2017年5月17日水曜日

円は安全資産?(2):17日は112円の1円高、でも日本の国内事情だけでは動かない

昨日の朝日新聞(2017.5.16)「国の財政を律する」を読んで驚いた。つい先日まで国の借金は1050兆円、対GDP比200%と覚えていたのが、もう1224兆円、220%を越えるほど悪化しているのだ。それでもノーベル経済学賞受賞の経済学者は「ここは増税を止めて財政出動だ」とアドバイスする。

ノー天気な海外の経済学者と笑ってはいけない。日本の政治家、国民も真剣に考えなければならないのだ。一方で国会の衆参予算委員会をNHK中継で見るが赤字財政を議論する場面なんてほとんどない。いろんな政治問題が予算にも関連すると考えると当たり前の質疑かも知れないが国家財政の健全化を考えるとお粗末だ。

勿論アベノミクスの是非、一般会計に占める社会保障費の問題、2020年までにPB黒字目標だがそれでも8兆円ほど不足、消費税税増税の是非など質疑はあったがフリップまで用意して野党議員が質問し、政府は官僚が作成した答弁書で答える「何やらやらせ質疑」のパターンで問題の解決にはほど遠い。

一度だけ、「国と地方の借金が1000兆円超えたが債権もある。実際のところはどうなんだ」とその背景を質問する野党議員もいたが政府の答弁はペーパーの棒読みで聞き取れなかった。

巷の学者には、借金が1000兆円を超えているが、債権も500兆円ほど持っているので全体としては問題ないという見解をもっているものもいる。でもすぐに現金化出来るものではないという研究者もいる。財務省もその意見だろう。

財政健全化には税収増や消費税増税などの政策を進めるべきだろうが、消費税増税は過去2回先送りした安倍政権にとって今度は増税しなければならないだろう。法律違反になるのだ。

でも、最近海外のノーベル賞経済学賞受賞の経済学者を招聘し、「ここは増税を止め 財政出動だ」と言わしめている。日本の財政状況を知らない海外の学者が無責任な発言、アドバイスをしているのだ。リフレ派で異次元の量的緩和を推奨した浜田先生もシムズ教授の説に「目からウロコ」とアベノミクスの見直しに言及した。

増税は国民に平等に負担させ税収増の手っ取り早い政策で財政健全化には役立つだろう。でも折角日本経済が拡大期に入ったと言っても消費が落ち込むことは目に見えている。今でも消費は落ち込んでいるのだから影響は大きい。

安倍政権が三度増税先送りすると政治家の指導力を問われるだろうし、更なる消費の落ち込みは外需頼みの日本経済になり海外から反発も強まるだろう。

消費税10%と言っても後2%の増税だ。国民はもう慣れきっているのではないか。

何時も政権が目指す「脱デフレ」も厳しい。今スーパー、コンビニは値下げの最中だ。棚に並んだ値下げ品には高齢の女性が飛びついている。

イオンの岡田社長が「「脱デフレ」は大いなるイリュージョン(幻想)」と言ったが良く言ったと拍手だ。

財政出動し、国内消費が伸び企業は儲け、家計にも再分配されれば税収増で赤字は減り、経済は好循環だがそうはいかないだろう。

財政出動は国の赤字を増すしかない。

アベノミクスの第一の矢「異次元の量的緩和」も市場にカネを流すが物価は上がらない。日銀もこのままではダメとみたのか先の金融財政委員会で「出口戦略」に言及した。

第2の矢「財政出動」は老朽化したインフラ整備などでいくらカネがあっても足りない。毎年赤字を積み上げている。

第3の矢「規制改革」もはっきりしていることは森友学園、加計学園の疑惑事件に見られるように安倍総理の人脈が利するようなことしか出来ていない。

新聞報道によると自民党議員60人が「財政・金融・社会保障に関する勉強会」を開いたという。「財政破綻の足音が聞こえる」とアベノミクスの対立軸を狙った会合だという。
純粋に財政再建の勉強会か、次期総裁選への仲間作りか。きな臭さも感じるがしっかり勉強し政策提言に持っていって欲しい。


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