2019年6月29日土曜日

大阪G20首脳会議(3):合意ができないのも成果、首脳らの主張を明らかにすることでは


合意ができないのも今の世界政治では当然の結果、G20首脳会議は成果を焦らず、各国首脳の主張を明らかにすることも大切ではないのか。米中貿易摩擦による関税かけあい合戦で互いに譲歩を求め解決を図ろうとしているが無理なことは誰にでもわかる。そこを議長国が玉虫色の表現で各国の賛同を得ようとしているので会議自体の存在価値が薄れてきた。

本音で話さず、真意も確認せずトランプ大統領のご機嫌をうかがう首脳会議では情けなくないか。ここは思い切って各国の主張を明確にし世界の指導者が方向を見定める会議にしてはどうか。

20か国の首脳に8招待国、7国際機関などが集まった国際会議だ。世界の重大課題を議論し、問題点、解決策を探る会議だと思うがトランプ大統領の登場から「保護主義」「アメリカ第一」に引っ掻き回され国際協調路線から2国間個別交渉へ問題解決手段がシフトしている。

G20にあっても19:1でアメリカは孤立している。他国の首脳がどうトランプ大統領を説得できるかにかかっているのだが、トランプ大統領も自らの大統領選を控え譲歩どころの話ではない。

中国に対しては第4弾の課税、今まで課税されていないものもあるというし、中国ばかりでなく日本など同盟国にも貿易、安全保障で不満を言うようにエスカレートしてきた。

日米安全保障条約にも不満を言うが、安倍総理はその真意を確認することもなく会議でスルーした。おそらくもっとエスカレートすることを危惧したのだろう。

新聞報道によると、米中の対立は世界的リスクと考えている首脳が18人いるが肝心の2人は「どこ吹く風」と言うらしい。米中貿易摩擦もトランプ大統領は一貫して「保護主義」だが、中国は「自由貿易の推進」を訴えるがアメリカの第4弾の課税には徹底抗戦だし、主権にかかわることとして譲歩しない。何のことはない中国も「保護主義」なのだ。都合のいいところだけ自由貿易を訴えるちぐはぐさが目立つ。

それでもG20首脳会議の基本思想は「反保護主義」なのだ。トランプ大統領の保護主義が出てくると「自由貿易の推進」になり、今回は「自由で公正で無差別の貿易」という表現にしたらどうかと議長国の事務局が頭をひねっている。

これだとトランプ大統領の言う「バランスの取れた貿易」になるのか。首脳宣言でも「反保護主義」の表記は諦めたらしい。

日本主導でデータ流通のルールかを目指す大阪トラック構想、WTOとのネット通販のルール作り、巨大IT企業へのデジタル課税などは目的通りに進むだろう。

玉虫色の解決より争点を明確にすることこそ成果ではないのか。トランプ大統領の頭はG20首脳会議ではなく来年の大統領選に向けた国内の民主党大統領候補者の討論会にあるのではないか。



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