2015年8月11日火曜日

太陽光発電の問題点:不安定な供給、高い買い取り価格、そして周辺の気温上昇の要因?

政府は2030年度電源構成では再生可能エネルギーを22~24%に増やすという中で太陽光発電が期待されているが問題点も多い。不安定な供給、高い買い取り価格、そして余り注目されていないが周辺の気温上昇の要因でもあるし40年度には大量の廃棄物となるのだ。

一方今まで止まっていた原発も川内原発が再稼働に向け動き出し20日にはフル出動となり安倍政権が目指す原発ゼロ解消に一歩近づくのだ。福島第一原発とは違って加圧水型でより安全と言うことで規制委員会の審査も早まった。

しかし、姶良カルデラ噴火、巨大地震での専門家の指摘は無視され、緊急時の避難計画も不完全なままで再稼働を急ぐことに地域住民は勿論のこと国民は不安を感じている。

一時あれほど騒ぎ、計画停電までやった電力不足問題も何故か今年の酷暑でも電力不足の声は上がってこない。

燃料費は嵩むが休止中の古い火力発電を稼働させたり、太陽光発電など再生可能エネルギーの利用が進んだためだろう。

ところが、その太陽光発電も発電設備が急増するに伴い問題点も明らかになってきた。

既に設備容量は政府が2030年度時点で想定した導入量6400万kWを越え8200万kWになっているそうだ。買い取り価格が高いことと太陽光パネルを並べるだけなので短期間に事業化できるメリットが大きいらしい。

13年度1300億円だった買い取り価格が15年度には1兆300億円、30年度には3.7~4兆円に膨らむようだ。だから固定買い取りが行き詰まり太陽光発電を見直す動きになってきた。

今、私たちの身の回りで太陽光発電設備は小規模なものから大規模なものまで目につく。

家を新築するときはメーカーが必ず太陽光発電を推奨するようだ。新築家屋ではほとんど設置されている。新築した友人に聞くと補助金が出て総発電量を買い取ってくれるので投資も7年ぐらいでペイするので採用したという(今どうなっているかは分からない)。「メンテが大変でしょう」と聞くと「専門業者がやってくれる」という。

丘陵の空き地に設置された太陽光パネル
群馬県高崎市にて
チョット郊外に出ると狭い斜面にも新築の屋根に設置した規模のものが設置されているし、工場の跡地に太陽光発電を設置し、その下は倉庫に使っている例もある。

読売新聞(2015.8.11)の「編集手帳」では青々とした水田の隣に、まぶしいばかりに輝くソーラーパネルが並ぶ。いささかチグハグな組み合わせが地方の当たり前の風景になりつつある。耕作放置よりまだマシと太陽光発電に乗り出す農家も増えていると言うが、人々の暮らしを支える電源としては力不足と指摘している。

淡路島の巨大メガソーラ
週刊ポスト2015.8.21/28
更に、週刊ポスト(2015.8.21/28)の「ソーラーパネル列島」ではゴルフ場跡地、宅地造成跡地、廃校になった中学校のグランド、不採算で閉鎖になった空港の滑走路に設置されたソーラーパネル、そして関西最大級の淡路島の巨大ソーラーが紹介されている。

ソーラーパネルに覆われた大地が日本の原風景になる日が来るかもしれないとコメントしている。

しかし、そんな風景を望んでいるか。

太陽光発電は「地球に優しい」とか「再生可能エネルギー」と言った勝手な思い込みとイメージだけで普及が進んでいるように思えるが、太陽と地球の関わりを学べば、どれだけ地球温暖化にとって良くないかが分かるはずだと宇宙物理学者で元神奈川大学学長の桜井邦朋先生は忠告する(「日本列島SOS」 桜井邦朋 小学館新書 2015.6)。

それによると、太陽光パネルも太陽光エネルギーを吸収すると,その全てが発電に消費されるのではなく、パネル表面とその内側の温度も上がる。パネルの表面温度が50℃まで上がったとすると1m2あたり600Wになる。パネルを発電に利用した時間とパネルの総面積の積に比例して電磁エネルギーがパネルから放出される。仮に総面積10km四方あった場合その放射されるエネルギーの1%が約10km上層まで広がる大気中に長時間滞留すると仮定すると7℃ほど上がり、0.1%が滞留すると0.7℃、発電施設上空とその周辺の気温が上がることになる。

いくつかの仮定に基づいた計算見積なので絶対にこうだとは言えないが必然的にかなり上昇するはずだという(同上)。

特に広大な空き地に太陽光パネルを設置したらその場所の気温は上昇し、地球環境の変化は避けられないという(同上)と忠告する。
コンクリート構造物、舗装された道路などで都市は気温が上昇していることにも相通じるのだろう。

太陽は本当に地球に自然に優しいのかと疑問を投げかけている。

更に環境省の推計によると、20年間の買い取り期間を過ぎ25年間で廃棄した場合、廃棄される太陽光発電設備は20年度には年間約1000トンの廃棄物が出るが、2040年度には80万トンの廃棄物になり、これは12年度に国内で発生した産業廃棄物の埋め立て量の6%に該当する量だという(朝日新聞2015.6.24)。

国民生活の安定のためには原発再稼働と言うが廃棄物の保管問題は解決していない。


電気で便利な生活を享受しているが理想的な電源はないのだ。


[追記]
 読売新聞(2015.9.10)「ソーラー反射光で熱中症に」によると、太陽光発電施設のソーラーパネルの反射光が自宅内に入り,室温が上昇し熱中症になったとして施設を管理する会社を相手取り一部撤去と330万円の損害賠償請求をしたという。
                                      (2015.9.11)


2015年8月10日月曜日

原爆の日、終戦の日にあたって:アインシュタインのE=mC2は戦争の抑止力になっているのか

アインシュタインの E=mC2は戦争の抑止力になっているのだろうか。1年のうちの今、また広島、長崎の「原爆の日」、「終戦の日」を迎え核兵器、戦争がニュースの主流になってきた。原爆投下時の映像、太平洋戦争の映像を見る度に惨いことを経験し2度とこう言うことにならないよう「平和」を訴える重要性を再認識する。

アインシュタインがE=mC2を発表したのが1905年、その後「物体は自分の質量をエネルギーに変換させ放出することが出来る」ことが分かってアメリカ、ドイツが巨大な破壊力を持つ原爆開発に熾烈な争いを繰り広げていた。

そしてアメリカは1945年8月6日広島、9日に長崎に原爆投下した。更には1954年ビキニ環礁で水爆実験をおこない不運にも近くの禁止区域外の海域で操業していた第五福竜丸が死の灰を浴び乗組員が原爆症に襲われた。

原爆投下が戦争を終結させたのか。賛否両論あるが太平洋戦争終結に結びついたのは確かだ。しかし原爆を使ったことに対しては批判が大きい。

日本で始まった平和運動は世界に広がり「核兵器禁止」を訴えるが核抑止力の考えは衰えない。我が国も米の「核の傘」のもと、核抑止力を中心とする米国の拡大抑止は必要不可欠としてきた。

そして「持たず」「持ち込まず」「造らず」の非核三原則を執っているが、今回の広島の平和記念式典では安倍さんの挨拶で言及しなかったことが問題になり長崎では追加した。

この非核三原則は長く採用しているが、以前米国の艦船が日本に寄港するときも装備したままではないかという疑問が出ていたが政府は「米国の艦船が日本に寄港するときは装備していないという米国が説明している」という理由だけで「持ち込んでいない」としているが、今では皆持ち込んでいることは知っている。

イラン、北朝鮮の核開発も続いている。

イランの核開発は米国の主導で決着が付いたようだが、北朝鮮は核開発、核ミサイルで米国、近隣諸国に脅威を与え続けている。米国が直接交渉に乗ってこないことに不満を持ってのことのようだが、いつも騒いでいないと忘れられる哀れな国だ。

イランの核開発問題が決着したことは、今審議中の安保関連法案へも影響している。安倍総理は当初イランが機雷によるホルムズ海峡を閉鎖することに対してホルムズ海峡掃海を前提にしていたが、その前提がなくなったことになりこの法案の前提を見直す必要が出て来た。

長崎市長は、「核の傘」から「非核の傘」へ転換を求め政府に核抑止力に頼らない安全保障の検討を求め、今の安保関連法案に慎重な審議を訴えた。

また、新聞報道によると被爆者代表は「今回の法案は「戦争元年」とも表現すべき危機感を禁じ得ない。私たちは何回も撤回を求めてきた」という。これに対して安倍総理は「国民の命、平和な暮らしを守るために必要不可欠、圧倒的多数の諸国から支持と評価をいただいている」と言い返した。

国民の60%がこの法案に反対であるが、安倍さんは諸外国の支持で突き進んでいるのか。

長崎平和宣言で「「戦争しない」という平和の理念は永久に変えてはならない原点」と強調した。

世界中を見ると戦争状態か紛争状態か分からないが国民が貧困にあえぎ、難民として隣国に逃れる悲惨なニュースが毎日報じられている。

紛争の主導者は何を求めているのか。宗教の教えを忠実に守っているのか。自分たちの支配圏の拡大を狙っているのか。領土問題か。世界の平和でも願っているのか。それにしても「どうしてこんな紛争を」と思うことが多い。

ノーベル経済学賞受賞したクルーグマン先生は、「戦争を主導する指導者は戦争による損得勘定が出来ない人間のやることだ。算数が苦手なのだ」とそのコラムで言ったことがある。

核兵器のない、武力によらない対話による安全保障は、一部の主導者を除いて世界の誰もが願っていることだ。


2015年8月9日日曜日

安倍政権に妙手なし:内閣支持率下落の「抑止力」に何があるか

安保関連法案、更には側近連中の暴言もあって内閣支持率は下落一方の安倍政権であるが、人気下落の「抑止力」となる何か妙手があるのだろうか。最近のメデイアの調査では支持率も30%台後半か40%台前半、危険水域に入ったと言うが挽回できる妙手が見当たらない。

今国会で成立を期す安保関連法案の参院審議も足踏みの状態だが反対の動きが激しくなっている。国会前の集会、デモの参加人数は増える一方だし、政権与党の公明党の支持団体、創価学会の会員も反対運動に加わってきた。政権内でどう影響するのか。

野党には「代案を出せ」と迫るが「今の法案がベスト」の姿勢を変えていない。これでは妥協案も出来ないだろうが、10本の法案を一本に統括しているために一部を見直すと全体に影響してくるので説明がしにくくなるのではないか。

「人気に関わらずやらなければならないことはやる」と強がるが政治には民意も必要ではないのか。YESMANに囲まれた安倍さんは「裸の王様」で判断を誤る危険もある。

14日に閣議決定するという70年安倍談話も基本的検証をした有識者懇談会の報告とはズレがあると言う。安倍さんが口癖の積極的平和主義は評価するも「侵略」「GHQ占領期の評価」では 考え方に違いがあるらしい。この報告書をどう生かすかについて政府関係者は「あくまで参考」と言えば懇談会メンバーは「報告が無視されるわけがない。立場がある」と火花を散らす。

参考程度であればどうして懇話会で検証したのか。

安倍さんの70年談話の内容によっては「国民の生活を脅かす」結果にもなりかねない。

又、拉致被害者救出をライフワークにすると言う安倍さんは北朝鮮の調査報告、進展に期待しているが思うように行かない。北朝鮮に対する姿勢も曖昧で拉致被害者の会から「厳しい姿勢を」と要求される始末だ。駆け引きにかけては北朝鮮の方が数段上手だ。突然の北朝鮮訪問のチャンスでもあるのか。

東京オリンピックも頭の痛いところだろう。野党から批判されると「デザインは民主党政権時に決まったこと」と抗弁するが工期、工事費については安倍政権下での文科省の責任ではないのか。
メイン会場建設は白紙撤回され9月に新たな計画が発表されるようだ。以前の新聞報道でIOC会長が「一緒に検討しよう」と提案していたが、IOCも気が気ではなく自分たちの管理下に置きたいのではないか。

今まで失敗した下村文科相が責任を問われたが「私の責任は全うすることだ」と続投し東京オリンピックを成功に導くというのだろう。下村さん自身も自分の責任を感じているはずで辞任しようと思っても政権維持を考えると思うようにいかないのだろう。9月の総裁戦後の内閣改造では更迭の可能性が高い。

一方アベノミクスに始まる経済政策はどうなのか。

アベノミクスへの期待も大きかっただけに成果が望まれるが、安倍さんが指標とする株価も20000円台を維持しているが年金運用基金で株をつり上げているだけで官製株価と批判されている。今まで12%だった上限を25%まで高めたが6月末ですでに24%に達しこれ以上の期待は出来ない。

円安も230~240円台では行き過ぎの傾向もあり、日銀総裁が6月10日に「これ以上の円安はない」との見方をしめした。しかしこのプラス効果は見えないが、円安が生産施設の国内回帰を促しているのは確かだ。

1025兆円の大きな借金を抱えて財政再建が喫緊の課題になり社会保障費の削減など国民に痛みを負わせる政策は進んでいるが、何故か16年度予算案は100兆円を越えるという。税収増もあって気が緩んだのか。公共投資は今まで縮小し3兆円ほどになっている。

財政再建、経済成長を日本経済再生の両輪にしているが、財政出動→経済成長→税収増→借金削減を狙っているのだろうがシナリオ通りに行っているのか。

東京オリンピックも経済効果を狙っているが地方まで潤うことはない。

安倍政権の人気の下落は選挙にも影響が出始めた。岩手県知事選では現職を相手に自公が参院議員の平野さんの擁立を検討していたが不利とみて辞退する騒動になった。政権党が知事選に不戦敗では恥ずかしい。また、8日の埼玉県知事選では現職上田さんに自民推薦で塚田さんが挑戦している。どうなるか。

こう見てきても人気下落の「抑止力」となる政策は見当たらない。

9月の自民党総裁選では安倍さんの無投票当選の動きだが、自民党は対抗馬を出すべきだ。安倍さんの無投票当選では自民党衰退の始まりだ。対抗馬を潰して長期政権を築きたいだろうがそれは安倍さんのエゴだ。次にリーダーを育てるのも仕事の一つだ。

それとも再び政権交代の機運が出てくるのか。

これ以上、安倍さんの自己中心的政治手法が続けば参院選敗退で退陣要求が強まってくる。安倍官邸はyesmanに囲まれて「裸の王様」状態だが異論にも耳を傾ける姿勢が取れないのか。

2015年8月8日土曜日

どんな政党政治を望むか:有権者自ら政党を育て構築していくしかないのでは

私たちは、どんな政党政治を望んでいるか。自民党一党多弱で安倍総理の恣意的な安保関連法案成立に走る政治を見て国民は大きな不安を抱えているはずだ。政権与党自体に調整能力がないとすれば有権者自ら政党を育て構築していくことが必要ではないか。

読売新聞(2015.8.8)の「「政党」に関する世論調査」を見ると、政界は政権交代が出来る2大政党と複数の小政党からなり、与野党は競り合い単独政権ではなく連立政権の方が良く、今のような「ねじれ国会」も野党が影響力を持ち法案に意見が反映されるのであれば好ましいという。

長期政権は政策の偏向を生み政官癒着の危険もあり政権交代を期待する向きは多い。世論調査では2009年の自民党から民主党に政権交代したことを「良かった」17%、「どちらかと言えば良かった」39%、「どちらかと言えば良くなかった」22%、2012年の民主党から自民党に政権交代したことを「良かった」27%、「どちらかと言えば良かった」42%、「どちらかと言えば良くなかった」21%と大体同じような結果で今後も政権交代があった方が良い(70%)と考えている。

その政権交代可能な2大政党では政党人気度、政権担当能力において民主党が劣っていることに問題がある。

確かに2009年の政権交代後の民主党政権は問題が多かった。「友愛」を政治に持ち込み、普天間移設では二転三転、「コンクリートから人へ」では八ッ場ダムの凍結をしたが同じ民主党政権で解除、続行となった。事業仕分けでは官僚の無駄遣いに切り込み国民に政治を身近に感じさせたが財務省の手のひらで踊っていた感がする。初っぱなから小沢さんとの権力の二重構造が表面化し官邸の力は弱まった。

変わった菅政権も市民運動出身ということで期待されたが、東北地方太平洋沖地震、福島第一原発のあってはならない事故に遭遇、その対応に批判が集まったが、小沢さんとの確執はつきまとった。自民党からは「何時辞めるんだ」とせっつかれたあげく野田政権にたらい回しした。

野田さんも先送り政治から「前へ進める政治」で海外でも評価されたようだが、党内分裂、自民党からは「何時解散総選挙か」と追及され負け戦さが分かっていての解散総選挙に打って出た。自民党総裁の安倍さんとの党首討論で「政策実行を約束してくれれば明後日に解散します」との発言は始めて党首討論らしい討論だった。
私としてはもう少し野田政権が続けば「前へ進める政治」も軌道に乗ると思っていたので政権交代は残念だったが国民の信頼も失い限界に近かった。

今も民主党に信頼がないのは、保守系、革新系の混在する政党でいざというときに党内の不一致が露呈、一人一人を見れば優秀な議員がおり政権担当も可能だと思うのだが次のリーダーが見えない。でもこれは自民党でも言えることだ。

今のような自民党一党多弱、国政を振り回す維新の党など不甲斐ない野党を造ったのは我々有権者である。政界再編を言っても掲げる政策が決まらないし、核となる人間がいない。

今までも自民党を飛び出し無所属を続けたり、新党を立ち上げた例は多いがほとんど失敗し、少数政党で甘んじるのは良い方で自民党に復党し要職に就いている議員も多い。

今の選挙制度では政党を飛び出すのは危険なのだ。

だとすると、有権者が政党を育てていくしかない。

自民党は今の安保関連法案をみるかぎり安倍系保守よりリベラル系保守を育てる必要がある。安倍さんの意を忖度し暴言を吐く議員は支持しない。この安保関連法案に反対の人はこの法案に賛成する自公議員を支持しない。

民主党にあってはどういう党に育てたいかだ。旗印がはっきりしないのであればはっきりさせるように民主党議員のうちで革新系議員を支持しない。何回か選挙を経験する内に革新系の議員は離党し新たな党を立ち上げることになるかもしれない。

一番の問題は連合など労組との関係だ。今の民主党では公務員改革など出来ないことは橋下さんに指摘されるまでもない。労組推薦の議員を排除して行くことになる。

そういうことを何回もやっていく内に政党の姿も変わってくるのではないか。ただ小選挙区比例代表制の選挙制度では地方区で落選しても比例区で復活する可笑しな制度だから見直しが必要だ。

とにかく、議員自身では政党の改革は出来ないのだから有権者が政党を変えていくしかないのだ。少なくとも自分の住んでいる選挙区の国会議員の動向はしっかり押さえることだ。


2015年8月7日金曜日

中国、北朝鮮の脅威:安保関連法案がダメならどうなるか

南シナ海、東シナ海での中国の領有権問題、北朝鮮の核開発ミサイル問題は我が国にも大きな脅威になっているが、もし安保関連法案がダメだったらどうなるのか。日本国民の生命、安全を守るためには一国ではどうしようもなく米国との同盟強化で抑止力を高めるためにも安保関連法案は大事だと言う。

一方で、安保関連法案の安倍政権の政治手法を見ると国会審議を経ないで内閣での解釈改憲の先行は立憲主義にも反し「違憲」の見方が専門家、国民の間で強くなっているが、外交官、軍事専門家の間では必要性を訴える。

安全保障の国際環境は時代とともに変わってきているので憲法もその時その時で解釈も変わって来なければならないという。そのためには憲法9条が問題になるが憲法改正までは言及しない。今はハードルが高すぎるのだ。

今までの国会前集会は高齢者、年配者は勿論のこと子連れの親子など若い世代の参加が多かったが、今高校生、大学生も参加し「戦争法案」反対、「平和を守れ」と主張しだした。選挙権が18歳まで引き下げられる事もあって政治に目が行き始めたのだ。

自分たちの世代に大きく影響する安保関連法案だから発言すると言う。良い傾向なのだ。安保関連法案が若者の政治に対する意識を変えようとさせているのは安倍さんの功績ではないか。

先日、この安保関連法案を構築する仕事の携わったという磯崎首相補佐官の「法的安定性は関係ない」発言が大きく取り上げられ参考人招致で他の例に漏れず「発言撤回」した。

しかし、首相側近の礒崎さんの「国民の命を守るためには法的安定性は関係ない」という考えはズッと官邸内にはあったと思う。その考えに基づいて安保関連法案を構築していったのが今審議されている法案だ。

では、「法的安定性は必要だ」と言うのであれば今審議されている法案の「どこを修正しなければならないのか」をしっかり問うべきではないのか。

「法的安定性は関係ない」という意識で法案を作るのと、「法的安定性は必要」という意識で法案を作るのとでは大きく違うはずだ。もし変わらないというのであれば法案の存在意義を疑う。
ところで衆院特別委員会で約120時間を経て参院に法案が回ってきたが、相変わらず同じような質疑をやっているように見えるが想定する各種事態も詳細には決まっておらずこれから決めるという。

いろんな事態に当たっては「武力行使の3要件」により「総合的に判断する」として詳細については手の内を明らかにすることは出来ず言及しないようだ。時の政権の判断次第ということは野党にしてみれば権力に「縛り」が効かないことになる。総理によっては自衛隊を出動させることも出来るし、出動させないこともあるのだ。

でも法案が対象にしている国、脅威は中国、北朝鮮である事が明らかにされた。

中国は南シナ海で埋め立て、基地化、東シナ海の尖閣諸島の領海侵犯、11基ものガス油田は軍事施設への展開も心配されている。国連安全保障常任理事国である中国は世界の平和、安全に勤めるべきであるが自らが紛争国の当事者になっている無法国家の様相を呈しているから国連の調停は期待出来ず、中国のやりたい放題だ。

国際司法裁判所への提訴も拒否するのだから調停の手段もない。

北朝鮮の核ミサイル、核開発は確かに周辺国のみならず米国の脅威にもなっている。米国との直接交渉を望んでいろんなことをやってくれる北朝鮮だが、常に騒いでいないと存在を忘れられる哀れな国である。

しかし、この中国も習主席の行方次第だ。独裁者だから常にクーデターの心配がある。国家のトップが変わればまた対応も変わってくるのだが、それを待っていては政治、外交ではない。

実際問題として安保関連法案がダメだったらどうすれば良いのか。

米国は今も「尖閣諸島は安保体制の範囲内」と言っているので抑止力があるとすれば中国はこれ以上の不法行為はしないだろう。脅威も未然に防止できるだろうがそこは中国と日本、米国の駆け引きだ。中国がどこまでやるかだが、一触即発の手前までで戦争状態にはならないだろう。こんな状態でも戦争状態に手を出した方が分が悪いのは明白だ。

だから、海保で手に負えなければ自衛隊が出てくることになるが、海上警備行動か治安活動かなどが問題になりそうで法の運用を変えるか、領海警護法案が必要かもしれないという。
また、70年安倍談話次第では緊張を緩和することもできるだろうが、それも中国や韓国、北朝鮮がどう考えるかだ。理解するなど期待出来ないか。

権力闘争に負けて習主席が退陣すれば状況はかわってくるだろうが、良い方向とは決まっていない。獲得した利権は守るのが常識だろう。

安保関連法案が成立したとしても集団的自衛権行使はそう簡単にはいかないだろう。

状況が大きく変わるとは思えない。米軍は一国完結型だから自衛隊が戦線で戦うことは要求しないだろう。出来ることは兵站で後方支援だ。だから政権はリスクは少ないと言うが戦争では兵站は最重要課題だ。後方支援を断ち切ることも相手国にとっては重要な戦術だ。

兵員、武器輸送や燃料補給を要求される可能性は強いが決して安全な業務ではない。


アメリカとの同盟関係を良くするには集団的自衛権の行使、安保関連法案は必要だろう。今夏までに成立させる約束をオバマ大統領としてしまった。抑止力を高めても今以上の事態にはならないだろうが、更なる改善は外交力だ。 

2015年8月6日木曜日

新国立競技場総工費:「整備計画の中で示す」ということは官製談合になるのか

6日のメデイアが5日の衆院文部科学委員会で遠藤五輪相が「新国立競技場の総工費を9月上旬に整備計画の中で示す」と明言したと報じた。チョット待てよ。そうすると官製談合すると言うのか。

勿論、自由競争をさせると仕事を取りたいための「安かろう悪かろう」の設計・施工になるし、逆に「高ければ高いほど良い」という訳にも行かない。そのために一定の品質を保ち適正工事費を知っておくことは大事であるが競争入札する前におおよその予定工事費が分かるような公表は官製談合に手を出すことにならないか。

今までの新国立競技場の工事費は1300億円→3000億円→2520億円と転々としている。

最初にコンペで示された1300億円の根拠も2016年の招致に落選したときの予定価格と言われたり、再度見積をやってみると人件費、資材の高騰で3000億円になったという。ただそれだけの理由で倍になるなんておかしい。考えられることは相当適当な見積をやったことになる。そして条件をいじくって2520億円まで下げて有識者会議で承認を取ったことになる。

その後、いろんな批判が出たことで安倍総理が白紙撤回を決断した。

そして今度はデザイン&ビルト方式で設計と施工を同時にするコンペだという。「時間が無い」ので効率的方法かもしれない。

設計条件を明示するのは当然でも工事費まであかすのはどういうことか。その工事費の根拠は何なのか。こんなことをやっているから工事費の無駄遣いになる。また官庁仕様は民間仕様よりも贅沢で金額的にも3割高と言われたときもある。

業者には設計条件だけ示し、提案された案件から最適と思われる設計・施工事案を決めるべきではないのか。

あらゆる面で官庁事業は無駄が多すぎる。

2015年8月2日日曜日

憲法解釈者の姿勢:時代とともに変わる憲法規範を現実の出来事に当てはめる責任を持て

憲法解釈者の姿勢は時代とともに変わる憲法規範をきちんと現実の出来事に当てはめることと憲法学者である京大・大石教授は言う。私立大の多くの憲法学者が「違憲」を断じている今回の安保関連法案(平和安全法制)を東大や京大の憲法学者がどう考えているのか疑問に思っていたが、政府寄り(?)のスタンスを取る読売新聞(2015.8.2)が京大・大石教授とのインタビュー記事「安全保障法制 語る 「憲法解釈 変更あり得る」」を掲載した。

安保関連法案の国会審議で中身の議論が深まらない中で、野党は法案の印象ばかり批判し、「戦争法案」というネーミングはデマゴギーで国会議員が使う言葉ではないし、世論調査を元に「国民の多くは憲法違反だと考えている」と訴えるが国会議員は自らの判断を放棄しているようなものだという(読売新聞2015.8.2)。

野党が「戦争法案」と言ったから国会前集会で「戦争させるな」というプラカードになったかどうかは知らないがデモ参加者には年配者、子連れ夫婦を問わず「戦場に子どもを送るな」などの訴えが多い。そして戦争経験者である高齢者は一様に戦争反対なのだ。

この集団的自衛権行使が限定的であっても安保関連法案が「戦争になる危険」に一歩近づいていることは確かだ。今は武力行使ではなく外交で懸念事項を解決する方向だという専門家もいるが相手国次第では外交もうまく行かない。

世論調査などで「国民の多くは憲法違反と考えている」とは、国民の民意に言及したものであるが国会議員自ら判断すべきだという指摘には同感だ。

60%の国民が反対している法案が委員会で強行採決、賛成多数で衆院通過とは自公議員が民意をどう考えているのか。民意とは関係なく党議拘束(?)で賛成したのか。衆院特別委員会での強行採決でプラカードを掲げて委員長席に駆け寄る野党委員に較べ茫然と起立している自公議員の無気力さが印象に残った。

理解が進まない理由に10本の改正法案などを1本にまとめての一括提案であることを挙げているが私もブログで個々の法案で審議したらどうかと提案したことがあるが大石教授の意見に同感だ。1本1本を丁寧に審議すれば理解も進むだろうし、新たな疑問も出てくるだろう。

ところが国会審議で野党議員が質問したところ安倍総理は「分離すれば関連性を説明するのが難しい」という意味の発言をして拒否したのだ。何やら説明しやすい事項に質問を集中させ知って欲しくない事項を隠す手段に出たのではないかと疑う。
憲法9条と安保関連法案の関連では、憲法は伝統的に武力行使の放棄を定めていることは疑いのないことだが国際情勢は動いているのだから解釈変更の余地は有り憲法規範と整合性を取っていくべきだという(同上)。

安倍総理がホルムズ海峡の掃海に御執心だったことから党首討論で岡田さんが「ホルムズ海峡で何か変わったことが起きているのか」と安倍総理に質問したが安倍総理はまともには答えなかった。

そして今、中国、北朝鮮などを想定国にしている。尖閣諸島の激しさを増す領海侵犯、北朝鮮の核開発問題、なかなか進まない拉致被害者問題など日本一国では対応しかねる問題に米国との同盟強化で抑止力を上げようとする考えには理解も出来る。

外交や軍事の専門家は国際情勢の変化を例示し安保関連法案の必要性を説く。地方の公聴会でも中国に近い沖縄県内では安保関連法案に賛成する意見が多い。国土防衛を考えるとその緊迫感は分かる。

一方で、今回の安保関連法案に反対の立場を取っている人には安倍政権の政治手法に反対している人も多いのではないか。

国民投票法を成立させた実績はあったが、憲法改正のハードルが高いとみると「今回が限界」と憲法の解釈改憲に舵切りした。今回の法案は、特に大々的に選挙公約で掲げた政策ではなくアベノミクスに隠れて公約に添えられた程度の政策課題であったが衆院で多数の議席を維持することが出来、国会審議の前に閣議決定、アメリカとの約束そして国会審議入りと強硬手段に出た。

野党は憲法解釈変更は「立憲主義に反する」と政府を追及する。憲法学者もこの点も「違憲」の理由にあげる。

大石教授は「そもそも憲法の役割は正しい形で政治家に権力を与えること」だといい、「権力を抑制しなければならない」という主張は「政治家には存在価値がないと言っているようなものだ」と酷評する。国民が選挙で投票し、議院内閣制を確立するものだから立憲主義の議論は不毛という(同上)。



最後に大石教授は「憲法学者は政権へのスタンスでものを言ってはいけない」とも言う。時代とともに変わる規範をきちんと現実の出来事に当てはめることが責任ある解釈者の姿勢だという(同上)。

内閣、法制局もそういう役割を担っているし、最高裁も起きた出来事に如何に打倒は解決策を見いだすかに腐心しているという(同上)。

憲法学者にもそういう姿勢が求められるのではないかという(同上)。

憲法学者が国会で参考人として呼ばれるときも各党の推薦によるが、与党推薦の憲法学者が「違憲」と言ったのだから反響は大きかった。今は政権寄りとみられていた憲法学者も「違憲」発言をしている。

安倍総理は進まない国民の理解に対して「丁寧な説明」を強調するが、時代の移り変わりとともに現実の出来事に対してしっかり説明責任を果たし憲法との整合性を図らなければ国民の理解は得られない。

大石教授が今回の安保関連法案に「合憲派か違憲派か」、「賛成か反対か」もはっきりしないが、示唆に富むインタビュー記事だった。この安保関連法案も国会審議では成立するだろうが、国民一人一人がしっかり考え「賛成か反対か」の態度を示すのは来年の参院選だ。


憲法学者も合憲、違憲の判断ばかりでなく現実の問題をどう解決していくか、処方を出すのも責任ではないか。


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