2018年2月5日月曜日

働き方改革:誰のための改革か、企業家か、労働者か

今国会で審議されている「働き方」改革は70年ぶりの労働基準法の大改革と言うが、誰のための改革なのか。政府の答弁を聞けば企業家のため、野党の質問を聞けば我々国民、労働者のためと思うが、発端は過労死対策ではなかったのか。

裁量労働制、残業時間100時間上限規制、脱時間給などが主要な検討課題であるが立憲民主の長妻さんは「企業が稼ぐ力を付けるための法改正」と批判すれば、安倍総理は「多様な働き方」を認める画期的改革だと反論する。

でも問題の背景には、グローバリゼーションで安価な労賃の東南アジアの新興国と競争するためにも固定費に占める人件費を削減するのが経営の課題になった。

当然に国内では従業員の削減のために首切り、別会社へ生産工程の一部を移したり非正規従業員の採用で人件費の削減を目指す。

景気が良くなれば仕事も増え必要に応じて雇用も増やし家計への再分配が進む経済の好循環を期待すべきであるが、残念ながら企業は従業員数を削減したままだ。当然に一人当たりの仕事の量は増え休日出勤、重労働で体調を崩したり過労死の要因になる。

企業自身の従業員削減、低賃金政策が経済の好循環構築の弊害になっているのだ。

将来への不安も消せない。特に男性の就業率が伸びないようだ。本来であれば男性一人の収入で家のローン、子育てをやっていくべきであるがそれができない。

そのために結婚も子作りもできない。不安定な生活は離婚、子どもの虐待、殺人など社会問題になっている。

これでは良質な労働力の再生産など期待出来ない。それが将来の国内企業の存続にも大きく影響してくる。

450兆円の内部留保が問題になっているが「日本式経営」に向け企業は積極的にはき出したらどうか。政府は3%賃上げ、設備投資をしなかったら優遇税制の適用をさせないとアメとムチで経済界に働きかけているが、企業の経営者自身が考えなければならないことではないのか。

どんなに良い労働法制を築いたとしても守るのは企業、経営者だ。性善説ではなく性悪説で考えなければならないことに今の日本社会の膿がある。

取り戻せないか日本式経営を!


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