2014年12月25日木曜日

STAP細胞捏造事件:偽科学の国内流入をどうして防止できなかったのか

STAP細胞研究という偽科学の国内流入を何故、防止できなかったのか。何故、ここまで小保方さんをのさばらしたのか。

理研の調査委員会がSTAP細胞捏造事件の調査結果をまとめたという。7時のNHKラジオ・ニュースでその概要を聞いた。ES細胞の混入が疑われるが量的にも多いので、間違って混入したと言うよりも、わざと混ぜたと思われるが誰が混ぜたかは分からないという内容だった。

理研の遠藤さんも早い時期にES細胞の混入を疑っていたが、小保方さんは4月の記者会見で「ES細胞は扱ったことはない」と否定していたが、小保方さんの研究室の冷蔵庫に「ES細胞」と記したシャーレが見つかっている。

亡くなった笹井さんも「STAP細胞はES細胞と混在できない」と否定、研究をやったことのない人の机上の空論とまで反論していた。今、生存しておられたらどう言われるか。

では一体誰が混ぜたのか。小保方さんが嘘をついているか、小保方さんが特別扱いされていることを快く思っていない研究者が悪意を持って混ぜたか。でも他人が混ぜるとすると「どこで、どれに混ぜるか」などかなり知っていなければ出来ないことではないか。

肝心の小保方さんは21日に理研を去った。本人が何らかの機会に本当のことを言わない限り謎に包まれたまま葬られることになるが、科学の世界ではあってはならないことだ。

ところで、どうしてこの小保方さんの偽STAP細胞研究が国内に入ってくるのを防止できなかったのか。逆に言うと小保方さんをどうしてここまでのさばらしたのか。

第一義的には、当時の理研の若山さん(現・山梨大)に責任があるのではないか。小保方さんが日本で最初の研究機関に入ってこれたのは理研の若山研究室だ。どういう関係で入ることが出来たかは知らないが、再生医療が専門ではない若山さんが面倒見ることになった。

しかし、若山さんは6月15日の毎日新聞のインタビューで、小保方さんの実験ノートは一度も見たことがない。もし見ていれば信頼性を疑い、こんなことにはならなかっただろうという。

更に、2011年11月にキメラマウスの作成にも成功、万能性を確認し、竹市さんも確認したという。確か竹市さんは記者会見で「私も信じたんです」とはっきり言っていた。

ところが若山さんが山梨大へ移ってから数十回再現試験を行ったが一回も成功せず、3月10日まで続けたという。

その後、若山さんは再生医療が専門でなかったので、笹井さんが見るようになったらしい。

笹井さんは記者会見で、第一回目の論文は若山さんのところで書いたし、若山さんが見ているだろうと思って自分は実験ノートまで確認していないと言った。世界の若山さんが見ていたので間違いはないだろうと思ったらしい。この発言は責任逃れと批判された。

それを聞いた若山さんは「自分に責任を押しつけようとしている」と怖くなり、記者会見を開いた。

おもしろいことに、まともな実験もしていない小保方さんを誰もチェックしていなかったのだ。

しかも、研究は秘密扱いで理研内での研究発表もしていなかったというのだ。もし理研内で発表していれば優秀な研究者が多いのだから研究の不備は指摘されていたはずだ。

この件で理研のガバナンスの欠如が問題になったが、理研にも手続き、所内の研究発表はあるのだ。その手続きを踏んでいれば小保方さんのような偽科学を世界に発表することはなかっただろうが、笹井さんというトップが手続きを省略したのだから残念ながら信用を失墜させる結果になった。

STAP細胞捏造事件で多くの人が体調を崩し、命を絶つ人も出て来た。そして組織は縮小され多くの研究員が職を失う結果にもなった。小保方さんの最後のコメントに「ただ疲れ切り、こんな結果になった事に大変困惑している」というが、他に多くの犠牲を払ったことをどう思っているのか。


小保方さんのような偽科学が間違って世に出ることを厳に慎まなくてはならない。


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