今国会の衆参・予算委員会の東電・福島第一原発の汚染水問題の質疑を聞くと、安倍総理の「コントロール」発言がある限り真相の究明は無理な気がする。すべての真相解明が「コントロール発言」で大きな制限を受けているのだ。
安倍総理が「状況はコントロールされている」発言を撤回しない限り、真相は闇の中だ。すべての事象が総理発言との整合性が優先するために真実を曲げての検証、発表になりかねない。
21日の衆院予算委員会で自民党・塩崎さんが「状況はコントロールされている」発言について、その真意を問いただしていた。
安倍総理は、「貯水タンクからの汚染水漏れなど個々の事象は発生しているが、近海での放射性物質の影響は、港湾内の0.3km2に限定されている。福島県沖を含む広いエリアでのモニタリングでは基準濃度を遙かに下回る。予防的且つ重層的な対策をとることで汚染水の影響が外洋には及ばないようにしている」と言う意味の答弁を行っていた。
安倍総理の言うように、個々の汚染事象は発生している。
管理ミスでの汚染水タンクからの汚染水漏れは呆れかえるばかりだが、安倍総理言うほどコントロールされているとは思えない。
10月10日の讀賣新聞によると、原発沖合約1kmの地点で海水から1.4ベクレルのセシウム137が検出されたという。でも東電はWHOの飲料水ガイドライン10ベクレルに比べても低い値で問題ないとしている。
安倍総理も基準濃度を遙かに下回る値で汚染水の影響が外洋には及んでいないと考えているようだ。
しかし、飲料水基準ガイドラインで比較しても低いから大丈夫だという考えは欺瞞である。比較すべきはそのあたりの環境の数値である。環境の数値が検出限界未満であれば1.4ベクレルが検出されたことは、汚染されていることになる。
すべての理由付けが「コントロールされている」で粉飾されているのだ。
2013.10.19日の報道では、17日サンプリングの観測井戸からストロンチウム40万ベクレルが検出され、過去最大値で、理由は土壌を通じて移動したらしい。
世論調査でも70%以上が、「コントロールされている」発言を評価しないと言う。多くの国民が評価していない事象を国民の代表である総理が臆面もなく述べるなど民主政治をゆがめていないか。
2013.10.18の新聞報道によると、先の台風26号による大雨でタンク周囲の堰にたまった雨水で暫定基準値を超える水2400トンはタンクに回収したが、基準値未満の雨水2400トンを海に流したという。
これは、23日の参院予算委員会でも緊急事態での処置が追求されていた。
規制委員会の田中委員長が「コントロールされているのか」と執拗に追求されて、苦渋の表情で言い訳をしていた。
福島第一原発の汚染水問題は、安倍総理が自らの「コントロールされている」発言を撤回しない限り真相究明は出来ないのだ。
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