読売新聞 2013.10.2 |
にもかかわらず、今回も3%の増税で、約8兆円の増収になるが、景気の腰折れを防ぐために5兆円規模の経済対策をとるという。そもそも腰折れを防止しなければならない経済状況の中での増税が適切なのか。
今回の消費税増税の賛否で多くのエコノミストは、国際公約である財政健全化、国債の信用の維持、決められた法律を施行することでの政権の姿勢を示すことが必要と説いた。
安倍政権は、社会保障と税の一体改革の議論の中での消費税増税であって、目指すのは成長路線に持って行っての家計への再分配、増収であった。いわゆる「上げ潮派」なのだ。成長路線に持っていけるのであれば、何でもする姿勢だ。
ところが、アベノミクスで打ち出した第3の矢「成長戦略」も、規制緩和、岩盤規制で既得権者と戦う必要があるが、その意気込みは不透明だ。期待しているエコノミストは多くない。だから失敗するだろうとの見方だ。
円安による物価の上昇に消費税増税でダブルパンチの国民は泣くだろう。GDPの6割を占める個人消費も増税になれば支出を控える(56%)という世論調査が出ている。増税は買い控えにあい、GDPは伸びず、安倍政権の政策は失敗の可能性も高い。
そうなれば、国民は安倍政権から離れていくだろう。
一方、大企業は大笑いだ。政権は企業の活性化のために法人税下げ、復興税の一年前倒しで廃止、投資減税、研究開発減税で大企業優遇策のオンパレードだ。
さらに、政府は賃上げ減税も考えているようだが、経済界の考えは業績向上→賃上げだ。減税を狙って賃上げする企業などありえない。
今、政労使で賃上げについての議論を定期的に開催するというが、「賃上げが先か」、「成長戦略が先か」の鶏と卵の議論だ。
そんな中で、経済指標の好転に押されて、消費税増税に舵きりした安倍総理は、意に沿った結論として大満足だろう。
国際公約も守る、法律の既成路線で進める政権の強い意欲、万一の景気の腰折れ防止への数々の政策を打ち出しているのだから、ほぼ満足だろう。
しかし、減税策と言ってもその恩恵にあずかる国民の率は、そう多くない。ほとんどの国民が厳しい生活を強いられるのだ。
国民の多くが、そのことに気が付いたときから、国民は安倍政権から離れていく。
そうならないためにも、「国民目線」の政治に切り替えなければならない。
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