2012年6月12日火曜日

福島第一原発事故:逃れられない東京電力の刑事責任


福島の住民が東電を告発した
2012.6.12 朝日新聞

福島第一原発事故では東京電力の刑事責任は逃れられない。例え地震、津波の天災が関係していたとはいえ、これほどの大参事を招いた福島第一原発事故での東京電力の刑事責任は大きい。原子力発電という巨大技術を使った事業に携る東京電力には、通常に比べてはるかに大きい安全に対する注意義務があるのだ。

朝日新聞(2012.6.12)で福島県の住民1324人が、東電幹部、国の関係者ら33人を業務上過失致死傷罪などの容疑で告訴、告発状を福島地検に出したという。安全対策を怠った結果、住民を被爆させた刑事責任を問うたのだ。

住民感情、被害者感情からして至極当然の対応だと思う。

しかし、裁判ということになると罪状構成要件が厳しく適用され、被爆と傷害の因果関係の立証も手こずるだろう。更に地震、津波による総電源喪失でメルトダウンなどが発生し、放射性物質の流出に至る予見可能性が東電にあったかどうか。巨大化する地震、津波情報がどう伝えられ東電で問題を共有化していたか。そして今回のような惨事を防止する技術、対策があったかどうか。

事故の規模があまりにも大きく、責任追及を回避することはできないのだ。

それに福島第一原発の事故は、初めての原子力発電所の事故ではない。チェリノブイリ事故は多くの教訓を原子力事業者に与えていたはずだ。東電はこの事故から何を学んでいたのか。予見可能性は否定できない。

まず大事なことは関連する証拠の保全だろうが、恐らく東電は家宅捜索などを予想して不利になる証拠書類は破棄しているだろう。地検が必要として家宅捜索する時に存在する証拠書類は責任を追及する資料として役立つものではない。原子力村だってどの程度協力してくれるか。

民間と国で事故調査が実施されている。東電関係者の参考人招致での発言も、新聞報道によると責任のなすりあい、菅官邸の異常な介入で指揮命令系統、対応に混乱を生じたなど責任回避の主張が主だ。東電はすでに社内対策を終わっているだろう。

まず、考えられるのは今回も適用が考えられる刑法211条(業務上過失致死傷)だ。業務上必要ナル注意ヲ怠リ因っテ死傷ニ致シタル者ハ・・・・。原子力事業という危険な業務に従事する者は高度な注意義務を要求されることは当然で、法律上明文がなくても注意義務を逃れられない。

問題は放射性物質を飛散させ、住民が被爆し、その結果生命、身体に危害が発生したことだ。今症状は表れていなくても、将来現れる危険は十分にある。それが放射能被爆の本質だ。

放射能の環境濃度が高く、帰宅できず村、自宅を放棄して避難生活をしている人も多い。

刑法第260条 建造物損壊 他人ノ建造物又ハ艦船ヲ損壊シタル者ハ・・・・。ここでいう損壊とは、その用途にしたがって使用することができない状態に至らしめた場合も含まれるのだ。

そして、水産動植物にも放射能汚染が出ている。

福島県漁業調整規則第34条 有害物の遺棄、漏せつの禁止 水産動植物に有害なものを遺棄し、または漏せつしてはならないと規定し、罰則がある。

更には大気に放出した放射性物質が遠方まで運ばれて土壌や樹木、落ち葉に高濃度のセシウムが検出されている。これらの被害の責任をどう追及できるのか。

脱原発の機運も高まってきたが、政府は大飯原発の再稼働に向け着々と手を打っている。

事業者は大きな責任と注意義務があることを肝に銘じるべきだ。


[後記]
朝日新聞(2012.6.13)に「東電、06年にも大津波想定」記事が掲載された。
それによると、04年のインド洋大津波を受けて06年、国が東電に対策の検討を口頭で要請したほかに、08年には東電が福島第一原発で最大15.7mに達すると試算したが、対策は採られなかったと言う。


それが事故を回避するチャンスを失ったことになる。


東電の検討は具体的に実施されており、20mの津波から施設を守るためには、防潮堤建設に80億円かかると言う。


しかし、社内研修の場だったために、会社として正式に承認した資料ではないと広報部は責任回避している。


安全対策のための防潮堤建設費は80億円、一旦災害が発生した場合は会社倒産、天井知らずの賠償費用がかかること考えると余りにもちっぽけな費用ではなかったか。

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