2012年4月6日金曜日

小選挙区制、政党助成金制度:理想とは程遠い政治改革だったのか


河野前衆院議長の「不明をわびる」
発言を掲載する新聞記事
2012.4.6 読売新聞

政権交代はできたが、資質が問われる議員を輩出した小選挙区制、政治資金を気にせず政治活動に没頭できるはずの政党助成金制度など、あの時は期待され導入されたが、改革を主導する政治家自身の意識改革が伴わず、理想とは程遠い政治改革になってしまったのだ。

政権交代を可能にする政治改革としてイギリスを例に、小選挙区制が導入され民主党政権が誕生したまではよかったが、政権運営の稚拙さ、ことごとく見直しが必要になったマニフェスト、野田総理が不退転の決意で取り組んでいる消費税増税での党内分裂の様相など政局絡みの混乱に事欠かない。

政治も多様化傾向を示す現在、以前の中選挙区制の復活が話題になってきた。

そんな折、河野前衆院議長が小選挙区制導入を率直に詫び、中選挙区制の復活を目指すべきだと講演した記事が新聞に載った(読売新聞 2012.4.6)。

それによると、1994年、自民党総裁として細川総理とトップ会談で導入が決まったが、政治改革の議論がいつの間にか小選挙区制導入にすり替わったと言い、小選挙区制では政党の政策が一本化されるという話だったが、今の民主党のように多数党の政策がまとまらないのでは意味がないという。

選挙制度改革は当時の志とは違ったものになった。率直に不明を詫びたいと陳謝したそうだ。

細川政権誕生時は、総理自身のあの颯爽とした出で立ちから、「何かが変わる」と国民は期待したはずだ。しかし、その政権を支える政治家連中は何ら意識改革もなく、利権、権力闘争に明け暮れ、政治改革も当初の理想とは大きく異なるものになっていったのだ。

今、増税の是非を巡って分裂騒ぎの国民新党だが、その根源には政党助成金の問題があることが知れ渡った。

その政党助成金制度も、政治家が政治活動資金を気にせず、政治活動に取り組むことができるように税金から助成金をすることが決まった。年間300億円を超える金額だが、受け取りを辞退している共産党を除いて、各政党の大きな資金源になっていることは確かだ。

しかし、資金集めのパーテイーは与野党ともに盛んだし、「政治とカネ」の問題は後を絶たない。小沢さんの陸山会事件は裁判闘争になっているし、民主党政権の幹部が政治資金規正法違反疑惑を引き起こしていたのも現実だ。

改革を主導した政治家連中が意識改革もせずに理想を追い求めた政治改革をし、或いは理想論をぶちながら背後では私利私欲を求める行為は、国民、納税者を裏切る行為である。

安易で急激な政治改革、制度改革は国民にとっては要注意である。

いま、直面している民主党政権主導の社会保障と税の一体改革、消費税増税で野田総理は野党と党首会談を望んでいるという。党首討論よりも非公開で突っ込んだトップ会談で事態を急転させたいのだろうが、谷垣さんなど野党党首が後に、「不明を詫びる」ようなことがあってはならない。

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