2015年6月21日日曜日

日銀の異次元の「量的・質的金融緩和」:どんな効果があったのか

日銀総裁に黒田さんが就任し異次元の量的緩和を始めて2年、どういう効果があったのか。昨年61ドル100円台だったが今124~125円へ、企業は悲鳴に近い声を上げている。日銀総裁は「これ以上の円安は考えられない」と言う意味の発言をすると122円台に。でも実質実効為替レートは59カ国中最悪で円の実力度は1年前に較べ約30%も下落しているという。

為替レートはその国の経済の力を反映すると習った。でもあの70円台だったときの日本経済が本当に強かったのかと疑問に思うが、円高は市場に流通する円が少ないためだとマネタリーベース増へ異次元の量的緩和を実施した途端に市場は反応し円高→円安へ転換、輸出企業を中心に輸出が伸び企業業績の回復に貢献した。

マネタリーベースも2年で2270兆円、2%物価安定目標目指すが8%への増税、個人消費の停滞で物価上昇率が伸びず、年間80兆円の追加緩和を日銀は維持している。

そんなにジャブジャブ円を市場に流して本当に大丈夫かと心配になる。市場は追加緩和を期待して今の円相場を維持しているが、出口戦略をどう考えてのことか。国内経済も好転している米国ではFRBが金融政策の正常化に向け利上げのタイミングを計っているがなかなかGOにはならないようだ。

でも円がこれだけ安くなると日本経済の力も落ちているのかと心配になるが、日刊ゲンダイ(2015.6.19)で「実質実効為替レート59カ国中最悪に」の記事が目に止まった。

それによると、黒田総裁が国会で「更なる円安はあり得ない」と発言したのは、この実質実効レートで判断しているというのだ。

実質実効為替レートは通貨の実力度を表す数値で、20155月では日本円は2010年を100として69.81で59カ国・地域の中で最低で5年前に較べて約30%も下落しているという。実力度が高いのは中国の元が129.06で日本とは逆に約30%高まっている。英国は116.02,韓国114.34,米国は108.85。

中国経済は何時弾けるか分からないバブルが懸念されているが強いのは確からしい。侮れないのは人民元建ての社債を発行する銀行も出て来て、人民元約70億円分集めて中国に進出する日本企業に貸し出すというのだ。

日銀は量的緩和を継続、FRBは利上げのタイミングを計っているとすると今後、ドル高、円安が続くと考えられる。130140円の時が来るのか。だとすると実質実効為替レートは更に悪くなり日本経済は弱体化するのか。

ところが米国もドル高をこのままにしておくとは考えられない。読売新聞(2015.6.21)によると米国の3月の出荷量は前年比15%減少で最近伸び悩んでいるという。オバマ大統領も以前ドル高に警戒感を示したこともあった。

異次元の量的緩和は効果を上げているのか。よく言われている「中央銀行の金融政策の限界」か。日銀の金融政策は財政ファイナンス、「国債はリスク資産」での銀行規制強化で日銀の金融政策も警戒感を持って見られるようになった。

アベノミクスはマネタリーベース増で円安に誘導し家計にも好影響で個人消費も伸び日本経済を成長路線に持って行くはずだったが、円安は逆に実質実効為替レートを最悪の状態にした。

デフレ脱却もままならず、供給は過剰状態に変わりなく、市場にはジャブジャブ円を流すが需要を喚起するまでには至っていない。

619日の日銀の「当面の金融政策運営について」を見ると、景気は「緩やかな回復基調を続ける」と見ており、マネタリーベースは年間80億円に相当するペースで増加するよう市場を調整するという。金融政策の維持だ。予想物価上昇率もやや長い目で見ると全体に上昇していると見られるが消費者物価の前年比は0%程度という。

「量的・質的金融緩和」は所期の効果を発揮しており日銀は2%の物価安定目標の実現を目指すという。

以前に木内委員が追加緩和80兆円を50兆円に戻したらどうかの提案をし否決されていたが、今回は提案していない。


日銀は日本経済の実効性も考え厳しい舵取りになってくるのか。コントロール出来ないインフレに持って行っては失敗なのだ。

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