2013年10月6日日曜日

読売新聞・野田前首相インタビューを読む:3ヶ月ごとに政局の山、消費税を取る

讀賣新聞(2013.10.6)の野田前首相インタビューの記事が目についた。安倍総理は「4月消費税8%」を決断したが、増税へのレールは野田前首相が政治生命を賭けてしいたものだ。その3ヶ月毎に山を迎える緊迫した政局が伝わってくる。

「消費税を取るか」「総理大臣をとるか」「民主党をとるか」の葛藤だったが、財務副大臣、財務大臣経験から財務規律の必要性は知っていたので、議員を辞める覚悟で消費税を取った。自分の最大の使命と考えたのだ。

マニフェストには掲げなかった消費税増税では、野党もさることながら民主党内からも「その前にやることがあるだろう」と最大勢力の小沢グループが反対に回った。

国民は、国内の議論も熟していないのにG20で国際公約してしまったことに疑問を持ったが、退路を断っての決断だった。「党はサポートするのか、しないのか」と党にメッセージを送り、野党には「本気だぞ」とのメッセージを送ったのだという。

それは、3ヶ月毎に区切って、年内に素案づくり、年度内に提出、会期中に成立を考えていた。

でも、野党自民党とは政策論では合っていたが、政局で違っていた。自民党は「解散させなきゃ駄目」となったようだ。

選挙も近づき政権奪取のチャンスも出て来たので、自民党としてはイニシアチブをとって解散に持って行きたかったのだ。

党首討論でも解散時期が争点になった。「近い将来」「近いうち」の言葉が踊ったが、「近いうち」の表現は野田―谷垣会談で谷垣さんがOKしたことなのだ。

野田さんも解散は早い内が良いと考えていたようだが、1票の格差、特例公債法のこともあり、無責任に放り出すことは出来ないと考えたようだ。野党と政権を担う総理との考え方の違いは大きい。

党内で反対グループを率いる小沢さんとの調整は、当時重要だったはずだ。

野田ー小沢ー輿石会談
2012.6.3民主党本部前で
各社取材陣
そのことは野田―輿石―小沢会談で内容が分かった。その前にやることがあるだろうと行革、デフレ脱却、社会保障が上げられたようだ。野田さんは「統治機構を変える基本法を提出すれば良いのだ」と判断し、急遽用意し会談に臨んだが、中身をろくに読まずに「今国会会期中にやれ」とハードルを高くしていったようだ。

これを機会に小沢さんとは縁が切ったそうだ。

今外交で最大の懸念となっている尖閣諸島国有化も、石原さんは電光石火で圧勝を狙っていたが、野田さんは虎視眈々路線で100年、200年先考えての国有化だったと言う。

でも、買収価格は都と国では大きな差があるし、胡錦濤主席(当時)との立ち話で国有化反対を表明されたと言うが、何故急いだのかには言及していなかった。

消費税増税は政権にとっては命取りになりかねない政策であったが、3ヶ月毎の山の政局を野田さんは果敢に挑戦した。

ドジョウだとか金魚だとか色々言われていたが、総理としては腰の据わった人材であったのだ。小沢さんと縁を切ったことが政策を更に進めるきっかけになったのだろう。

しかし、財政規律の問題は分かるが、国の財政の本当の姿をどうして国民に示せなかったのか。

国会の審議で、みんなの党の江田さんから「消費税増税をやったときのデメリット」を聞かれたが、「やらなかった時のデメリットも考えなければバランスの取れた議論にならない」と応じていたが、野田さんはどう考えていたのか。


国会審議では核心を突いていなかったような印象を持っているのだが・・。


民主党が再び脚光を浴びることが出来るのか
民主党本部前
2012.6.3

0 件のコメント: