2011年10月29日土曜日

続く円最高値:コンピューター自動取引に倫理感などない

円相場が最高値を更新し、超円高が止まらない。27日のロンドン市場では一時的だったが75円67銭をつけた。コンピュータープログラムによる自動取引が横行するなかで、コンピューターに経済倫理など期待できない。29日の外国為替市場は75円75銭~85銭だとNHK深夜便が伝えている。

ギリシャの債務問題をはじめ、ポルトガル、スペインなどの欧州の経済不安、米国経済の低調で基軸通貨のドルもその立場に変化が見える。それでもまだマシなのか、国の借金が1024兆円になろうとし、債務残高が先進国一悪い日本の円が買われている。

このような異常な経済の中で、投機的為替取引は世界経済の安定化を阻害している。

この世界経済を揺るがす債務危機に対してバチカンが提言を発表した(朝日新聞 2011.10.26「債務危機 バチカンが提言」)。

それによると、IMFの機能を強化し、世界中央銀行の設立を求め、国際的な金融通過システムの再編を提言し、さらには、倫理的アプローチとして金融取引への課税など3項目をも提言している。国を超えたレベルでの公共の利益を守る仕組みを作ることがわれわれの世代の責務だという。

「金融取引にグローバル課税」の必要性は、ロンドン大学名誉教授のロナルド・ドーア氏も説いている。

なんでもそうだが、やりすぎ、行き過ぎはよくない。今の世界経済にあって経済倫理が要求されるのは当然のことだ。

しかし、コンピューターによる自動取引が横行している為替取引にあっては、倫理感など期待できない。

為替デイーリングのトップクラスの銀行などでは、コンピューターによる取引ツールの競争にしのぎを削っているのだ。コストダウンにつながる取引の自動化、利益を最大限にする最適なタイミング、市場に気づかれないうちに大規模取引を終わることも重要なのだ。

銀行、機関投資家、ファンドにとっては、世界経済の安定こそ自分たちの利益につながるのではないのか。
「利己心」を超えて、世界経済の安定を優先させるべきだ。

0 件のコメント: