2014年12月8日月曜日

「常識を疑え」は、科学では偉業をなすが、政治でも通じるか

ノーベル賞受賞者がよく「常識を疑え」と言う。偉業を成し遂げた人の言うことだから「大事なことだ」と納得出来るが政治でも通用するか。

古くは利根川さんがノーベル生理学・医学賞を受賞したときの講演で言っていたが、最近では青色LEDを開発し物理学賞を受賞した中村さん(?)が言っていたと思う。開発当初、研究者は見向きもしなかった窒化ガリウムで研究を続け成功したのだ。若者に「怖がらずチャレンジ城」と檄を飛ばす。

通説、教科書に書いてあることは、往往にしてその分野の大家とか大物研究者の考えを反映していることがあり決して真実ではないこともあるのだ。だから研究するときは「常識を信用するな」と言うことになる。

でも反対のこともある。小保方さんたちがSTAP細胞論文を発表したとき、分子生物学の大家から「100年の分子生物学の歴史をグローするな」と叱られたと苦笑していたが、STAP細部論文撤回でSTAP細胞の存在に疑問が出て来た。

キチッとした論理を組み立て通説に反論することが大切なのだ。

ところで政治の世界でも「常識を疑え」と言えるか。

朝日新聞(2014.12.8)社説「経済政策 配分の偏りをどうする」の記事の中に「常識を疑うことから」という項目が目についた。

それによると、企業収益も伸び、株価も倍になり経済全体のパイは大きくなったが、大企業と中小企業、輸出型企業と内需型企業、高所得者と対所得者など、その配分は偏っている。禁輸試算1億円以上の世帯が100万を越える一方で生活保護世帯は160万を突破した。

配分の偏りをどうするか。朝日新聞は、ここは政策の常識を疑い、惰性から抜け出す必要があるのではないかと問うているのだ。

まず疑うのが「円安と輸出」の関係だ。

輸出型の製造業が円安で潤えば経済全体を押し上げると考えられていたが、逆に国内生産は盛り上がらず、原材料高が消費や投資の足を引っ張る。円高対策で生産設備は海外へ出て行ったが、もどってこないのだ。

だから今は、軌道修正局面であり、各党に語ってもらおうというのだ。

次に成長戦略だ。戦略や対策を打ち出したが低迷が続き、人口減少、高齢化で戦略作りが難しくなってきた。特効薬はないが規制、制度の改革が必要だという。

だから、この選挙戦で具体論を出せというのだ。

成長への原動力は「配分の偏り」を直し、多くの国民に消費を促すことなのだ。

しかし、このことは過去に多くの政権によって内需拡大策が検討され、前川レポート、21世紀版前川レポートが提言されたがいずれも成果がなく頓挫した。その要因に「企業の儲けを家計に再分配することに企業が異論を唱えたのだ。

また、家計への再分配システムの構築の必要性は、経済財政諮問会議でも提言されたことだ。

政府の政策より企業の事業の継続、質の良い労働力の再生産の問題であり、雇用、所得増で実体経済での好循環を築くことではないか。

今は企業経営者の意識改革が重要だ。

又、朝日新聞は言っていないがインフレターゲットを設定すれば脱デフレが出来るのか。日銀は2年で2%物価目標を目指す。達成は不可能と思われるがなりふり構わず追加緩和などで達成しようとする。

原油価格の下落は消費者物価の下押し圧力になり、日銀は下押し回避のために80兆円の追加緩和を実施した。市場はサプライズと受け止めより円安、株高になり一層の配分の偏りを呈している。

「悪い経済循環」でも2%の物価が安定的に達成出来れば良いとでも言うことか。日銀の金融政策も見直す局面ではないのか。

もう一つ気になることがある。
「私自身、分からないことが多すぎる」とデタラメな政治資金収支報告で閣僚を辞任し、東京地検特捜部による関係者の家宅捜索、事情聴取がされている小渕優子さんが、自民党公認で群馬5区から立候補しドブ板選挙をやっているらしいが、当選確実らしい。

常識なら政治資金をクリヤーにし、ここは1回休んで次回以降に立候補するのが常識だろうが公認した自民党、立候補した小渕さん、そして今まで以上に団結し支えようとする小渕後援会は不可思議だ。

国会議員の「常識を疑え」は、逆の意味で当たっている。



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