2017年5月6日土曜日

今日の新聞を読んで(76):米・学者、投資家の「財政出動」発言に惑わされるな


何でこうも米・知識人の「財政出動」発言が注目されるのか。先には朝日新聞・経済気象台で「経済理論を政治的に利用するのは止めろ」という主張もあったが、日本の財政状況も十分に把握せず、無責任に財政出動を煽る意見に惑わされてはいけない。

増税などを止めて財政出動すれば好循環の経済が達成出来、消費は伸び企業は儲かり税収増、所得の再分配が簡単にできるとでも思っているのか。日銀は異次元の量的緩和を4年も実施しているが一向に2%の物価上昇は達成出来ず先延ばしばかりだ。経済成長率も0%に近い。

新聞報道によると投資家ソロス氏、FSAターナー長官の財政出動発言を取り上げる。首相官邸で安倍総理と対談したようだ。安倍側近連中はアベノミクスの行き詰まりで「藁をも掴む」気持ちで都合の良い学者、投資家の意見に耳を傾けているようだ。

今、我が国の財政を牛耳っているのは財務省ではなく、官邸と経産省か。となると素人の集まりだ。日銀だって官邸の意向に沿わないと大変な事になる。

内需拡大はママならず、海外への輸出に頼る始末、社会保障への不安や教育への投資もあって個人消費は伸びず、サイフの紐か固い。

一方儲けを出している企業も所得の再分配より内部留保に努め今は420兆円にも達している。「家計へ分配しろ」というとこの金額でも「いざという時のことを考えると十分ではない」と企業家は言う。先行き不透明さを主張するのだ。

確かに個人消費は「安売り」に群がる。イオンの岡田社長が「「脱デフレ」は大いなるイリュージョン」と言ってのけたのは当然だ。

公的インフラの老朽化などで財政出動の必要性はわかる。国や地方の借金合計は1050兆円、GDP比200%を越える先進国一悪い状況だ。一部経済学者は海外では債権も600兆円ぐらいは持っているので今の借金は問題ないとコメントしている。国会でも野党議員が質問したが政府の見解ははっきりしない。

規制緩和も進めているようだが、森友学園事件、加計学園事件のように安倍総理の人脈に絡む国有地払い下げの大疑獄事件も発生している。夫婦揃っての違法行為だ。メデイアの話題に載るのを避けようと北朝鮮の核開発、ミサイル発射の危険に目をそらさせようと安倍総理は頑張っているがそうは行かないだろう。

アベノミクスの経済政策は既に頓挫している。脱デフレが出来なくても経済、雇用は順調のようだ。円為替、株価は安倍政権の意向に関係なく海外経済状況で悪くなったり良くなったり繰り返しだ。「アベノミクスの第二ステージ」と言っているのは本人だけだ。

海外のノーベル賞経済学賞受賞経済学者の意見ではなく、日本の経済学者がもっと発言すべきだ。「アベノミクスはバカノミクス」とは同志社大の浜先生が言っている。こんな気概のある経済学者はいないのか。

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