2015年6月24日水曜日

東京23区の中央防波堤埋立処分場は後50年で満杯:新規j不可でどうなる生活? 震災復興にも支障が

浦安方面から埋め立て処分場を望む
2008.3.30撮影
東京23区が埋立処分している中央防波堤埋立処分場が後50年で満杯になると言い、新規の処分場も不可能だそうだ。廃棄物ゼロの社会は不可能だし東京に住んでいる私たちの生活はどうなるか、そして何時起きるか分からない首都直下地震の復興にも影響するのだ。見えてくるのはガラクタに充ちた東京の姿か。

埋め立て作業の現場
以下2003.118撮影
朝日新聞(2015.6.23)で「東京湾の処分場容量あと50余年」の記事が目に止まった。これは一大事だ。私も10数年前に東京の技術士会の主催する見学会に参加したことがある。

現役時代にオフサイトの仕事をしていたので廃棄物処分場の建設、維持管理にも携わった。他社から「自社の処分場を持っているのはうらやましい」と言われたことがあるが反対だ。永久に維持管理をしなければならないし、廃棄物ゼロへのインセンテイブに欠ける。そうする内に他社はゼロエミッションを掲げて成果を上げている。

しかし、よく調べると何のことはない。自分のところから出た廃棄物を分類し有価物回収業者や有効利用の業者に売却するのだ。すると自社からの廃棄物はなくなるのでゼロエミッション達成になるが委託した業者では廃棄物が出る。それは委託された業者の廃棄物なのだ。

10数年前の東京湾の埋め立て地の状況は酷かった。生ゴミ、プラスチックゴミ、不燃ゴミなどが混在で埋め立てられブルドーザーでならす作業の脇でトリが飛び交い,風が吹くとプラスチックのレジ袋などが舞い上がる。悪臭が鼻を突くし害虫、ネズミのねぐらにもなっていた。ところどころではガスも発生していたようだ。これが「夢の島」の実体だった。

又、当時は同じ廃棄物でも自治体で処理が異なっていた。レジ袋は焼却するところもあれば埋め立てをする自治体もある。杉並区の消費者団体から「レジ袋削減」運動が始まり全国に広がったが確か28%位の削減で頭打ちになったという報告を見たことがある。レジ袋削減はスーパーなどで環境問題の取り組みをPRする格好のテーマだったが、今は成果の表示もない。

今レジ袋は家庭で広く活用されている。生ゴミは必ずレジ袋に入れて45Lの大きい袋に入れられる。単身の場合はレジ袋で出されている。農家に行くと種袋で使用されているし、野菜などのお裾分けはレジ袋が使用される。子どもの遠足でのゴミ入れ、保育園で濡れたり、汚れた衣服をいれるのもレジ袋だ。一度の使用で捨てるのは無駄遣いだが2度,3度と利用されているのだ。

ところで朝日新聞の記事を読むと、焼却処理、有価物の回収、不燃ゴミの再資源化などの技術が進み廃棄物量も減っているようだ。最終埋め立て処分の必要な廃棄物を減量すれば区としては埋め立て処理費のコストダウンになる。東京23区の場合平成元年に490万トンのピークだったが平成24年には284万トンに減ったという。今は、スラッジや下水処理など施設廃棄物が15.2万トン、産業廃棄物4.6万トン、その他の処理残灰など36.3万トンで合計56.1万トンが埋め立て廃棄物になっている。

東京23区の埋め立て廃棄物を受け入れている東京中防堤埋立処分場の能力を見ると内側埋立地78haは既に埋立完了、外側処分場199haは現在埋立中、平成10年に出来た最も新しい新海面処分場319haは今埋立中で海面の一番先に位置しこれ以上設置出来る水面はないという。

海面と埋立地を遮水シート、鋼矢板+ケーソンで遮断している。勿論地盤も悪いので地盤改良もされている。出て来た浸出水は別に処理され放流されているようだ。

この埋立処分場の埋立容量は残り1554万m3で年間ゴミ50万m3,土140万m3の埋立速度で考えると残り50年というのだ。

私が見学したときの説明では広大な処分場を管理しているが、地震などでの震災廃棄物を処分することも考えているということだった。確かに大事なことだ。兵庫県南部地震(阪神大震災)の時も震災廃棄物は大阪湾のフェニックス計画で開発された埋立地が大いに役立ったそうだ。

逆に東北地方太平洋沖地震では莫大な震災廃棄物量を自らは処理出来ず多くの自治体の協力を得なければならない羽目になった。震災廃棄物の迅速な処理が復興には欠かせないのだ。

そういうことを考えると埋立処分場が後50年分しかないことはショックなことだ。首都直下地震、関東大震災の再来は今すぐでも不思議ではない状況なのだ。

このままで行くと何時の日か東京の街がゴミの山、ガラクタの山になる日が来るのだ。有効利用、再資源化、中間処理を行っても最終埋立処分をしなければならないのだ。

減量も大切だ。私の住んでいる東京・大田区を見ると収集ゴミが12年度17.5万トンあったが今は14.6万トン、30年度は12年度の30%減が目標だ。リサイクルは30%減、持ち込みゴミは20年度7.2万トンあったが今は9%減、30年度は20%現に持って行く計画だ。

それでもゴミ戦争の勃発は避けられない。過去にも廃棄物の持ち込みで住民の反対運動が激しかった例がある。

それにしても日生活で紙類の廃棄物の多さが目につく。通販などがメールで大量のカタログを送ってくる。ポストにはチラシ類の投函が多い。街の集積所の廃棄物では、まだ手を付けていない食材もある。又残飯の多さは何とかならないか。世界にはその日も食えない人が多いというのに。

軽トラックで「何でも回収します。ご相談ください」とスピーカーで流している業者が多い。テレビなど電気製品は東南アジアなどに送られているようだ。不要になったストーブを出したら電子式着火の製品は有料引き取りだったがマッチやライターで火を付ける製品は売却することが出来た。東南アジアへ送るので電子式着火は維持管理できないのでダメだという。でも国内では中古品として十分使えるはずなのだが。

粗大ゴミでは安っぽい家具類が目立つ。処分するときのことを考えて処理しやすい製品設計が注目された時があったが今はどうなっているのか。

早い内に自らの生活様式を考え直す必要があるのではないか。東京の街中にゴミの山、ガラクタの山を想像するとゾッとする。

粗大ゴミ処理施設
2003.11.8撮影














多量のレジ袋が搬入されている












埋め立て断面図

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