2010年7月13日火曜日

2010参院選:獲得票数から考えると民主党は勝っている







今回の参院選は、唐突な消費税論議で民主党敗北の結果であるが、各党の獲得票数から考えると、民主党は負けていない。菅執行部の責任論が出て民主党内のお家芸であるゴタゴタが再燃しているが、難題山積の今、権力闘争をやっている時ではない。

新聞に今回の参院選の選挙区、比例区の各党の獲得票数が載った。有権者は本当に民主党に愛想を尽かせたのか。

有権者約5800万人の選挙区、比例区の各党への投票数と、それぞれの議席獲得数(選挙区121人、比例区48人)を見てみた。

選挙区では、民主党2275万票(全体の38.9%)、自民党1949万票(33.4%)、公明党226万票(3.9%)、みんなの党598万票(10.2%)、共産党426万票(7.3%)、社民党60万票(1%)、たちあがれ日本32.8万票(0.6%)、国民新党16.7万票(0.3%)、新党改革62.5万票(1.1%)その他192万票(3.3%)だ。

得票数からすると、民主党は自民党を上回っているが、選挙区での獲得議席数は民主党28議席(全体の議席数の23%)、自民党は39議席(32%)で民主党は大きく差を付けられた。有権者一人一人の判断では民主党が勝っているが獲得議席数で負けた。

選挙区で民主党、自民党に投票した人も、比例では約970万人の人が公明党、みんなの党、社民党に投票した。

一方、比例区は獲得票数と、獲得議席数の割合は、ほぼ一致する。

民主党の敗北の原因は、選挙区での獲得票数の割合と議席の獲得割合とが乖離しているところにある。これは先の衆院選で政権交代を訴えて戦った民主党が、獲得票数割合よりも多くの獲得議席数を得たのと同じことだ。

確かに言われているように、唐突な消費税問題、現実論に向けたマニフェストの変更、一向に解決していない「政治とカネ」の問題、鳩山政権での右往左往した普天間移設問題など民主党政権にとってはマイナスイメージが強い選挙戦であった。

しかし、選挙区での一人一人の有権者の判断は民主党に軍配を上げている。
今回の選挙結果を得て、民主党内では、小沢さんよりのグループから総括、責任論が噴出している。当然、総括は必要であるし政権与党として安定した政権基盤を築いて欲しいが、権力闘争を帯びたゴタゴタは御免だ。

みんなの党も一躍脚光を浴びた。アジェンダ、アジェンダとうるさい程だ。11の議席を獲得したのだからあっぱれだ。選挙区で約600万票、比例区で約800万票を獲得、選挙区で民主、自民に投票した人の約200万人が比例でみんなの党に投票した。

議員定数の削減、公務員削減などはみんなの党の渡辺さんに頼るしかないと見たのだろう。

民主党との連立には否定的であるが、みんなの党の政策を丸飲みするのであれば、連立の可能性もあるという。民主党政権が国会議員削減、公務員削減、公務員制度改革にモタモタしていると、更に勢力は拡大するだろうが、民主党が削減、公務員制度改革にしっかり取り組めば「みんなの党」の存在感も薄くなる。

無党派層に頼る政党に危うさがある。

民主党が本当に政権を担う能力を持っているかどうか、強固な基盤を築けるかどうか、見極めなければならない。
写真:比例区、選挙区での獲得票数 2010.7.13読売新聞。 選挙後の国会運営を語る菅総理、キャステイングボードを握ったみんなの党の渡辺さん テレビ報道より

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