東電が発表した工事写真 2014.6.3 |
1日400トンもある原発建屋内への地下水流入を減らす遮水工は喫緊の課題であったが、国と東電は凍土壁工事に着工した。大規模な工事は経験がなくリスクも大きいが勝算あってのことか。工事の比較(投資額、ランニングコスト、メリットデメリット)などがしっかりやられているのかと思ってネットで検索してみたが、資料が見当たらない。東電のHPにもないのだ。
実際には鹿島が施工するらしいが、清水建設が平成25年5月16日に作成した第2回汚染水処理対策委員会資料が見つかった。
それによると、建屋陸側に粘土系遮水壁を設置して流入抑制する「粘土遮水壁」、1号機~4号機を凍土壁で囲む「凍結止水壁」の遮水壁と、地下に作業トンネルを構築しトンネル内から建屋内流入箇所に止水対策を行う「トンネルから建屋止水」、コントロールボーリングなどにより建屋内流入箇所の止水対策をおこなう「地上から建屋止水」の工事が比較検討されている。
遮水壁工事として、粘土遮水壁、凍結遮水壁共に効果は同じようだが、凍結遮水壁工事は、凍結するかどうか、維持管理に問題があるという。
実際に、政府、東電、鹿島がどういう検討結果で凍土壁工事を選択したか定かでないが、工事に着工し、2020年まで冷却を続けるというのだ。
工事を実施するにはいろんな問題があるが、原子力規制庁は5月下旬に、取り敢えず配管や埋設物野内場所に限り着工を承認した。
しかし専門家からは疑問も出ている。
地下水位が下がれば、建屋の不等沈下の問題が出てくるが、東電は地盤沈下は最大で1.6cmと言う。
逆に建屋内の汚染地下水が漏れ出す危険も指摘されている。
地下水の流れがどう変わるのか。これも大事な指摘だ。米国原子力規制委員会の元委員長は「最善の選択肢」ではないとコメントしている。
そして、当然のことながら全てが凍って壁になるのかと言う疑問も湧く。凍らす規模が大きいために失敗する危険もあるのだ。特にこの辺は川が数本流れていたと言うから、地下水で凍土が溶ける心配もあるのではないか。
私自身は、以前に鋼矢板による遮水工事が良いのではないかと言ったことがあるが、海岸寄りの遮水壁工事は鋼管矢板打設が一部されているようだ。
山際も粘土遮水壁を考えた方が良いのではないかと想う。
30mの管を1550本、1.5kmに渡って敷設し、マイナス30度のCaCl2を流し土を凍らすのだ。凍結維持には一般家庭の13000世帯分の電力が必要になるらしい。320億円の投資と合わせると維持管理も大変だ。
このほかにも汚染水対策で470億円の国費が投入されることになっている。安倍総理の「完全にコントロールされている」なんて大嘘だ。出来るはずがない。
今、1日400トンの地下水が流れ込んでいるが、これにより280トン減らせるというが、あくまでも空論だ。全て予想外の事態になることは、今までで十分証明されている。
でも、たまった汚染水は38万トン、巨大なタンク1095基になる。汚染水貯蔵にタイムリミットがあるのも確かだ。
失敗しても誰も責任を取らない政府、東電のやり方だが、しっかりした資料を国民に提示すべきだ。
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