2019年6月17日月曜日

G20エネルギー・環境会合:「温暖化骨抜き」でも何故、世耕さんは満点評価なのか


軽井沢で開かれていたG20エネルギー・環境関係閣僚会合が共同声明を発表して終わったという。海洋プラスチック汚染に対する実施取り組みが進んだことは評価できるが、一番の関心事は温暖化防止の「パリ協定」全面実行であったが、アメリカがパリ協定離脱を表明していることに配慮し「参加国が全面的に実行する」に留めた。

それでも世耕経産相は「満点の成果」と評価したが、何故だと疑問が出てくる。とにかく議長国としては「成功裏」に終わらせることが重要で実行に向けた信頼度は二の次なのだ。

あらゆる国際会議でトランプ流「保護主義」が幅を利かせ他国が配慮することにより協調性が崩れている。トランプ大統領は早い時期に「パリ協定離脱」を訴えていたが、世界第2位のCO2排出を出すアメリカだ。自国産業に大きな影響が出ると考えたのだろう。

EPAのアンドリュウ―・ウィ―ラ―長官が新聞社とのインタビューで「気候変動を深刻にとらえていないわけではない」と弁解していたが、では「パリ協定」以外でどう対応しようとしていたのか。

プラスチックによる海洋汚染は重大な局面にきている。将来は魚の量よりプラスチックごみの方が多いという驚くべき報告もある。プラスチックゴミ減量、リサイクル、回収への取り組みがテーマになったが、環境省は来年4月にレジ袋有料化を急きょ打ち出したが、議長国としてこの会議に合わせての提案で面目を保つつもりがあったのか。

いつも会議で問題になるのは、後進国を先進国が経済支援することだ。おカネの分捕り合いの様相を呈していたが、今回はどうなったのか。

共同声明のポイントを見ると、民間資金活用に向け透明性の確保、ビジネス部門と金融部門の地球規模の交流促進が重要と認めている。むやみやたらの分捕り合戦に警告しているのか。

更に最新の科学的知見に基づく気候変動に対する計画策定の重要性を強調している。温暖化の裏付けデータとしては日本の地球シミュレーターの結果とか最近は観測衛星によるデータが採用され温暖化の精度を上げているようだが、CO2人為説と自然変動説との議論はどうなっているのか。

特に問題にしたいのは、地球の平均気温を2℃未満に抑えるが、できれば1.5℃未満と言う。ところが専門家の話では1.5℃未満でも温暖化防止は厳しいという。

さらには、今目標を達成できても100年後に効果が出るのは難しいらしい。だから効果が出るのであれば対策は急いだ方がいいのだが、日本の排出量で今削減計画を達成できたとして1.5℃上昇抑制にどの程度貢献できるのか。

もっとわかりやすいデータで説明すべきではないのか。

経済成長と環境保全は両立できるものであり、すべきものであると認識するというが、アメリカはどう考えているのか。経済成長が鈍化している現在、環境を犠牲にしてでも成長路線を守りたいのか。

そして以前からも言われていたエネルギーの安全確保も今回の安倍総理のイラン訪問を機にホルムズ海峡で日本の船舶を含む2隻が何者かに攻撃される事件が勃発した。

案の定、アメリカはイランの責任と言えばイランはアメリカの責任と言い返すイラン核合意離脱、経済制裁強化で両国の溝の深さを再確認したことになる。ホルムズ海峡は日本の原油輸入の船舶の6割が通行すると言う要で何かあると日本経済に大きな影響が出る。

米国が国際社会でこれ以上の孤立化は避けたいというのが20か国の意思だろう。米国を名指しして批判しなかったことで共同声明も出せたのだろうが、これで満点だったとは能天気な世耕大臣だ。

G20首脳会談に向け議長である安倍総理を必死で忖度したのだろう。

 関連記事
2019.6.4掲載
レジ袋有料法制化:何をいまさら レジ袋は生活必需品、悪ものではない

2019.5.9掲載
地球温暖化対策の真実?:教えて! 日本の削減で1.5℃未満上昇のどれだけ貢献できるのか

0 件のコメント: