読売新聞 2013.10.3 |
「消費税4月8%決定」以降の新聞は、安倍総理が決断するまでの経緯を詳細に報じている。本当に記者がその場にいたはずは無いのだから、政権側の誰かが情報を流し、安倍総理がいかにも苦渋の決断をした状況作りをしているようにも思える。
安倍vs麻生・財務省、安倍、甘利、菅vs財務省、安倍vs自民党税調の構図が見え隠れする。
しかし、経済指標が好転しているとは言え、増税に賛成するエコノミストも絶好のチャンスとは思っていないはずだ。必ず景気の腰砕けを防止する戦略の必要性を問うている。素直に増税に賛成できるはずはないのだ。
特に企業を成長路線に導こうとしている第3の矢「成長戦略」も内容的にはパッとせず、逆に規制緩和、岩盤規制へ取り組む姿勢が問われている。既得権益者にどう挑んでいくかの意気込みに欠けるのだ。
それが分かっているから、安倍総理は投資、賃上げ、雇用改善に向け、法人税実効税率下げ、投資、研究開発減税、はたまた賃上げ減税など矢継ぎ早に企業優遇策を打ち出した。
しかし、経済界も慎重だ。業績向上→賃上げと牽制する。「賃上げより雇用確保が先だ」とも言う。
安倍総理にしてみれば、ここまで成果らしき経過をたどってきたアベノミクスも賃上げ、雇用増で実績を示さなければ、バカノミクス、アベノミスと揶揄される(すでにされて入るが)。
どうしても企業マインドを好転させたいのだ。
政労使で定期的に会合を持つと言うが、「賃上げが先」か、「成長戦略が先」かのニワトリと卵の議論になっている。
アベノミクス、国際公約の推進で法人税下げは安倍総理にとっては死活のテーマになってきた。
一方、財政再建と経済成長は両立できるともいう。
今回の消費税増税3%(8.1兆円)は、2%(5兆円)を経済対策当て、実質1%(約3兆円)の増税になる。3―2=1も苦肉の策だ。
5兆円の経済対策は赤字に頼るしかない。安倍総理の描く財政出動→成長→税収増、消費増もうまくいけばの話で、成長が望めなければ赤字の上積みになるばかりだ。
日本はIMFから財政再建を強く要求されている。
アルベルト・アレシナは「緊縮財政は経済成長をもたらす」と言い、 カーメン・ラインハート、ケネス・ロゴフは「債務残高がGDPの90%を越えると成長は大きく停滞する」という。
この論文の真偽は分からないが、緊縮財政で債務残高が減少に向かえば将来への安心感から消費は増えるだろう。
でも、債務悪化のギリシャでは緊縮財政が国を更に疲弊させ、経済成長を求めるデモが頻発している。その財政出動の財源を何に求めるのか。
赤字の上積みを出来るだけ押さえて成長路線にもっていくことは、至難の業だ。手っ取り早くは、企業がデフレ脱却への意識改革をすることだが、政治の思うようには行くまい。
関連記事
2013.9.21掲載
今、必要なのは緊縮財政か、成長戦略か:どちらが将来の安心感に働くか
0 件のコメント:
コメントを投稿