讀賣新聞(2016.7.17)の「売り手よし、買い手良し、世間良し」で伊藤忠商事の創業者である伊藤忠兵衛の経営で利益三分主義の独創性が紹介されていたが、これこそ日本式経営の良いところであり、グローバリズム経営に凝り固まった今の経営者に警告を発する内容ではないか。
それによると、忠兵衛は儲けた利益を本家、店、店員に一定の割合で配分した。利益三分主義を実行したのだ。
我が国も輸出に依存する経済を海外から批判され、内需拡大が喫緊の課題となったときに、中曽根内閣の時の前川レポート、福田内閣の時には21世紀版前川レポートが提言されたが、いずれも失敗に終わった。その要因に企業が儲けた利益を家計に再分配することに経営者側が反対したからだ。
ところが、それが今も続いているのだ。円安、株高、異次元の金融緩和で多くの企業が儲かっているが内部留保は320兆円を超えるが家計への分配はなく消費は伸びない。
安倍政権はアベノミクスの成果を出すために企業に「賃上げ」を要求、労働組合とは違い「官製賃上げ」と言われた。一時効果はあったが、マイナス金利、英・EU離脱、米の国内経済の影響もあって再び経営者はひもを締めた。
オーナー経営者がいなくなり、サラリーマン経営者では勇断は出来ないだろうし、市場、メデイアも経営者の評価は株価にある。
安倍政権もアベノミクスの成果を株価で評価しようとしているのだから良き日本式経営はどこかに行ってしまったのだ。
このまま消費の低迷が続くとは思えないが、将来の不安を払拭しなければ個人消費が伸びるとは限らない。
米国式グローバリズム、賃金の安い新興国に労働条件を合わす経営のやり方では労働者は浮かばれない。
新聞のタイトルにもなっている「売り手良し、買い手良し、世間良し」の「三方良し」はこれからの日本に必要なのだ。
そういえば今回の都知事選で「住んで良し、働いて良し、環境に良し」といった候補者がいる。鳥越俊太郎さんだ。他の候補も3つの不安、3つの問題など提起している。
0 件のコメント:
コメントを投稿