2013年5月21日火曜日

財政制度等審議会が「日本経済の構造改革」提言:「内需拡大」はどうなったのか


果てしなく続く「日本経済の構造改革」提言だが、言われている「内需拡大」戦略はどうなったのか。財政制度等審議会が提出する報告書に、また「財政支出に頼るのではなく、日本経済の体質を構造的に改善すべきだ」と提言するそうだ。

讀賣新聞(2013.5.21)によると、「経済成長すれば財政健全化が実現する訳ではない」と指摘し、プライマリー・バランスの国際公約を堅持するには、財政支出に頼らず、日本経済の構造改革を提言している。

何時の政権も経済政策に「内需拡大」を唱えているが、うまくいっていない。家計に刺激を与えて内需主導の経済成長を目指しているのだが、企業は利益を上げても家計に分配されない事が要因らしい。

内需拡大というと「前川レポート」だ。

1986年、当時巨額の貿易黒字が国際問題となり、米国などからの外圧もあって内需拡大を謳い、具体的な提言を行ったが、外需主導の経済を転換することは出来なかった。

その後、2008年にも当時の福田総理の肝いりで「「日本経済の構造転換」をめざす「21世紀前川版レポート」」が提言された。国際競争力も低下し、今後は人口減もあり、「若返り」が必要で10年後に出生率1.8まで回復するなど5項目の政策提言があった。

この21世紀版前川レポートでも、成長の果実の配分の考え方に賛成できないとして、内需拡大への重要な視点は示されず、具体的な戦略はなかったと言われている。

そして政権が変わり、民主党・鳩山政権はG20サミットで「内需拡大に思い切って経済を転換する」と国際公約した。G20ではオバマ大統領が米国は過剰消費を是正し、日本、中国、ドイツは内需拡大に努める不均衡是正を主張していたのだ。

当時民主党政権が掲げた「子ども手当」「コンクリートから人へ」「高速道の無料化」「ガソリン暫定税率の廃止」などマニフェストの掲げられた政策も輸出主導から内需拡大での経済成長を目指すものであったのだ。

しかし、「内需拡大」は大きな課題であるが、構造改革も難しく、今後人口減で一層内需は減ると見られているのだ。

安倍政権は、経済界に向けて賃上げの要請をしているし、規制改革を含め成長戦略を打ち出している。それが内需拡大にどう影響するか分からないが、家計に刺激を与えて消費を拡大することは大事だ。

取り敢えず、円安が進むことにより海外生産委託が国内に回帰する傾向はあるようだ。

テレビ東京だったと思うが、情報番組でデパートの紳士服売り場の責任者が、今まで縫製を海外に委託していたが円安により縫製を国内で委託することにしたという。国内回帰の傾向が出てくればしめたものだ。

米国でも、オバマ大統領はドル安政策、減税などで生産設備の海外から国内回帰を目指している。

実際に米国の製造業が国内回帰で復調の兆しを見せているという。

微妙なサイズがあわない品質に問題があり、顧客が逃げていたが中国の高騰する賃金、輸送費が重荷になり米国内で製造してもコストに大差がないことになり中国への外注を解消したという。食品でも指定した原材料を使っていなかったようだ(讀賣新聞 2013.5.21)。

何時の時代の審議会も内需拡大への経済構造の転換を提言するも、規制改革を含めてなかなか進展しないのも事実だ。

デフレ下でも収益を上げる経済構造を作り上げ、それにしたっている企業の意識改革こそ、内需拡大には必要なのではないか。円安を機に「内需拡大」策をしっかり議論すべきだ。

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