2012年6月19日火曜日

消費税増税に賛成か、反対かと問われれば


3党修正合意で社会保障制度改革推進法案の成案が現実味を帯びてきた。「消費税増税に賛成か、反対か」と問われれば、財政健全化を目指す必要からも、食料品など日常必要品の税率を軽減することで賛成せざるを得ない。

先日、地方で家業の酒屋を継いでいる従弟が「どげんなるんじゃろか消費税増税」と心配顔で聞いてきた。個人商店では、増税になっても売値に転嫁できず、その分は持ち出しになるという。そうで無くても規制緩和で商売がむずかしくなっているのに、増税だと死活問題なのだ。

テレビで中小企業の経営者が「加工賃に転嫁できないどころか、コストダウンを要求される」と経営の難しさを訴えていた。物価統制令で最低価格でも保証しなければ雇用の確保もままならないことになる。

しかし、現段階では社会保障制度の全体像が先送りの「まず増税ありき」の政局なのだ。

野田総理は国際公約した財政再建、消費税増税を着々と進めていることをG20で説明するための無理押しの合意を進め、海外メデイアは「ブレない野田総理」を評価しているようだが、野田総理は肝心なことは何ら説明できていない野田。

第一に何故今急がなければならないのか。日本の国家財政の現状をどう評価しているのか。
我が国の借金は対GDPで200%を超え、先進国一の最悪の状況だと財務省は言う。2位のイタリアでは、今ギリシャ危機が飛び火する危険になる。日本もギリシャの二の舞になるというのだ。

ところが、違う意見もある。日本には多額の資産もあり、それを考慮すると何ら問題はないとみる見方と、4~5年はまだ猶予でき、その間にしっかり議論すればいいという見方だ。
問題ないことはないと思うが、喫緊の課題ではないと思うのだが。

景気への対応は、景気条項もあるように判断を誤ると取り返しのつかないことになる。デフレ、円高、株安の経済状況の下ではさらに悪化するという見方が正しいのではないか。名目3%、実質2%の経済成長が前提条件になっていると思っていたが、政府は前提ではなく努力目標だという。自民党は国会審議で削除を要求したが野田総理は拒否した。

増税は税収減になると国会審議でもみんなの党の江田幹事長が事あるごとに追及していた。
確かに今までは増税分を減税していたので、そうだった。しかし今回は減税がないので増税分がそのまま税収増になるともみられているが、そううまくはいかないだろう。私だって消費は控えるだろう。

食料品などの税率を軽減すれば、予定税収増分の約30%は減収になるので政府は手続きなどが煩雑になるという理由でいい返事をしない。また、どういう品物をどうするかで官僚の権限が大きくなると心配する向きもある。しかしそこは知恵を出し合い審査会などの設置で対応できないか。勿論事務局に任せることは避けなければならない。

また、2015年の消費税10%でも付則で、最終的には16%を超える必要があるという見方が出ている。財務省は付則で更なる値上げを臭わせていたが、民主党の事前審査でも問題になった。

結局、デフレ脱却、経済成長路線での税収増を目指さなければ埒が明かない。3党修正合意でも「財政の状況及び見通しなどを踏まえ」という曖昧な語句が使われている。

野田総理も国会審議で「増税一本やりではない」と、経済成長路線を臭わせ、菅政権時代の新成長戦略を見直し検討をしているというが、9割は効果が見いだせなかったという。それだけ成長戦略へ持って行くことは難しい。

世界の潮流は緊縮政策より成長路線へのかじ取りが必要といい、各国政府が成長路線をにおわすようになってきたが、良い策はないようだ。

増税の前にやることがあるだろうと言われれば当然に無駄の削減が挙げられるが、成長路線で雇用の確保が最重要課題ではないか。

国家財政のコンセンサス、成長戦略の策定なくして増税はない。

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