2011年5月30日月曜日

菅総理 「指導力」を履き違えるな



世論調査を見ても、菅総理に「指導力」があるとは大方の国民が思っていない。更に悪いことに、その使い方を間違っているのだ。

社会保障と税の一体改革案で、2015年までに消費税を10%に上げる案が決定するらしい。それを急ぐ理由に重要政策に「指導力」を発揮していることを国民にアピールし民主党内、野党で活発になってきた「内閣不信任案」提出を牽制するためだという。

確かに今の経済状態では、景気が低迷する中での増税はリスクが大きすぎるが、今後4年のうちには景気も改善するだろう。メデイア、学者、財界こぞって財政再建のための増税は仕方ないと考えている。国民世論も同様だ。

誰でも「仕方ない」と思っている増税に力を入れても指導力/リーダーシップがあるとは思えない。

増税に向けて大切なのは、なかなか進まない「税金の無駄づかい」を洗い出しての削減だ。民主党はショーとして「事業仕分け」を物々しくやったが、政治判断で容易に復活するなど曖昧な事業仕分けで終わった。

もっと与野党一緒に国会で財務省と対決して欲しい。これぞ官僚主導vs政治主導の戦いだ。菅さんがリーダーシップを取らない限り前には進まないし、国民の増税を強いることなど出来るはずがない。

復興財源の国会審議でも、「みんなの党」の江田さんが復興資金捻出のため特別会計の余剰金を具体例を出して質問し、積み立てしていても使う機会がなかったのだから、何も増税、国債の発行をしなくてもこの余剰金を使うことを提案したが、菅総理のテレビ中継の表情はポカーンとしていて、聞く耳を持たない雰囲気だった。

財務省に言わせれば、「必要だから積み立てている」という論理だろうが、実際に使って生きたカネにすべきだろう。財務省の考えを正すのも指導力であり、コレこそ「政治主導」ではないのか。

今回の10%への増税も、YESMANばかりのメンバーを集めての検討本部で検討された案だ。これから国会での審議、国民に信を問う過程が残されている。

菅さんが政治家の本望と言っている復興、財政再建への目処とは、どの時点のモノなのか。財政再建案を作った時点か、国民に信を問うて総選挙に勝利した時か。

来るべき次の総選挙では、民主党、菅政権は惨敗だろう。菅さんの手で増税など出来るはずがない。

また、菅政権が「国民のためにどの程度役に立っているのか」を考えたことがあるのだろうかと疑う位、政権延命に必死だ。自らの外国人違法献金問題も含め追求を回避するために会期末で閉会の方針だったが、大震災、原発震災で問題が山積している現状で「国会を延長」「2次補正予算案の提出」をしなければ、内閣不信任案を提出すると突き上げられると、不信任案提出牽制のために、国会の延長、2次補正予算案の今国会提出を臭わすことになった。

どんな指導力を、どんな機会に使っているのか。パッとしない指導力を間違った方向で使っているとしか思えない。


今、菅さんが強い指導力を発揮できるのは「自らの辞任」を決意することだ。その後の展望は見えてこないのだが、政治に対する気分転換には、それしかないのだ。


写真:首相官邸 菅総理は、政権延命に向けてだけ「指導力」を発揮しているのか

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