経済成長も重視される中で、各国の財政健全化は喫緊の政治課題であるが、国家予算の考え方で日米どちらがまともか。今回の米国の債務上限引き上げ、政府機関一部閉鎖の解除に向けたオバマ大統領vs野党・共和党の攻防を見て、どちらがまともなのかを考えてみることも大事なのではないか。
米国のデフォルトは世界経済に打撃を与えることは明らかで、回避に向けた議会交渉が世界的に注目された。
債務上限引き上げ問題は、先送りの形で一時的に回避されたが、米国には深刻に受け止め消費者心理は下落、成長率も下落、勝者のいない抗争だったがオバマ大統領の指導力低下は、米国内ばかりでなく世界的に政治不信を高める結果になったという。
この根本的な問題は「国家予算への考え方」にある。
オバマ大統領率いる民主党の重要政策であるオバマケアは一歩も引けない。民主党は「大きな政府」を目指し、共和党は「小さな政府」を目指す。特にティ-パーテイーの支持を得ている共和党議員は強硬派だ。
今、米国の債務は1640兆円、2013年の米国の債務残高は対GDP比で109.1%、一方日本は228.2%で我が国の方が大幅な赤字財政である(財務省 日本の財政を考る)。
それでも米国は債務上限を超えそうになると議会の合意を得なければならない。更「2014~2021年の支出予定から毎年約900億ドル(約9兆円)を削減しなければならないシクエスター「歳出自動削減」が再発動される。税制・支出プラン作成を超党派の予算協議会で検討する必要があり、教育、研究、国防分野などでどう緩和するかがポイントになるらしい。
一方、今でも先進国で一番財政収支の悪い我が国は、平成25年一般会計を見ても税収43兆円、赤字国債(特例公債、建設公債)も同程度の43兆円で、国家予算の半分を赤字国債に頼っている。
余りにも大きい債務の為にG20などでの財政健全化課題では日本だけ特別扱いだ。
今回の消費税増税が財政健全化への第一歩と強調しているが、3%増税のうち2%(5兆円)分は財政出動になる。いわゆる赤字国債だ。
安倍政権は、財政出動→景気回復→税収増、賃上げ、雇用確保の好循環を目論んでいるが、うまく行かなければ赤字の積み上げになるだけなのだ。
日銀の緩和政策も危険視する経済学者が多い。物価上昇と通貨安は金利の上昇を招く。基本的には構造改革が伴わなくては駄目だが、既得権益者と安倍政権がどう対峙していくか。
アベノミクスが成功すれはクルーグマン教授が言うように「日本は世界の希望」になるが、失敗すれば「バカノミクス」で終わる。
「ねじれ国会」解消で、安倍政権のやりたい放題の財政出動と「ねじれ国会」で苦労するオバマ大統領を比較したとき、財政健全化に対して米国の方がまともではないかと思う。
今(22日、午前11時20分頃)、NHKで衆院予算委員会を中継している。日本維新の会の松野さんが「法律では、消費税増税分の使い道が「成長戦略・・・等」と書いてあるが、どこまで広げるのか」と質問している。
安倍総理は「3%の充当先はすでに決まっている」と社会保障以外の使い道を否定したが、松野さんは「予算要求も99兆円を越えている。消費税増税すれば歳出もドンドン増える。どうするんだ」と追求を続ける。
議会がしっかり監視しなければ、予算を執行する官僚は既得権益者として平気で目的外使用をし、財政健全化など出来っこないのだ。
構造改革、岩盤規制へ果敢に挑戦する政権の姿勢を見せてほしいものだ。
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