2014年6月5日木曜日

ベル研の「超伝導」、理研の「STAP細胞」:共通する論文ねつ造、何故騙されたか

ベル研の超伝導、理研のSTAP細胞、共通する論文ねつ造に何故騙されたのか。小保方さんがSTAP細胞主論文も撤回したことが伝わった4日のテレビ欄で、日テレ「世界の仰天ニュース、天才か?嘘つきか? 若き研究者の論文発表 3年間騙された理由」の番組が目に止まった。

小保方さんのSTAP細胞論文ねつ造事件が頭をよぎり、何か関連がありそうで、つい見てしまった。

その番組の内容は、2002年5月、若干31歳のベル研究所の研究者ヤン・ヘンドリック・シェーンが、驚異のマイナス221℃で超伝導になる材料を作ったとnature誌に論文発表したのだ。スパッタ装置を使って有機物の上に薄い酸化アルミの膜を付着させた材料を作ったのだ。

当時の超伝導というとマイナス268だったから世界は驚いた。しかもマイナス221に続いてマイナス156まで高めたというのだから驚く。

ところが世界の著名な物理学者が追試をするがうまく行かない。酸化アルミの膜が直ぐに破れたのだ。他の研究者はベル研究所がやったことだから間違いないだろうと考えて試行するが一向にうまく行かない。製造法はスパッタ装置を使って作ったとしか記述されていないのだ。

同僚の研究者が詳細を聞くが、教えてくれない。秘密保護もあるので当然だろうと考えた。

そこで、実験で作った材料を見せてくれと頼んだが、なんだかんだと理由を付けては2年間も応じてくれなかったが、ついにこれが材料だと言って手渡されたものをみて、同僚の研究者は驚いた。超伝導の理屈が分かっていないのだ。実際にはそういう材料は無かったのだ。

一方、他の研究者も不信を持って調べていくとあることに気がついた。あるデータが使い回しされていたのだ。

ねつ造の疑いが出て来たので、調査委員会を立ち上げてシェーンを呼び説明を求めた。シェーンが抱えてきた資料は途中の経過がなく、結果だけだったのだ。

それでも「実験結果は本物だ」と主張したが、実験ノートなど途中経過が分からないので誰も信じてくれない。

最終的にベル研究所はシェーン論文は「ねつ造」と判断し、シェーンはベル研を解雇となった。

テレビの番組だから意図的な面もあったかもしれないが、何かしら小保方さんのSTAP細胞ねつ造事件と似ていないか。そして小保方さんの処分を暗示する内容だった。

類似点は、その1つ目は、作成法が詳しくなくて、誰も再現できなかった。シェーンも詳細は教えなかった。

2つ目は、実験材料がなかったこと。見せられた材料は問題外の代物だった。

3つ目は、データの使い回しをしていた。途中経過がないので裏付けも取れない。しかも上司もシェーンを信頼して確認はしていなかったという。

4つ目は、データの追跡も出来ないのに「実験結果は本物という」。

小保方さんのSTAP細胞論文も、独自のレシピがあるのか、再現できない。検証実験をやっている理研も新聞報道によると、小保方さんに確認しながらやっているようだが苦労しているようだ。

実験ノートが不備でデータの追跡も出来ないが「結果は正しい」と言い張っている。その保管されている資料での解析、若山先生の第3者への解析依頼の結果でも疑惑は増すばかりだ。

データの使い回しはあったが理研は不正行為と認めた。しかし、小保方さんは「単純な過失」で研究の本質には影響しないというばかりだ。「STAP細胞はあります」信じてください」と言っても、著名な評論家が「性善説に立って信用したい」というが、これでは誰も信じない。

5日の新聞は小保方さんが主論文も撤回したことを報じている。

しかし、小保方さんの代理人の弁護士は、小保方さんの本意ではないという。理研の検証実験に参加出来る可能性を考えて撤回に同意したのだろうとも言う。弁護士を通じると何が本当なのか分からなくなってくるが、小保方さんは弁護士に相談して撤回の決断をしたわけではなさそうだ。昨日の代理人の記者会見でも、撤回書類に署名して理研に渡したことは知らなかったようだ。

パソコン遠隔操作事件の片山被告も「自分が真犯人」と自分から言い出したこと。小保方さんも自分で判断し自分の行動に責任をもつべきではないか。弁護団を隠れ蓑にしてはならない。

ところで小保方さんは今後どうなるのか。

理研改革委員会は「小保方さんを検証実験に参加させよ」と要請し、小保方さんも参加したい意向があるようだが、それは止めた方が良い。

実験はマジックではない。誰でも再現できなければならないはずだ。そして今、小保方さんは専門家から信頼されているのか。検証実験に参加することでその検証の信頼性に問題が発生することは避けるべきだ。

ここまで来てもまだ「STAP細胞はある」と盲信している小保方さんに冷静で公正な実験など期待出来ない。

それよりも小保方さんは研究結果に対する諸々の疑惑に正面から答えるべきだ。これだけの疑惑があることは論文を書いた小保方さんが一番知っているはずだ。それなのにあのすがすがしく、自信に満ちた論文発表記者会見は何だったのか。平気で嘘がつけるのでは片山被告と変わらない。

主論文撤回に同意でSTAP細胞はなかったことになった。小保方さんも潔く理研を去るべきではないか。理研は国民の税金から成り立っていることを忘れてはいけない。

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