2015年3月21日土曜日

今後の難しい金融政策:金融政策の正常化(利上げ)か、脱デフレの量的緩和か

今後の難しい金融政策、金融政策正常化に向けた利上げか、脱デフレのための金融緩和か。米国は量的緩和を終え金融政策の正常化に向け利上げのタイミングを狙っている一方で、ユーロ圏は量的緩和を開始、我が国は追加緩和で続行中だ。今必要なのは利上げか、量的的緩和か。FRBが利上げするのではないかという市場の読みでドル独歩高、円安、ユーロ安に動いている。

FRBのイエレン議長の発言も「金融政策正常化(利上げ)まで忍耐強く待つ」から「雇用の改善、2%インフレ目標に合理的確信が持てた場合に利上げするのが適切だ」と「忍耐強く待つ」の表現が削除されたことに市場、メデイアは注目、時期は6月か9月かの見方が広がる(読売新聞2015.3.20)。

米国の金融政策正常化に向けた利上げが現実味を帯びてきた。その予想中央値は0.625%らしい(同上)。

オバマ政権は米国の輸出を伸ばすために「ドル安」容認の政策をとっていたが、「ドル高」は米国の輸出産業にとってはマイナスだ。日本も同じで円高はマイナスだったが円安に転じてからは成長路線に乗ったように見える。

でも、今は121円台、中小企業や家計には負担になってきた。円高だった民主党政権の時90円台半ばが最適と言われていたが、105~110円が理想のようだ。

為替レートはその時の国の経済力を反映すると教えられていたのでデフレに苦しむ円高の時は経済力があったのかと疑うが、今成長路線に乗っているように見える日本の経済力は弱くなったのか。

市場は何やら他の力で動いているように見える。

ところで、日本は当然にリスク要因になる米国が利上げに踏み切ると日本経済、世界経済はどうなるか。金融市場は混乱、緩和マネーが流れていた株価も下落だ。そうでなくても「日本株の下落はいつか」が話題になっている。

ECBはデフレ脱却、2%物価目標に向け、月8兆円の量的緩和を開始し、日本も2%物価目標未達の可能性があり景気下支えのために追加緩和に踏み切った。失業率は改善し、新人の就職内定率も90%を越えたと言うがまだ成長の余地はあるらしい。

私も早くゼロ金利を脱し、金融政策正常化へ向かって欲しいと思うのだが、金利が上がれば企業の設備投資、住宅ローンなど個人消費にも影響が出てくる。速水総裁の時に、政府の反対を押し切って利上げに踏み切ったが景気下落でゼロ金利に戻したことがある。異次元の量的緩和で270兆円超のカネを市場に流しながら出口戦略の話をしない日銀に不満を感じるが、政府にはそのことを例に挙げ量的緩和の縮小を牽制する。

政府の赤字財政を支える赤字国債を日銀が買い上げているが、欧州では「国債はリスク資産」として銀行の規制強化案が出て来た。日銀をはじめ日本の金融機関も多額の国債を保有している。一旦下落となれば銀行経営にも大きな影響が出てくる。決して他人事ではなく、黒田・日銀総裁が経済再生諮問会議で「国債はリスク資産とみられる」と発言したことが議事録に記載されていなかったことで問題になっているが、政府は認めたくないのだ。

そして、日銀の国債買い入れを「財政ファイナンスと見られないか」と危惧する発言が日銀の政策決定会合で出て来た。危惧ではなく実際にそうなのだ。

先日の参議院予算委員会で野党議員が「国の借金が1029兆円になったのだから少しずつ返したらどうか」と財務相を問いただしたが麻生さんは「立場上、マイクの前で喋ると反響が大きいので差し控えたい」と発言し国の借金についての審議は進まない。

それでも日本国債は安全資産とみられているのか。多くを国内で消化し、個人資産は1400兆円にもなるので当分は大丈夫とみても数年で行き詰まることは目に見えている。

朝日新聞(2015.3.20)のクルーグマンコラムで「FRBは利上げを早まるな」という論文が目に止まった。

それによると、ドルは価値を下げているどころか、20%も急騰しドル高は米国にとっては貿易赤字拡大、経済回復を弱らせるので悪いことだという。

経済は改善の余地が有り、賃金の上昇はなく、投資家へのリターンは低いが他に比べてマシで米国にカネが流れている。だが、得するのはユーロで、損するのは米国だという。

このまま行けば、ユーロは下落、ドルは上昇し米国の成長を阻害するとみるが、FRBは利上げに熱心だとクルーグマンさんは皮肉る。米国への資本の流入は米国を強くするのではなく逆に弱くするのだから「利上げを急ぐな」というのだ。


経済学者はいろんなことを言うが、実験できないので利上げが良いのか、量的緩和の継続が良いのか分からない。でも異次元の金融政策は非伝統的金融政策、劇薬で、ゼロ金利は中央銀行の金融政策に足かせになる。一日も早く金融政策の正常化に向かって欲しいと思うのだが。

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