アメリカにデフォルトの危機が迫っている。市場は円、日本国債買いに動き安全資産と見られているのだ。以前にも法定上限引き上げで議会が混乱しデフォルトの危機に遭ったが、何とか切り抜けた。本当にデフォルトにでもなれば世界経済に多大な影響を及ぼすだろうから最後は何とかなるのだろう。
米国の混乱で、日本市場は一時96円台になったが97円10銭の円高、株価は132円安の14024円31銭、NY市場は一時180ドルの大幅下げとなり、投資家の資金は日本国債買いになったという。
日本だって、中国に次いで第2位のアメリカ国債保有国だ。米国のデフォルトの危機は他人事ではないが、それでも日本は「安全資産」なのだ。
讀賣新聞(2013.10.2)によると、日本の債務残高対GDP比は245.4%(2013年度末)でダントツに高い。あの緊縮財政で国民の不満が高まりデモも発生しているギリシャ179.5%、イタリア130.6%、米国108.1%、英国93.6%、フランス92.7%、優等生のドイツが80.4%だ。
「債務が対GDP比90%を越えると経済は停滞する」と言う説もあるが、本当のような気もする。
米国は、1600兆円から更に法定上限引き上げで「大きな政府」を目指す民主党と「小さな政府」を掲げる共和党が、折り合いが付かずもめている。政府機能の一時停止の事態になり混乱し始めた。
金融緩和の出口である緩和縮小時期を決める雇用統計発表も延期になったようだ。市場の混乱に拍車をかけるだろう。
米国に比して、もっと債務残高の大きい日本は、1000兆円越えで対GDP比245%に達している。
IMF,G20からも財政再建で警告されている。2020年までにPB黒字化を国際公約し批判を回避している状況だ。
取り敢えず、来年4月からの増税が、その第一歩だ。だが前途多難だ。計算通りには行かないようだ。
財政健全化とともに経済成長で税収増を図りたい安倍総理は景気対策の経済政策を打ち出す。13年度補正予算、14年度予算案は正念場だ。
「緊縮政策が経済成長に繫がる」という説があるが、日本は財政再建と経済成長の両輪での経済運営になる。失敗するか成功するかは来年中頃には出てくるだろう。
こんな状況でも何故、日本は安全資産なのか。
国民の資産などは1500兆円あり、日本国債は国内で消化されていると言うが、海外投資家の保有も増加している。この海外投資家が国債売りを始めると一気に暴落する気圏もある。
銀行が保有している国債も売りに走ると危険な状態だ。大手銀行はそのシミュレーションを終わっているという。
また、債務ばかりでなく、資産も債務の半分程度持っているので、今の債務残高は問題でないという説も時々見受ける。そうなれば対GDP比も120%程度だ(財務省も純債務での対GDP比を出しているが、これとは違う)。
まだ世界の混乱時に「日本買い」が続くのはこういった状況があるからなのだろうか。
財務省は、税収増に消費税増税をやりたいために、245%という数値で危機感を煽っているが、本当のところ日本国の財政はどうなのか。
法人税引き下げなど国民に増税を強いながら企業を優遇する安倍政権の政策に「違和感」を感じる。「国民目線の政策」に変わったと衆院選で訴えていたのは嘘だったのか。
国民は、アベノミクスに誘われて自民党支持に回ったが、圧倒的多数の議席確保で自民党は野党時代の教訓を忘れてしまったかのようだ。
「日本は安全資産」という評価がいつまで続くのか。
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