2012年1月7日土曜日

社会保障と税の一体改革素案:国民に向けたものか、野党向けか


国民に向けてのものか、野党向けなのか。政府‘民主党の社会保障と税の一体改革素案が決定し公表された。11日に与野党協議を呼び掛けるという。新聞に報じられた一体改革素案を読んでみたが結構複雑で解説がなければ実態把握が難しい。

一つ一つの項目が自分にどう影響してくるのか。

3月末までに消費税引き上げ関連法案を提出、国会で成立を目指すらしいが、与野党協議がうまくいくのか。社民党、たちあがれ日本、新党大地、真民主は協議に応じるというが、自民党、公明党、さらには政権与党内の反対勢力は、マニフェスト違反を盾に協議には応じないという。

野田首相は、大義を通せば通じるというが、いつから消費税増税が民主党の大義になったのか。

成立後、実施前に国民に信を問うというが、2014年4月実施と仮定すると今年から来年にかけて総選挙をやるのか。今年9月は民主党、自民党ともに代表選、総裁選があり、野田さん、谷垣さんの再選も危ぶまれる状況らしい。そんな状況下での一体改革案はどうなるのか。

さらに、消費税引き上げ前に、経済状況を総合的に勘案するともいう。この前提も曲者だ。具体的には何ら記されていない。政府が恣意的に判断する可能性が非常に強い。政府にとっては経済指標など如何様にも細工できるのだ。

実施の判断は、民主党外の政権でやるのが公平さを確保する手段ではないか。。

それにしても財政改革は難しい。年数をかけてしっかり議論していればいいが、そんなに議論されているとは思えない。素案でも制度設計は未だで、検討するとか、議論するという記述が多い。これで国民にしっかりした制度改革が提示できるのか。

制度もあいまいなままでの一体改革では、また国民をだますことになる。国民の代表である国会議員が審議しているのだから任せろでは話にならない。今、民主主義は崩れようとしているのだ。

今回の一体改革の目標は、安定財源の確保と財政健全化を同時に達成することであり、20年度までに基礎的財政収支を黒字化にすることにある。

社会保障目的税として、年金、医療、介護、少子化対策に予算で明確にするともいう。医療、介護、子育て、ライフイノベーション、新規参入促進で新たな雇用を生み出し、経済成長に持っていこうとしている。

しかし、医療、介護、子育てなどの政策はすべて税金などからの補助金に頼っている。雇用拡大、待遇改善は必然的に税金の投入にかかっており、財政再建に向けた経済成長分野といえるのか。

また、「消費税増税前にやることがあるだろう」との批判から、政治、行政改革が掲げられた。民主党マニフェストの政策課題のあいまいになっていた項目が付け加えられた。しかし、「法案の成立を期す」という抽象的な表現だ。

もっと積極的に「政治・行政改革の実施後」とすべきではないのか。

今回の消費税増税が財務省主導との嫌悪に応えたのか、「歳入庁」の創設が加わった。当初野田首相は、財務省が反対しているとして積極的でなかった政策だ。これを機会に財務省は解体、再編成すべきだ。

社会保障と税の一体改革は、もっと国民に分かりやすい資料を提出すべきだ。国会議員には任せておけない制度改革である。

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