欧米がインフレ抑制に利上げに動いている状況下で、17日の日銀の政策決定会合が注目されたが、前評判どおり「大規模金融緩和継続」がきまったという。私も金融政策の転換になるのではないかと見ていたが、余りにも多額な国債の買い入れで低金利を維持していたが、ここで利上げに動けば大変なことになると見たのだ。
それが「恐ろしくて」動けないのが黒田総裁の本音ではないか。安倍元総理に強要されたとはいえ、日銀の独立性から言えば、自業自得だ。
白川元日銀総裁の13年には130兆円あった国債買い入れが20年には4倍の500兆円でGDPと同規模だ。政府は低金利、多額の借金の財政ファイナンスだ。ここで利上げをすれば元利払いは増額する(新聞報道では1%で約4兆円)。
中小企業は低金利に慣れている。利上げで負担増になれば経営体質も悪化することは分かる。
国の財政健全化も影響している。自民党内でも健全化を主張するグループもあれば、今は気にせず財政出動だというグループもある。25年にPB黒字かもあやふやになってきた。
何故、こうなったか。民主党政権末期の政府と日銀の関係が朝日新聞(2012.5.13)「インタビュー 日銀と政府の責任」での白川総裁とのインタビュー記事で知ることが出来る。
それによると当時、白川総裁は「物価上昇1%」のインフレ目標を立て、金利を下げ、企業の資金繰りに役立てるといっていたが、政府や与野党は「もっと緩和しろ」と言う。
安倍総理の初期の衆院選挙で若い自民党候補者まで「市場にカネを流せば円安になる」「そんなことが分からないのか」と民主党政権、日銀を批判していたのを覚えている。
又、政府の言うことを聞かなければ日銀法を改正するぞと脅した。
当時、本当に資金供給量が少なかったのか。日銀は以前から緩和をやっていたのだ。対GDP比で比較すると日本が最も高いという。供給された資金は金融機関が中銀の講座に預ける。ゼロ金利のためにそのほうが良いのだ。
白川さんは追加緩和は慎重にやる必要がある。無理に急増させると市場に不測の事態が起きると警戒していたのだ。今の状況と全く同じなのだ。
物価も1%を目指し、達成できればさらに2%を目指すといっていたのを覚えている。2009年の消費者物価は-2.4%、2010年0%、13年後半0%、貸出金利も1.1%で米国は3.4%だった。
中央銀行が国債を際限なく買い入れればコントロールの効かないインフレになることは当時も心配されていた。
日銀は金融緩和をするが、政治も高齢化、人口減少の「変化への対応」が必要で規制改革が必要と言う。既存商品ではコスト、価格の引き下げ競争をするが高齢化で潜在需要は伸び、高い価格を払ってでも良いという新たな市場もあるという。
安倍政権は当時の白川総裁に変わって黒田総裁を任命、「2年で2%」のキャッチフレーズで颯爽と登場したが、いまだ目標の達成はできていない。賃金が上がり物価が上がる良い経済循環ではなく、コロナ禍、ウクライナ侵攻による物価上昇で日銀の目指す物価上昇ではない。
ここで利上げすると景気の下押しになるため「大規模緩和を継続」し、景気を支えるというのだ。
なにやら、アベノミクス、黒田総裁は間違っていたのではないか。白川総裁のように緩やかな緩和を継続したほうが結果論だが良かったのではないか。
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