場合、燃料費の増加分で電気呂婦金の16%値上げが必要になると資源エネルギー庁が試算した。発電コストが一番安い原発から原油やLNGの高い燃料の火力に代替するとコストアップに繋がるというのだ。

本当にそうなのか。原発の発電コストはそんなに安いのか。

資源エネルギー庁「エネルギー白書2010」我が国における再生可能エネルギーの導入動向、各エネルギー源の発電コスト・CO2削減費用を見ると、太陽光49円/kWh、風力10~14円、水力8~13円、火力7~8円、原子力5~6円、地熱8~22円になっている。

私も学生時代から原子力には興味があり新聞などの記事には気を付けていたが、原発の発電コストが5円程度とは眉唾で政策上かなり細工がされており、まともに見積もればその2倍は越えるだろうと見られていた。 

5月14日日テレウェークの原子力コストのカラクリを検証番組で立命館大の大島さんは、原子力10.68円、火力9.9円、水力3.98円と試算した。言われている5~6年の約2倍だ。しかし、このほかに原発関係での交付金、研究費など湯水のごとくカネが流れているという報道もある。確かだろう。そう言った金額を入れると原発の発電コストはもっと上がるはずだ。

同番組では、電力会社の原発コストが17~19円であることも紹介している。原子力発電から火力発電に切り替えることにより発電コストが上がるのではなく、寧ろ実体は下がるのだ。

そこで、電気料金単価がどうなっているのかを調べてきた。

東電の場合、従量電灯Bで基本料金は1kVAあたり387円、第一段料金は120kWhまで単価は17.87円/kWh、第2段料金120kWhから300kWHまでの単価は22.86円/kWhとなっている。料金単価は関西電力の方が1~3円安い。発電構成比の違いだろうか。

海江田さんは、電気料金は下げるときはノーチェックだが、上げる時はチェックするという。各発電コスト、料金単価の算定法など、しっかり公開すべきではないのか。

安易な値上げは電力会社の経営をわがままにする。国民負担はしっかりしたコンセンサスの元にやるべきだ。政策上の曲げられた発電単価は、我が国のエネルギー政策に禍根を残すことになる。


写真左:発電コスト比較 資源エネルギー庁 エネルギー白書より

写真中:電気料金の推移 電力需要実績確報(電気事業連合会)

写真右:原発コストは安くない 2011.5.14日テレウェークアップ 原子力コスト安のからくりを検証

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