2012年1月21日土曜日

格付け会社は、社会に貢献しているのか、混乱させているのか


格付け会社 スタンダード&プアーズ

格付け会社の格付けは投資に貢献しているのか、攪乱しているのか。世界経済は混乱の極みだ。日本、アメリカ次いでフランスの主要国国債の格下げが続いている。ところがその格下げのタイミングと欧州経済危機に始まった世界経済への悪影響と相まって悪循環を繰り返す様相を呈している。

フランスのサルコジ大統領は、ドイツのメルケル首相とユーロ圏危機打開のために精力的に動いているが、フランスの格下げは欧州金融安定化基金の債券発行可能額が減ることになり、欧州経済危機国の救済も困難になる。

本来なら投資家に発行主体の信用度を提供し、投資家の投資に参考に資するものだが、国家財政、世界経済が下降局面にあるとどうしようもない現象なのだろうか。

しかし、その格下げに至った要因は日本の場合、財政状況の悪化、経済成長見通しの弱さがあげられ改善の見通しがなく、政権に一貫した戦略が見られないことが挙げられているが、政治機能不全は概ね各国とも似たり寄ったりだ。

こうした格付け会社の動きに、政治は格付け会社の規制、格下げの判断を明らかにせよという。

日本の財務省は、「外国格付け会社あて意見書」を出し、定性的な説明が大宗である一方、客観的な基準を欠くとして、考え方を明らかにせよと追求した。

さらにEU欧州委員会のバルニエ氏は、透明性や競争性を高める必要があると指摘し、国債格付けが金融市場に多大な影響を与えることに懸念を示し、格付け根拠の詳細な分析の公表とEUの規制案に結論を出せという(2012.1.20時事ドットコム)。

格付け会社は国債などをどう評価しているのか。財務、政治、金融政策情報を取集し、委員会で議論し、維持か変更の投票をするシステムになっているようだ。ならばこの辺の情報を公開すればいいが信用度評価にはノー・ハウもあるだろうが、世界経済に与える影響も大きいことを考えると公表すべきだろう。

また、格付け会社にも疑惑が表面化している。依頼主である証券会社との癒着の疑惑では、米国債格下げ時、発表前に一部の金融機関に事前リークし、大量の売りが出ていたこともSECの調査で分かっているという。
だから野ばらしにはせず規制すべきだという。米国では登録制になっているし、我が国では、2009年に改正金融商品取引法で立ち入り検査もできるようになった。EUも欧州委が規制案を認めろと言っている。

寡占格付け会社の不完全な解析で世界経済が混乱するのはゴメンだが、「儲かる」「損をしていない」の見方から、企業統合、環境、雇用への気配りなど社会的責任投資に参考になる格付けをやっている格付け会社もある。ヴィジオがそうらしい。国にあっては政府の政策の決め方が公正で透明化されているか。企業にあっては、社会にどう向き合っているか。格付け会社は補完的役割なのだ(朝日新聞 2011.11.20ザ・コラム 格付け 見えること見えないこと)。

そして、経済が動揺してくると市場にばかり目を奪われがちであるが、視界を社会へ広げると見えていなかった企業や国のリスク、将来が見えてくるという(同コラム)。

格付け会社の格付け依存を減らし、今こそ視界を社会へ広げてみる行き方が大切かもしれない。

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