安倍総理ごり押しの「法人税下げ」を絶賛する経済財政諮問会議は本当に政策を議論しているのか、政権のYESマンの集まりで反対意見など見当たらない。こんな会議に日本の舵取りを任せていいのか。安倍政権の御用会議であることは分かるが、「万機公論に決すべし」とはほど遠い。
6月13日の会議が骨太方針の素案を検討したと言うことで経済財政諮問会議のHPから第11回経済財政諮問会議の議事録を開いてみた。
出席議員11人中、民間議員は4人、驚いたことにたったの40分の会議だ。
資料「経済財政運営と基本方針2014(仮称)」素案が配布され、甘利さんが司会をしている。指名に従って素案の議論をしているのだ。
話題になった「法人税減税」が評価されていることだ。
本当にギリギリまでご調整いただいた法人税減税で開始時期、方向性が示されたことは大変評価出来る(S議員)。
こういう形で基本方針に盛り込まれたことは、国際的な評価という意味でも非常に意味が大きい(I議員)。
民需主導の成長を実現していく上で、法人税下げは中核の政策、こういう形で決まったことで、今回の骨太の柱が出来たと理解している(T議員 )。
法人税減税については、財務省の意向を受けての発言かどうかは分からないが、麻生財務相は以前、「70%の企業が赤字で税金を納めていないのに法人税を下げて効果があるのか」と反対していたが、最近「財源が確保できれば」と賛成に回っている。安倍総理の強い意向に負けたのか。
第10回経済財政諮問会議の議事録を見ると、民間のS議員が、欠損企業の比率は2009年の53.3%から2012年には36.7%まで改善しているという。法人税額も6.4兆円から9.8兆円、昨年は11兆円を越える見通しだという。
今までは65%の法人税を1%の企業は払っていたのだ。確かに日本を代表する大企業の税負担率の軽さ、巨大銀行の納税ゼロは本当に頭にくる。
会議の後半に自由に意見を述べる時間があった。今日本の置かれている状況が分かる発言を拾ってみた。
茂木議員が、法人税改革もやっている。是非民間サイドでも企業として設備や人材に投資して収益を上げ、税金をもっと払って行くというメッセージを出して欲しいと言うと、S議員が「出来るだけ利益を出して払えるようがんばっていきたい」と答えた。
民間企業の副会長だからそう言ったのだろう。
人材力の強化は民需主導の成長実現に向けてイノベーション、付加価値を創造することからも重要であると言う。人的資本を量的、質的に充実させていかなければならない。特に人材の量は人手不足としてマクロ経済に影響を与えてきている。
公共事業の要望が強いが、人件費、資材の高騰、人手不足で事業費の高騰が続きオリンピックの事業見直しはその代表例だ。これから経済への影響が出てくるのではないか。
今、アベノミクスの成果(?)で、経済は好循環に入りつつあるとみられているが、エネルギー問題をどう片付けていくかが大きな問題になっている。そこで、規制委員会の安全判定が出た後の再稼働と言うことになる。
現在火力発電に頼っているが、15%は老朽火力でそのうち30%がダウンするとブラックアウトを起こす危険があるというのだ。これらの対策を骨太の方針のエネルギーの項目でフォローしなければならないが、諮問会議でもフォローしていかなければならないという。化石燃料輸入も10兆円増でGDPの5.7%、CO2排出量1.43億トン増になるらしい。
非製造業の増加と共に製造業が減少傾向で、生産性も落ちている。人口減も合わせて考えると効率の良い企業にしていかなければならないのは当然だ。
産業全体として企業規模が余りに小さいところが多すぎる。会社を集約するなど抜本的なことをやらなければならないとも言う。石油精製は30%程程減らすことも考えているようだ。農業もそうだ。
経済の好循環は、復興特例法人税の廃止前倒し、賃上げでの税制措置、労使での賃上げの効果だと考えており、更に法人税下げも貢献すいてくる都見ており、今後は労働市場をどう返るか、生産性向上、果実を賃上げに回す仕組み作りを検討することになるらしい。
経済財政諮問会議は政権をヨイショする御用会議であるが、議事録には今の日本経済の問題点、これからの検討課題を垣間見ることは出来る。
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