2011年10月15日土曜日

今なら「想定外」とは思えない地震予測
















以前だったら「想定外」と思われた地震発生の可能性も、今なら「想定外」とは思えない地震予測が、あの東北地方太平洋沖地震以降、多く見られるようになった。M9クラスの地震は、それまで想定されていなかったのだ。地震記録がなかったり、見つからなかったことが大きな要因ではあろうが、地震発生のメカニズムから来る学会の「固定観念」が、あのような巨大地震が発生することに否定的だったのだ。

しかし、古文書解析、地震考古学の発展、湖底堆積物の調査から、過去に巨大地震、巨大津波があったことを報じる研究報告は見られたが広く認知はされず、対応も後手になっていた。

今までの主流は、繰り返し起きる地震を中心にした解析だ。日本全国には2000本以上なるといわれている活断層のうち調査されているのは98活断層で、地震が起こってみて初めてこの断層が動いたというケースが多いように思える。

朝日新聞(2001.5.16)に載った「地震列島」には、中央防災会議が対策を考えている地震、地震調査委員会が確率を発表した断層帯や地震、地震調査委員会が今後確率を発表する予定の断層帯や地震が図示されている。

これには、宮城県沖地震はM7.5~8、発生確率81~98%になっているが、3月11日発生の東北地方太平洋沖地震M9の図示はない。発生当時、想定された宮城県沖地震の想定震源域と違うので、まだこの地震の発生が心配されていた。ところが最近の解析で、蓄積していたひずみ量は解消したので、その心配はないという研究報告がなされたそうだ。

その後に発表されている危険な断層を見ると、立川断層帯、三浦半島断層帯、神縄・国府津―松田断層帯、富士川河口断層帯、牛伏寺断層、近畿地方では京都の花折、琵琶湖西岸、京都盆地―奈良盆地、大阪では上町の断層が危険だとされている。

関東地方では余り知られていないが、それは厚い関東ローム層に覆われているために見つからないだけなのだ。安政の江戸地震の震源は旧江戸川河口と見られていたが、東京湾北部地震との震源で調査されたが断層は見つからなかったと報告されているのを見たことがある。

でも各断層は、それぞれ単独で存在するのではなく日本全体の地殻を考えると、お互いに関係しあっていることは分かる。
東北地方太平洋沖地震発生後、立川断層、牛伏寺断層、糸魚川―静岡構造線が活性化していると政府が発表した。それらしい地震も発生している。

南海地震、東南海地震、何時発生しても可笑しくはないと言われる東海地震が関連する南海トラフの動きは要注意だ。

高知大の岡村先生は、土佐市の蟹ヶ池の湖底堆積物の調査から、2000年前に地形が大きく変わる規模の地震があった可能性を指摘している。さらに大分県にある龍神池でも巨大地震による津波堆積物が確認されている。

このことは、南海地震の震源域が、これまで考えられていたよりも西の日向灘まで広がっている可能性を示すもので、三連動型はM9クラスの地震になる可能性があるのだ(読売新聞2011.9.2)。

そして今、神戸大名誉教授の石橋先生は、西ばかりでなく、内陸部の活断層も地震を起こす可能性があると警告している。南海トラフ沿いに地震が起きると、富士川河口断層帯、糸魚川―静岡構造線断層帯の活動が起こりやすくなり、同時に起きれば700kmというとてつもなく長い震源域になるという(朝日新聞2011.10.14)。

今、研究者は古文書、湖底堆積物などの過去の記録を考慮しながら最大規模の地震予測に取り組んである。

寺田寅彦博士も言うように自然現象は間違いなく繰り返す。時期は不明であるが、巨大地震、巨大津波にどう対応すれば良いのか迷う此の頃である。


写真下段:地震列島 朝日新聞 2001.5.16


写真上段左:三連動地震を警戒 読売新聞 2011.9.2


写真上段右:南海トラフと糸魚川ー静岡構造線 同時地震発生の可能性も 朝日新聞 2011.10.14

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