2015年6月12日金曜日

ザハ案を進めるか諦めるか:緊迫感高まる新国立競技場建設問題

このまま進めるか、ザハ案を諦めるか:タイムリミットも接近し緊迫感高まる新国立競技場建設問題だ。ザハ設計の新国立競技場が決まった時は驚いたものだ。あの神宮外苑の自然環境の中にヘルメット型の奇抜なデザインの新国立競技場ができW杯、2020年の東京オリンピック、パラリンピック開催を目指すというのだ。

ところがいざとなって初めて(?)、建設費の高騰、工期が間に合わないという。建設費は当初1600億円から3000億円に高騰、最近は1650億円という説もあるが2000億円は超えるだろうと見られている。おまけに後の年間維持費が35億円というのだ。

なかなか新国立競技場の話が進まないと思っていたら、旧国立競技場を早々と解体してしまった。著名な建築家が旧国立競技場を設計変更すれば建設費用も安く、工期も間に合うのではないかと提案していたのに解体してしまった。

解体工事も工期が遅れており早くしないといけないという事情があったようだが、事業主(?)の日本スポーツ振興センターは新しい競技場を作りたいために急いで解体してしまったとしか思えない。

それでも日本を代表する建築家の槇先生はコンパクトスタジアムの建設を提案する。これだと建設費も安く、工期も間に合うというのだ。そのデザインをTBSテレビ「ひるおび」で見た。大きな丸いデコレーションケーキをいくつかのショートケーキに切り現場で組み立てるのだという。これは面白そうだ。

オリンピックは年々華やかになり、競技場も高級感あふれる設計になってきたが、これがオリンピック憲章にのっとっているのかははなはだ疑問だ。ブラジルでW杯やオリンピックをやるカネがあったらもっと国民の生活に使えというデモが起きたのも理解できる。

ところが12日の3時のNHKラジオニュースで下村文部科学相が2019年のW杯に間に合わせるためにも設計変更をしていては間に合わないのでこのまま進める。来月、工事業者と建設費も含めて契約を結びたい意向を伝えた。

国はメンツと今までの関係者の責任もあり、あくまでも当初案通りザハ設計の新国立競技場を作るらしい。

環境整備費に500億円追加しろと東京都の舛添知事に直談判したが舛添さんは「根拠が分からない」、「誰も責任を取らないのはおかしい」と反論した。

そこで、下村さんは「根拠法」を制定するという。東京オリンピックだから東京も当事者で責任を果たせということなのだろう。これに対して舛添さんは憲法の規定を持ちだし住民投票にかける必要があるとけん制した。

こうなってくると、「そもそも論」になってくる。そもそもどうしてこんな設計になったのか。

社会に対するメッセージ、新しい時代のシンボルとなる想像力を期待して国際デザインコンクールを実施したようだ。世界から46点の応募がありザハ案が1位になった。日本では3位に日建建設案が入った。

有識者会議はザハ設計を、スポーツの躍動感を思わせる流線型の斬新なデザイン、シンボリックな形態だが都市空間とのつながりにおいてシンプルで力強いアイディア、ダイナミックなアリーナ空間の高揚感、臨場感、一体感は際立ち、最大のアピールポイントになる。またアーチ状の主架橋は日本の建設技術の粋をつくすべき挑戦だと評価している(日本スポーツ振興センターHPより)。

日本の建設技術を世界にアピールする考えもあったようだ。でも約400mの巨大なキールアーチをどうやって建設していくのか。太さだって太いはずだ。細切れにして工場で作って現場で組み立てていくのか。

8万人の観客席、動線計画、臨場感、文化的使用を考えると可動式屋根、可変式観客席は必要なのだという。

多くの建築家が費用の高騰、工期の遅れを考えて無理だというが、下村さんはやるという。高騰する工事費用をどこから持ってくるのか。最後は舛添さんも折れるのではないかとみているのか。

私たちにとっては、建設工事費もさることながらその後の維持管理に年間35億円もかかることが気になる。何日かの晴れやかは雰囲気を経験した後に35億円に悩まされるのだ。

この国際デザインコンクールでザハ案に決めた有識者会議の安藤さんはどうお思っているのか。メデイアの報道によるとこの騒動で逃げ回っているらしい。安藤さんも独学で建築を学び今の名声を得た建築家だ。

兎に角、今までの関係者である森さん、日本スポーツ振興センターの責任者、下村さん、安藤さんは記者会見して国民の前で説明したらどうか。国民の知らないところでドンドン話が進むことがあっていいのか。相手はオリンピック祭典にかかわることなのだ。


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